見出し画像

米、対ロ制裁対象を拡大 ハト派発言に終始したBOE

バイデン大統領 対ロ制裁をノルドストリーム2に拡大

バイデン大統領は、対ロシア制裁措置を拡大し、ロシアとドイツを結ぶガス輸送パイプライン「ノルドストリーム2」の建設業者と複数の同社幹部に対する新たな制裁を発表しました。

23日のホワイトハウスの声明では、「これら措置は、ロシアによるウクライナでの行動に対する制裁の最初の部分に追加されるものだ」と説明し、「既に明確にしたように、ロシアが今後も事態をエスカレートさせれば、われわれは一段の措置を講じることを躊躇しない」と言明しています。

ノルドストリーム2はドイツが承認手続きを凍結を発表しており、サリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が今週前半、ノルドストリーム2の制裁計画についてドイツと調整していた模様です。
欧州へのエネルギー供給のイニシアチブ取ることを狙ったプーチン大統領には打撃となったかもしれません。
ロシアは昨日は祝日のため、目立った反応は出ていませんが、プーチン大統領とトルコのエルドアン大統領が、ロシアの長期的な安全保障について電話会談を行い、エルドアン大統領はプーチン大統領に対し、トルコはウクライナの領土保全に対する措置を認めず、トルコはウクライナ危機の解決に協力する用意があると述べています。
また、未確認情報では、ロシア全軍がすべて厳戒態勢に入ったとのことであり、FSB(ロシア連邦保安庁:KGBの主な後継組織)の全メンバーが召集されたとの報告もあります。

米国国防当局者は、ウクライナ周辺に駐留しているロシア軍は、可能な限り準備が整っており、ウクライナに48時間以内にロシアが本格的に侵攻すると警告しています。
ウクライナでは、サーバーテロが激化しており、ゼレンスキー大統領は日本時間の24日7:00より非常事態宣言を発動しました。

これを受けて市場はリスクオフに動き、米国主要株式は下落、日経平均指数も下落しています。VIX指数も30を超えてきており、警戒感を強めています。

ロシアルーブルは対ドルで大きく下落し、80ドルを超えてきています。
原油価格は、バイデン政権がウクライナ情勢の緊迫で原油価格が上昇しているため、他国と協調する形で戦略石油備蓄(SPR)を再び放出する可能性を検討していると報じられると、一時下げに転じましたが、92ドル台で推移しています。
先物では、ロシアが主要輸出国である小麦が大きく上昇しています。

独 ロシアのガス供給なくてもやっていける

独は、ガス供給の約55%をロシアに依存していますが、独ハベック経済相はロシアから天然ガス供給を受けなくてもやっていけるかもしれないと語っています。
独は原子力発電と石炭火力発電の段階的な廃止を進めており、ガスの需要は高まる一方となっています。ドイツへのガス供給がロシアに次いで2番目に多いノルウェーは既にフル稼働で生産しており、またドイツは液化天然ガス(LNG)を輸入する手段も整っていません。
DBグループ・ヨーロッパのエネルギートレーディング責任者ティム・パートリッジ氏は、「ドイツは原子力発電と石炭火力発電の廃止で自ら災いを招いた」と指摘し、再生エネルギーの生産が目標に満たずガス供給も不足すれば、昨年のように価格が押し上げられ、厳しい状況になるとの見方を示しています。
ウクライナ情勢によるエネルギー価格の高騰が、欧州経済の足かせになってくる懸念が高まってくるかもしれません。

