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ボタンズものがたり『くっつく たね てんらんかい』

 いのちの かたちは ボタンの かたち。
 はずせば しんで つければ いきる ふしぎな いのち。

 ボタンズは いつも マイペース。
 しんでも いきても あいもかわらず。

 そうして うまれる
 ちいさな ちいさな ものがたり。

    ○○
 
 ダンボールの かべに きのいたでできた いえ。
 
 じめんに おかれた たいらな いしの だいざに
 いっぷう かわった たねが たくさん。

 くっつく たねの てんらんかい。
 ここは その かいじょうです。

 つりと いたずらが だいすきな
 あおく ごまみたいな ボタンズ。セサミ。

 いつも じしんまんまんな
 しかくいからだに とんがり みみの ボタンズ。ダブリー。

 セサミは ダブリーに あんないされて
 だいざを ひとつづつ まわっています。

 ダブリーは まいかい ちがう てんらんかいを ひらきたがる
 すごく うつりぎな ボタンズでした。
 
   〇〇

 すべての たねを セサミに みせて
 えへんと ふんぞりかえる ダブリー。

 これで ぜんぶ? と、セサミは くびを かしげます。
 けれど ダブリーは じしんまんまん。

 なぜなら これいじょう みつからなかったから。
 
 ちょうど そのとき、
 セサミの ともだちが かいじょうまえを よこぎります。

 たれた うさみみ みたいな うで
 うすむらさきの ボタンズ。スティッキー です。

   〇〇

 あんないされる スティッキー。
 セサミは あれ? と おもいます。

 スティッキーの せなかに なにかが くっついています。
 なんだか かわった かたちです。 

 セサミは それを てにとりました。
 ダブリーと いっしょに まじまじ みます。

 たね でした。でも おやおや?
 てんらんかいに おんなじかたちの あったっけ?

 ダブリーは しんじられない ようすでした。
 むきになって こたえあわせみたいに かざってた たねを もってきます。
 
   〇〇

 このたねは どうだ!
 そんなに ほそい かたちじゃ ないね。

 このたねは どうだ!
 そんなに ねばねば してないね。

 このたねは どうだ!
 おしい。でも はんぶん だけ。

 これも それも あれも
 どれもが ちがいます。

   〇〇

 ダブリーは みとめるしか ありません。

 スティッキーに くっついていた たねは
 みんなの しらない たねでした。

 ダブリーは くやしくって しかたがありません。

 ゆかを どんどんと じだんだ ふんで、
 そのまま かいじょうを とびだして いきました。

 とりのこされた セサミたち。
 ここにいても しかたありません。

 かえろうとした ちょうどそのとき、
 てんらんかいに はいってきた べつの ボタンズに、
 あんないを おねがいされて しまうのでした。 

   〇〇

 それから すうじつが たちました。
 セサミは てんらんかいに きています。

 てんじだいには ふたつの たねが ふえていました。
 
 スティッキーに くっついていた たね。
 そして みしらぬ もうひとつの たねです。

 スティッキーも もってなかった たねを みつけて
 ダブリーは こんどこそ ぜんりょくで ふんぞりかえります。

 そのからだは つちとか くさの しるで よごれていました。

 ほんとうに これで ぜんぶ? と、セサミは またまた くびを かしげます。
 けれど ダブリーは じしんまんまん。

 なぜなら これいじょう みつからなかったから。
 
 そのとき、スティッキーが あらわれました。

   〇〇

 スティッキーの せなかには またしても たねが くっついて います。
 そして またまた みんなしらない たねでした。

 ダブリーの くやしがりったら すごいものです。
 かいじょうを とびだそうとする ダブリー。

 セサミは もう かいじょうあんないなんて こりごりです。
 じまんの つりざおを シュッと ふって、
 ダブリーに はりを ひっかけます。

 ずざざぁ、と しかくい からだの まえがわを じめんに こすりつけて
 ダブリーは せいだいに ころびました。

 いまが チャンスと
 セサミたちは そそくさと にげだしました

   〇〇

 それから どれくらい たったでしょう。

 セサミと スティッキーが かいじょうを のぞいてみると
 じめんに おちた たねから、なんと めが のびています。

 ダブリーの すがたは ありません。
 まだ たねさがしを つづけている みたいです。

 ダブリーの こんきづよさなら きっとみつかる きがします。
 そのときは また じまんげな ダブリーの はなしを きいてあげよう。

 スティッキーの せなかから
 また みたことのない たねを とりあげて
 セサミは そうおもいましたとさ。

 おわり。

さいごに

この話をおもしろいと思っていただけた方、ぜひボタンズの紹介記事も楽しんでいただけたらと思います。


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