神様との相性

私は決して信心深い人間ではない。お墓参りには月1くらいで行き、初詣は地元の神社に行く。そんな典型的な(といっていいものかわからないが)日本人だ。
どこかの宗教を信仰しているわけではないが、「ご先祖さま」と「氏神さま」は大事にしているつもりだ。

わが家は夫婦ともに自営業なので、お墓参りや神社の参拝の際には、神仏への挨拶とともに、家族の健康、そして商売繁盛を祈願する。そんな願いが通じてか、私の努力の成果なのか、昨年は「順調だな」と思えるくらいには仕事の依頼をいただいていた。

秋の連休、少し遠方へ足を伸ばした私たちは、夫の希望もあって日本でも有数の商売繁盛のスポットに行った。そうして、「ますますうまくいきますように」と、発展を願った。
しかし、その後3ヵ月の売上は思わしくなく、契約打ち切りの連絡が入ることもあった。浮き沈みというか、仕事量の波がある業界だ。仕方がないとは思ったが、それまでが順調だっただけに悔しかった。

そうして年が明け、初詣に行った。先述の神社とは違う商売繁盛の神様のところにも行ったほうがいいかなと夫婦で話していたが、1月、2月とスケジュールが合わず、結局行かずじまいになった。
しかし、今年に入ってから私の仕事はまた入ってくるようになった。猫の手も借りたいほど忙しくもないし、急にあちらこちらから声がかかったわけでもないが、「これはできますか?」「こちらの案件どうでしょう?」と、付き合いの長いクライアントから、これまでとは異なる仕事の打診がくるようになったのだ。

偶然かもしれないし、神様を悪くいうつもりもないが、氏神さまのところへ行ってからの出来事だったので、「やっぱり地元の神様ってすごいな」と思わざるを得なかった。

決して、秋に参ったところの神様が悪いわけではない。タイミングや、私の日頃の行いもあるだろう。
とはいえ自分のなかではけっこうあからさまに、秋の参拝前と後で状況が変わり、さらに初詣後にも変化があったので、「もしかして私、あそこの神様と相性悪いのかな」と、ふと思った。そういうことも、もしかしたらあるのかもしれない。
もしくは、氏神さまに愛されすぎているのだろうかなどと、おこがましい考えにも至った。生まれた頃からお世話になっている土地と神社には、私もたくさんの思い出がある。

2024年も、5ヵ月目が終わろうとしている。いまのところ仕事は勢いに乗っているというと大袈裟だが、恐らく昨年よりもよい感じで終われるだろうという雰囲気はある。
神社には、お祓いなどの用事がない限り初詣にしか行かなかったが、今年は2,3回行っている。図々しくお願いをいうのではなく、お礼と報告に。

まだまだ先の長い人生、順風満帆なときばかりではないだろう。苦しいときも、どうしようもないときもあるかもしれない。そんなときにより所となるご先祖さまと氏神さまがいる私は、もしかしたらちょっぴり信心深い人間なのかもしれない。

#創作大賞2024 #エッセイ部門


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