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プロ野球ファンにもっと知ってほしい!「独立リーグ」の世界①

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今でこそ比較的身近になった日本の「独立リーグ」ですが、その歴史はまだ決して長くはありません。日本で初めての独立リーグ、四国アイランドリーグが発足したのは、今からわずか15年前の2005年。これは決して偶然ではなく、その前年、2004年に勃発したプロ野球再編問題が影響していると考えられます。

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近鉄がオリックスとの合併を発表したのを皮切りに、10球団1リーグ制への移行の方針などが現場の選手とファンを置き去りにしたまま次々と報じられ、9月18〜19日の週末にはプロ野球史上初のストライキ決行。
2004年は、それまでプロ野球界が抱えていた闇の部分が突如次々に表沙汰になった、歴史的に見ても重要なターニングポイントでした。

最終的には楽天が球界への新規参入を表明、本拠地を仙台に置くことで12球団2リーグ制が維持されたのは周知の事実です。この裏で、「もし10球団へと削減の動きが進むのであれば、新たにプロ野球の球団誘致を目指そう」と動く地方自治体が他にも複数存在していたことが、翌年以降の独立リーグ創設に繋がったといえると思います。

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2004年12月、愛媛県に発足した「坊っちゃんスタジアムをプロ野球の本拠地にする会」はその一例です。元々は文字通り「プロ野球」の球団誘致という構想でしたが、12球団2リーグ制の維持に伴い、四国アイランドリーグの設立構想へと変わりました。この坊っちゃんスタジアムはNPBのオールスターゲームも開催されるような立派なスタジアムですが、現在、愛媛マンダリンパイレーツの本拠地となっています。

同様に、新潟県でもプロ野球の球団誘致の動きがありました。
こちらも愛媛県と同様に、12球団2リーグ制の維持を受けて方針転換し、独立リーグ創設へと舵を切ることに。四国アイランドリーグと比べると少し時間差があったものの、2006年秋にBCリーグ(ベースボール・チャレンジ・リーグ)の創設に至りました。
元々は新潟を中心とする北信越からのスタートでしたが、現在は滋賀県や茨城県、神奈川県にも新たなチームが誕生し、2020年現在は12球団が加盟しています。

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プロ野球再編の過程で球団数を維持・拡大するという取り組みの中で創設された独立リーグは、厳密に言えばアマチュアではなくれっきとした「プロ野球」のチームです。私たちが「プロ野球」と聞いてイメージする日本野球連盟(NPB)所属の12球団とも協調路線を取っており、

・NPB出身者が独立リーグの監督・コーチとして就任する
・そこで鍛え上げられた選手たちのうち一定数がドラフト会議を通じてNPBに入団し活躍する

という人材の行き来が活発に行われています。

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日本の野球界は、サッカーなどの他スポーツと異なり、全体を統括する組織が存在しません。プロ、高校、大学がそれぞれ別組織に分かれてしまっています。最近では規制緩和も進んできましたが、プロとアマチュアの間に明確な一線が引かれていることも課題であり、スポーツの永続的な発展を目指すという意味では是正されるべきでしょう。

その意味でも、既にNPBとの架け橋の役割を果たしている独立リーグの役割は、今後ますます大きくなっていくのではないでしょうか。多くのプロ野球ファンの方々にも独立リーグをもっと知ってほしい!応援してほしい!と改めて思います。

次回は、独立リーグ発足と同じ2005年から始まった、NPBの育成選手制度と独立リーグの関係について書いていきます(予定)。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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