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“街ガチャ”ってなんだ?船橋を騒がすあのカプセル玩具

・地元民しか知らない買えない だから良い

 これが「さざんかさっちゃん」か…。庶民の待ち合わせ場所 船橋駅の改札口前で、僕はキーホルダーを持ってたたずんでいました。手にしているキーホルダーが「さざんかさっちゃん」のイラストが入ったもので、その名も「街ガチャ in 船橋」。
 
 船橋に設置されたガチャでしか手に入らず船橋の人しか分からないモチーフを中身に詰め込んだプロジェクト商品で、目の付け所がマニアックですよね。船橋は“街ガチャ” の発想で新たな 観光を楽しく模索しています。

 勿論「さざんかさっちゃん」など僕は知りません。ガチャが置かれるその街を逆手に、中身のコンテンツにしてしまうその発想は、逆にその場所に行き、長居させてしまいそうなパワーを持っています。

 この発売は10月1日からで、ぶっちゃけ、ゆるい企画ながら大真面目に船橋市観光協会が記者会見を開催していて、僕も顔を出させてもらいました。街をあげての本気モードにびっくり。

 地元船橋在住のクリエイターの本間泰雄さん、同じく船橋住民のTechガチャ研究所の坂本慶一さんと僕がよく知る日本ガチャガチャ協会の小野尾勝彦さんを交えて語り始めます。

・地元ならではのスムーズな連携

 会見の口火を切ったのは小野尾さん。ガチャメーカーに入社して以来、社会人生活の殆どをガチャに捧げ、最近独立して日本ガチャガチャ協会を立ち上げた事を明らかにし、記者団の「日本ガチャガチャ協会」って何?という疑問を払拭するトーク。

 今も大手玩具メーカーに助言する立場にあって、その知見を活かして、この企画全体をプロデュースした事を明らかにしました。

 それでまず船橋市観光協会は地元民にとってゆかりの地に交渉して、その名所をグッズのモチーフにしてもらえるよう許可を取ったわけです。

 それと並行して、地元出身のクリエイター本間さんらは船橋在住のイラストレーターの浜田琴さん、小倉正巳さん、中村頼子さんらに、その許可が取れた名所のイラストを依頼します。

 この辺、地元ならではの見事なチームワークでサクサクと事が進んでいったようで、スタートが2021年6月。え?最近じゃないすか!!

 それで出来上がった名所などは合計10種類。その一つが冒頭に話した「さざんかさっちゃん」であって、知る人ぞ知るサブカルチャー的なノリは船橋を知らない人にも楽しめそうに思えました。

・PayPayでピッとやってガチャが楽しめる

「このガチャマシン自体も工夫されていて、キャッシュレスです」と話してくれたのがTechガチャ研究所の坂本さんです。

 ちなみに彼はこの筐体の手配から商品モチーフの選定、制作に至るまで携わって、聞けば、このガチャは「ピピットガチャ」と呼ばれています。

 名前の通り、例えば、PayPayなどのQRコードを写真のように読み込ませるとピッと読み込み決済完了します。それを完了させた後で、ハンドルを回せるようになり、中からカプセルが出てくる仕様になっているわけです。そうか、Techガチャ研究所とはデジタルとガチャの融合を意図しているのですね。

 地元愛はリーフレットにも。イラスト制作の人たちの名前とブログ、会社などをQRコードで紹介して、アクセスを促し、活動への応援も兼ねています。

 勿論、写真の通り、モチーフとなったお店などもマップとともにQRコードで詳細が記載されている。これは探索したくなります。

・愛着は共感を呼び、拡散を呼びうるもの

 船橋在住のイラストレーターが書いているのも重要で、地元民だからこその愛着がイラストにも現れます。

 ガチャガチャ協会の小野尾さんは「昨今、SNSなどでガチャって切り口が斬新だから商品がそれで拡散されその影響力の大きさを痛感しています。商品を出すだけにとどまらない波及効果がきっとある」と共感が生まれるそのイラストにも期待をかけていました。

 正直、僕は船橋には縁もゆかりもありませんでした。

 しかし商品のモチーフになった船橋の名所などを見ているうちに僕はつい「珈琲モナリザ」へ。

 愛着が湧いてきて、思いました。これらのガチャ商品がこの場所の魅力を伝えるメディアになっていると。


 ガチャはいつもその商品企画で、僕らの予想を超えた楽しい演出を数多く見せてきました。今度はそのガチャ自体が、その遊び心と人懐っこさで、地元の活性化を担おうとしています。

 楽しさって大事。人と人との距離を縮めて、賑やかにして、笑顔を作る、そんなガチャの持つ個性を武器に、船橋はその地元民の愛着を深めるとともに、他の住民すらも関心を惹いて、観光へと繋げるのです。

今日はこの辺で。

出典:145MAGZINE 2021.09.27

ペンは剣より強しと言います。だから本気でここで書く一言、一言で必ず世の中は変わると思っています。そのあたたかなサポートが僕への自信となり、それが世の中を変えていくはずです。