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endBooksが出会えた推せる本たち 2021年3月
ちかごろは、1月は教育関係、2月は心理学、3月は主に医療の本、みたいに拝読するジャンルを立ててみたりしています
🏥 医療で推せる本たち
保坂隆
『がんでも、なぜか長生きする人の「心」の共通点』朝日新聞出版
絶望に心を殺させてはいけない。
自己有効感の確保を主眼にして、逆境の中を過ごすための的確な策をすっと素直に教えてもらえる手堅いハンドブック。
著者さんは『がんでも長生き 心のメソッド』でも慧眼を連発していた
サイコオンコロジー(腫瘍患者さんの心の健康を支える分野)の先生。
保坂隆”研究から分かったのは、孤立感ほど癌患者の心にダメージを与えるものもないこと。そして、連帯感ほど心を元気づけるものもないということです。”
— 科学に佇むサンクコスト (@endBooks) March 25, 2016
📙 https://t.co/WA3l6lSuej
💊💪『がんでも長生き 心のメソッド』
こうすればいいですよ、こうしてみましょう、と指南する側が、下手な迷いを見せていないところが心地よい。
健常者は、日々「ああなりたくはない」と有病者を貶める価値観念の中で生きている。
有病者は、健常者があたりまえとしている世界観から脱却すべし。
さすれば汝、救われん。
國松淳和
『仮病の見抜きかた』金原出版
ドクターGだ!
仮病に限らず、診療室にやってくるいろんな患者さんの「本当の原因」を探り当てるエピソード集で、気分はドクターG!
身体の異変に困っている患者さんには申し訳ない感じがするけれど、推理ゲームの楽しみを感じちゃうよ。
山中克郎
『医療探偵「総合診療医」 原因不明の症状を読み解く』光文社新書
これもドクターGっぽいなぁと読みはじめたら、著者さんはマジにNHK『ドクターG』に指南役として出演なさってたリアルドクターG先生だった。ドクターGロスが悩ましかった身には嬉しい一冊!
「総合診療医」さんは、ほんとに人体変化の可能性を脳内に網羅した名探偵じゃないとやってけないよぉ
🧬 人体と人間界の亀裂がすごかった本たち
エイドリアン・オーウェン
『生存する意識 植物状態の患者と対話する』みすず書房
あかんです。もう、読んでいて終始ムンク状態。心叫びまくり。
😱
植物状態の患者さんの、意識が、存在することが確認できる。
脳の反応をスキャンして、か細いながらも、意思疎通ができる。
著者さんは脳活動を測定する人。
植物状態の人にも意識がある可能性を確認する人。
しかし、脳屋はカウンセラーじゃない。
分野の壁がある。
意識を確認できても、どうするんだ。
意識の存在がかすかに確認できても、そのまま全身動かず死んでいく人、回復できるとしても「意識の確認」以上になすすべがないケース、希望を持って計測しても意識が確認できなかった患者… 奈落だらけなんだ。
アルツハイマー病の脳組織の研究者が、発病する患者に対してとんちんかんな分野の壁をほの見せていた『100歳の美しい脳 アルツハイマー病解明に手をさしのべた修道女たち』に近い感触が、その百億倍になって襲い来る感じ。
川端裕人
『「色のふしぎ」と不思議な社会 2020年代の「色覚」原論』筑摩書房
ヒトの目が、色彩を捉える能力には、ヒトの耳の形が色々あるのと同じくらい、多様性がある。
どこから福耳、どこから柔道耳などと言える境界線がないのと同じように、ヒトが感じ取る色の内容はゆるゆると個人差があり、そして耳たぶがなくても工夫をすればマスクを着用できるように、色覚に違いがあってもヒトの知恵を活用すれば普通に生きていける。
しかし、ヒトが知恵を拙く活用してしまうと、どんなことが起きるか。どんなことが起きてきたか。
ほんの数十年前の日本で、色覚マイノリティに対して「こうすることが世の中のため」としてどんなことが行われていたのか。
知恵の目を通してこれまでの経緯を見返してみると、そこには善人に悪行をさせる罠もあったし、希望を奪う奈落も口を開けていた。
著者さんは
『理論疫学者・西浦博の挑戦 新型コロナからいのちを守れ!』
で的確なナビゲーション構築をなさっていた作家さん。
本書は、色覚オルタナ当事者としての自身の経験を太いベースにした上で、識者への取材とメルマガ発信での論考を経て研ぎ出された鏑矢。
発する者としての立ち位置と反響の輻輳さをよく踏まえた上で放たれる思索の矢は、広く届く音を放ちながらたくさんのターゲットの芯を一気に貫いてる。
📚 良い情報盛りだくさんで満足満足な本たち
小林智洋, 山東智紀, 山田英春
『世界のふしぎな木の実図鑑』創元社
世界中からヘンテコな実を集めて通販してるジャム屋(!)のお兄さんが、満を持して仲間と写真集を出しちゃった!
生態の妙と撮影の美しさで、もう異世界感溢れまくり!
ファンシーに風に舞うナウシカ系のタネから、まんま諸星大二郎な暗黒テクスチャの異界タネまで、どんどん大判サイズの画面で楽しめちゃう!
マシュー・ウォーカー
『睡眠こそ最強の解決策である』SBクリエイティブ
同時に日本の著者による自己啓発系とかライフハック系の睡眠本とか目を通してたんだけど、このカルフォルニアの睡眠コンサルタントさんが書いた本が情報も多いし目配りも良くて最強だった💪
これ読んでみんな、スヤリス姫になるんだ!
磯淵猛
『基礎から学ぶ 紅茶のすべて 美味しくするテクニックから歴史や産地の話まで』誠文堂新光社
数年前の本だけれど、なんかもう決定版ってくらいに基本情報からバリエーションまで、これまでに先人たちによって蓄積されてきた嗜み方の総体が、入門者にも優しく網羅されててすごいわー。
こんどからはちゃんと紅茶の銘柄と量を考えて買いますわ奥様。
ありがとう紅茶様。
※ この本は図書館によっては電子版の貸し出しがあります。
以上、今回は8冊。
この稿は、後日あらためて自前のブログのほうに転記するための下書きを兼ねています。
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