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英国5月消費者物価指数プレビュー

  • 市場予想では、英国5月消費者物価指数(CPI)は年率で9.1%になると予想

  • BOEはすでに10月のCPI11%という高いハードルを設定し、期待を高めている

  • ポンドは対ドルで不利な状況が続くと思われる

  • ポンドを上昇させるには、コアCPIの伸びが必要

今年1月以降の英国の成長率の低さは、急速なインフレがすでに英国経済を冷やし、BOEの仕事を「代行」している証拠を示しており、このことは、ポンドにとって不利に働きます。
消費者と投資家は、インフレとそれが意味する金利に注目しています。物価の上昇が速ければ速いほど、金利は上昇し、ポンドは他国の通貨との競争に打ち勝つことができることになりますが、しかし、これには限界があります。

米国は利上げで世界をリードしていますが、英国はインフレが経済を窒息させるとどうなるか、その一端を垣間見せているかもしれません。
英国の生産高が最後に伸びたのは1月で、それ以降は2月と3月は停滞し、4月に縮小しています。

英国月次GDPの推移


景気後退を確認するには時間がかかりますが(景気後退を定義するには2ヶ月の引き締めが必要)、英国はすでに景気後退に陥っているのではないかと疑う人もいます。

BOEはすでに5月に景気後退の可能性が高まっていると警告し、6月の最新の予測ではさらに踏み込んで10月のインフレ率を前年比11%と予想しました。
その中で発表されるのが、5月の消費者物価指数であり、市場予想では4月の9%に続き、9.1%と予想さています。

英国CPIの推移

米国とユーロ圏の5月の消費者物価指数は予想外の上方修正に驚きましたが、英国でも同じことが繰り返されることが想定され、9.2%、9.5%、あるいは10%に近い水準になる可能性も否定できません。

ポンドに対する影響については、発表直後はアルゴリズムに基づく初期反応としてポンドが買われ、短期的に上昇する可能性が想定されます。
しかし、その後、市場は不況が迫っているという懸念に目を向けることになり、需要の減退は物価上昇の鈍化を意味し、冒頭で述べたBOEによる利上げの必要性を排除することに繋がります。

ポンドが上昇を続ける可能性のあるシナリオは、それはコアCPIに依存します。
BOEなど中央銀行がエネルギー価格や食料品価格に与える影響は限定的ですが、金利を引き上げることで需要に影響を与えることができ、貯蓄を促し、融資を受けることを抑制します。

コアCPIは4月の6.2%に続き、5月も6%上昇すると予想され、ヘッドラインインフレと同様、上方修正の可能性があります。
コアCPIが6.3%以上に加速し、前月の上昇率を上回れば、ポンドの上昇反応が長く続く可能性があります。

インフレ率の数値はポンドにとって重要ですが、景気後退の懸念との関連でとらえる必要があります。
また、発表前30~45分前に値動きに注意が必要です。
ポンド/ドルが発表前に急上昇した場合、「噂を買って、事実を売る」反応、つまり結果がどうであれ、データが発表された途端に急速に売られる可能性も高まります。


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