BOEメンバー ハト派的な発言に終始

BOEのベイリー総裁、ブロードベント副総裁、ハスケル委員、テンレイロ委員は、議会の公聴会で証言を行いました。
その内容は、比較的ハト派的なものであり、ベイリー総裁は、今後数カ月は緩やかな利上げの可能性が高いとし、市場へのメッセージは、利上げに浮かれ過ぎないことだと述べています。
量的引き締め(QT)の一部としてのBOEの資産売却については、「正常な市場環境」の下で行うと述べ、市場で混乱が生じている時には見送る可能性を示唆し、政策金利が1%に達したら資産売却を検討する考えを明らかにしています。また、混乱を最小限に抑えるために売却方針や内容を前もって明らかにする意向を示しています。
BOEが保有資産を全て売却するとの考えは「正しくない」とした上で、当局者は資産の最適な均衡水準を測りかねているとも指摘しました。
ベイリー総裁は、インフレ抑制のために賃上げ要求を控える必要があるとの最近の発言内容は、バンカーのボーナスにも当てはまると述べています。
また、ベイリー総裁は、「銀行の賃金水準を設定してはいないが、同じことが言える」と述べ、「外部から非常に大型の衝撃が迫っている今の経済的状況をよく考えてもらいたい」と続けています。
さらに、「賃上げを受けるなと言っているのではない。私が本当に懸念するのは、今の状況では交渉力の最も弱い人たちが敗れてしまうことだ」と説明し、企業は値上げにおいて自制を示すべきだとの考えも示しました。

昨日の英国債は、短期ゾーンを中心に利回りが低下し、10年債と2年債のスプレッドも拡大しています。

IMF、BOEにバランスシートを6500億ポンド縮小するよう要請

ベイリー総裁は、QTに関して慎重な姿勢を見せていますが、国際通貨基金(IMF)は、BOEが13年間の量的緩和の後、政策を正常化するために約6500億ポンド(8850億ドル)の国債を売却し、バランスシートを3分の2まで減らすべきだと発表しています。
また、英国経済に関する定期的なストックテイクの中で、BOEのバランスシートの規模の変化が「国債やその他の資産市場の変動」を引き起こす可能性があると警告し、「コミュニケーションを明確にする」よう促しています。
IMFは英国のインフレ率に対しては、7%を超えると警告し、厳しいインフレ圧力を考慮したBOEの利上げ決定を「歓迎」しています。
IMFは、金利が1%に達した時点で積極的な国債の売却を開始する計画が明確でないとしてBOEを批判し、「量的引き締めを金利のしきい値に結びつけることは、QTを未確定なままにし危険」と述べています。
IMFは、BOEのバランスシートの定常状態を 「中期的には名目GDPの15~20%、2021年末には名目推定GDPの45%」と独自に試算しています。この数字は、BOEがバランスシートを現在の約1兆ポンドから約3500億ポンドに縮小することに相当します。
ベイリー総裁は、議会証言で、「均衡水準」がどこにあるのかを判断するのは難しい、と述べています。

今日の予定

海外の経済指標など
09:30 豪 10-12月期四半期民間設備投資
22:15 英 ベイリー英中銀(BOE)総裁、発言
22:30 米 10-12月期四半期GDP個人消費・改定値・10-12月期四半期コアPCE・改定値・10-12月期四半期実質国内総生産(GDP、改定値)
22:30 米 新規失業保険申請件数・失業保険継続受給者数
24:00 米 1月新築住宅販売件数(前月比/年率換算件数)

今日もベイリーBOE総裁の発言が予定されています。3月の利上げが実施されることは確実と思われますが、規模としては25bpに落ち着くと思われます。昨日と引き続き、ハト派的な発言となれば、ポンドの上値は重くなってくると思われます。
米国では、10-12月期四半期実質GDP、GDP個人消費支出が発表されますが、改定値のため、市場を動意づける程のものではないかもしれません。但し、個人消費、コアPCEの上振れには注意しておきたいと思います。
ウクライナ情勢では緊張が高まってきています。引き続き、関連ヘッドラインに揺れ動く展開が続くと思われますが、米・欧の経済制裁発表を受けてのロシア側の対応がどうなるか注意しておきたいと思います。

それでは今日もよろしくお願いします。

Twitterでは、経済ニュースなどをリアルタイムに情報発信しています。
フォローをよろしくお願いします。

TEAM MAGICIANSは、オンラインのトレーダーズコミュニティーです。
参加はこちらから。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?