名詞を出さないシリーズ

 こちらは「その作品における、明確な名詞を出さずに書き上げるショートストーリー」となっています。
 平たく言うと、ガンダム、モビルスーツ、シャアなど、作品を象徴する名詞を出さずに書き上げた作品になります。
 どの作品の、どの時間、場所なのか?を当てる楽しみを一緒に楽しんでいただければ!
 第一段はこちら。


「閃光」

 閃光が走った───

 漆黒の宇宙に光るのは、星だけではない。僕の目の前でも爆発が起こり、星の輝きをかき消そうとする。

 僕が撃ったのだ。スプレーガンの銃身はまだ熱を帯びて次弾の発射を待っているようだ。

 閃光が走った───

 幾重にもビームの輝きが激戦を舞う。
 戦争は変わってゆくのだろう。銃弾はビームへと、刀剣もビームへと変わってゆくだろう。 この白と赤の量産機も、敵の新型の量産機もビームを放つ。 少しでも長く戦う為に、僕はバズーカを腰に追加し、この宙域へと出撃した。果たしてバズーカを使うまで生きていられるだろうか…

 閃光が走った───

 汗がパイロットスーツを貼り付ける。 どれだけの敵とまみえただろうか? 撃墜など簡単にはいかない。生き残るだけでも上出来だ。  それでも………

 閃光が走った───

 命は常に消えていく。 閃光が走る度に、僕では考えられないモーメントで、僕では考えられないタイミングで、トリコロールの機体が戦果を上げ続ける。

 閃光が走った───

 白い悪魔と呼ばれるこの機体が味方である事に、安堵と恐怖を覚える。

 刹那。
 
 閃光が横から僕の機体に直撃する。頭部を無くした僕の機体に、正面から巨大な斧が迫る。

 閃光が走った───

 殆ど映らなくなったモニターに、爆発する敵機が見えた。 白い悪魔が助けてくれたのだ。  急死に一生を得た僕は、そっと安堵の息を………

 その呼吸を吐ききる前に、僕を乗せた機体のコクピットへと、敵機が放つビームの閃光が走った─────


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