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スキルではない、フィードバックするときの心構えとは?〜成長につながる問いかけコーチング#51

最近は上司・部下の1on1を導入する企業も増え始め、フィードバックの大切さについてはいろいろなところで語られています。みなさんの会社や組織でも、フィードバックに関する研修やセミナーなどが開かれているかもしれません。私自身、そういったセミナーの依頼はよくいただきますし、非常にニーズがあると感じています。その中で、依頼をいただく多くの方が期待されているのは「明日から使えるフィードバックスキル」のようなものです。もちろん、単発の研修やセミナーでは、そういったすぐに使えるスキルが求められるのもよくわかります。しかし、私はどちらかというとスキルよりもフィードバックする側の心構え、つまりマインドセットの部分をお話しするようにしています。

もちろん、スキルのお話もいくつか取り上げることはあります。しかし、スキルよりも大切なのは心構えだと思っています。「抽象度が高いですね」と言われることもありますが、何事も上達させるには長期的な視点が必要です。英語がしゃべれるようになる、プログラミングの技術を向上させる、マラソンの距離を伸ばす。どんなことでも、スキルを学んだからと言ってすぐに上達するわけではなく、「わかる」から「できる」までには継続的なアクションが必要です。私自身としてはこのような考えを持っています。もちろんフィードバックを学んでいくためのきっかけとして、スキル的なものも大事ですが、本質的には心構えの方を重要視しています。

そもそもフィードバックとは何のために行うのでしょう。
おそらくフィードバックによって相手の成長を促すことが目的でしょう。人が成長するとき、やはり自分にとって耳の痛いこと、目を背けたくなるような本質的な課題がそこにあります。ここにフォーカスしてフィードバックするとき、実はフィードバックされる側だけでなくする側も心がザワつきます。このザワつきこそが成長につながるんですね。

私は仕事上いろいろな人にフィードバックをすることがあります。その中で、やはり何度も相手の心をザワつかせたり、イライラさせたり、ときには相手を怒らせたこともあります。しかし、私がフィードバックする際に大切にしているのは、その瞬間に相手が納得いくフィードバックをするかというよりは、長い目で見たときに、そのザワつかせた一言が相手の中でどんな風に変化していくか。ここに重きを置いています。なので、フィードバックをした瞬間に相手が受け入れられるとか、すぐに変化が起こることは期待していません。もちろん相手や状況によるとは思います。

また、もう一つ私が大事にしているのは、必ず双方向で行うこと。私から一方的にフィードバックしっぱなしになるのではなく、相手にも考えてもらい、私がフィードバックした際には、そのフィードバックについてどう思うのかというのを聞くようにしています。
他にも、「今から私がフィードバックをしますが、もし自分で自分にフィードバックするとしたら、どんなことを言いますか?」と聞くこともあります。相手が私の立場に立ったとき、自分に対してどんなフィードバックをするか考えてもらう。実はこれによって、相手の心の準備が整うこともあります。こちらから本質的なフィードバックをする前に、自分で気づいちゃうことがあるんですね。これはその後のフィードバックが非常にやりやすくなります。もし私からのフィードバックに心がザワついたとしても、「自分でもわかってたんですよね」と、受け入れやすくなります。

最後に、一番大切なことはフィードバックする側がどれだけ成長できるか。これには色々な観点がありますが、まずはどれだけ相手に伝えられたか。フィードバックをするスキルや伝え方が上達するというのは、その人のリーダーや指導者としての成長の証です。スキルを上げることにチャレンジし続けること。

また、相手の成長を支援する、それ自体も自分自身の成長につながります。コーチデベロッパー(コーチのコーチ)の世界ではよくこんなことが言われています。

" When one teaches, two learn. "
「一人が教えるとき、二人が学ぶ。」

これはフィードバックでも同じです。一人が誰かの成長を支援するとき、二人が成長する。これを肝に銘じておくと、やはりフィードバックは双方向であると意識すること、そして二人で成長していくんだというマインドを持つことが、フィードバックの質を上げていくのだと思います。

さて、あなたは最近誰かにフィードバックをしましたか?そのとき、どんな心構えで臨みましたか?ぜひ、自分自身も学ぶことを忘れずにフィードバックをしてみてください。

※ 本記事は、中竹竜二Voicyチャンネル『成長につながる問いかけコーチング』より、内容を再編集し、記事化したものです。



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