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高齢政治家の痛さの原因と、三つ子の夢は百まで効果

今回の稿の下書き中に流したツイート ↓

そして、今回の稿のタイトルは
『高齢政治家の痛さの原因と、三つ子の夢は百まで効果』

言いたいことはこれに尽きるんで、あとはもうお読みになられなくてもいいです。

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● 高齢者が、現役や若年層とは違う倫理や価値観に固執する現象。
この問題は「イマドキの若いものは」現象と混同されて「あたりまえのこと」として看過されがちだけれど、おそらく一般に思われているのとはちょっと違う機序が作用している。そんな話は、拙いながらも、こちらで説明しておいた。
『幼少期に強烈な感情刷り込みが生じやすいことについて』
 ┗ 高齢者がいだく希望が痛いことになりがちな機序についての補稿

以下は、つれづれに。

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■ 日本会議の機関紙の表紙は何を描いているか

よく考えてみてほしい。
なぜ、彼らが好んでとりあげる「心あたたまる光景」が、平成でも戦前でも大正でも明治でも江戸時代でもなく、戦後(敗戦後)から高度成長期前くらいっぽいのか。

彼らが見る夢は、令和でも戦前でも大正でも明治でも江戸時代でもなく、今の自民党高齢者層に限った、ごく私的な幼い頃の感情刻印でしかない。

1948年 そうりご誕生
1964年 東京オリンピック そうり16歳

すがそうりは団塊の世代なのだそうだ。

 団塊の世代。
 そういえば、 山岸俊男氏は、 すがそうりと同じ1948年のお生まれだった。
 この世代は、終戦(1945年)直後の超絶窮乏生活は体験していないけれど、これまで日本の民を覆いまくっていた信念やあるべき姿感が敗戦によって地べたに叩き落されていて、新旧歪すぎて整合性が取れない不穏さの中、そこを埋めるかのようにアメリカからの(自文化のエエトコばかりを見せて輝く)映画やドラマがたくさん供給されていた時期だ。
 その中で、「異国の光明と渡り合える」初めてのイコンとして強く体験されてしまったのが、1964年のオリンピックだ。
 当時は、お金持ちの家にだけカラーテレビがあって、オリンピック放送をみるために、近所の人々がそこに押しかけて視聴していた。
 お金持ちの家。
 金メダル。
 勝利の祭典。

 ヒトは、思春期までに体験した最も強い光明感が、死ぬまで、日々の選択判断に影響し続けるようにできている。
 もちろん、「思春期までに体験した最も強い光明感」は、人それぞれだし、世代によっても大きく違う。

 その中で、日本会議の機関紙の表紙は「団塊世代の幼少期」だけを、愛でているように見える。


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■ 歴史の螺旋が見せる希望の世界はズレていく

 ヒトは、良かれ悪しかれ、幼い頃に体験した環境や文化に執着するようにできている。
 なぜ、幼い頃の光景から逃れられないのか。
 昔々の世界では、未熟な状態で自分が育つことができた環境に執着しつづけると、繁殖成功度が高まってしまったからだ。

『幼少期に強烈な感情刷り込みが生じやすいことについて』

 この「幼い頃の世界を再現したがる」性向は、昔々の世界ではわりと安全に作動していた。

 たまに天変地異災害や襲撃で環境が激変しても、むやみに「幼い頃の世界」を求めたがってさえいれば、長期的には繁殖成功度が上がる。
 そんな心身にできてきた。

 でも、今は違う。
 時代変化のスピードが早まって、社会状況も「最も適した在りよう」も大きく変わってきている中で、「かつての懐かし世界」を無批判に希求されたらヤバいことになる。

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■ 自分の中の理想がこの世から消えていく理由(わけ)

この「幼い頃の世界を再現したがる」性向は、根深くも悲しい。
なぜなら、古い世代が求める「幼い頃の夢」は、供給されなくなるからだ。

時代は変わる。
江戸時代生まれの思い出を、大正時代のヒトは「なつかしい」とは感じない。
戦前生まれの思い出を、団塊世代は「なつかしい」とは感じない。
団塊世代の思い出世界に暮らしたいと感じるミレニアル世代は極めてレア。
今後の大手旧メディアは、人口の厚い高齢者ではなく、購買力のある勤労世代をターゲットに娯楽を提供していくという。

旧世代向けの夢が供給されなくなる世界、それはすなわち、彼らにとって「不安が拭えない」状態になることでもある。

さまざまな夢;あなたはこれができる、あなたは将来こうなれる…が供給されているなら、心の奥底の不安の骨は、安心感の肉に包まれて安全な場所にある。
しかし、夢の供給が足りなくなると、幼少時に刷り込まれた不安と安心の刻印が、猫小皿のレリーフのように、干上がった底に姿を表してくる。

醤油小皿アニメ

なぜ、求める光景が 戦後の昭和 であって、戦前の昭和でないのか。
なぜ、求める光景が 戦後の昭和 であって、大正時代ではないのか。
どうして江戸時代でも、明治時代でも、平成時代でもなく 戦後の昭和 なのか。

昭和螺旋600

戦後の昭和だけを理想とする世代。
無自覚に、無根拠に、戦後の昭和(彼らの幼少期)をベンチマークとするのであれば、それは 私利私欲 とどう違うのか。

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■ 生態系保護の範囲もナツカシベリー

トランプ政権時代に放送された「サウスパーク」シーズン20(2016年)には「ナツカシベリー」というおしゃべりな果物が登場する。

「ナツカシベリー」は、おっさんおばさんたちが「なつかしい」と心震わせる戯言をつぶやき続ける無敵の果物なのだけれど、おっさんおばさんたちが「なつかしい」と感じない時代の物事については一切言及しない。
トランプおじさんが目指してやまない光明感が、トランプさんの幼少期限定の夢だからだ。

政治がらみの話をよっこしても、そもそも人間がやらかす生態系保護の活動でさえ、この状態だ。↓

この「幼い頃の世界だけを再現したがる」性向は、根深くも悲しい。
なぜなら、無自覚な「幼い頃の世界」希求は、今の時代では社会的に実現が難しいだけでなく、社会を壊す方向に作用しかねないからだ。

昭和螺旋600

旧世代の夢は、別の世代の目には幸福への道には見えないし、今後の世代は、旧世代の夢の実現を不幸のもとだと見做すようになる。
『会津という神話 〈二つの戦後〉をめぐる〈死者の政治学〉』
 ┗ 次世代に夢を伝え損なう旧世代の典型について

あなたの夢は、大勢の不安を糧に築かれるのか。
できるなら、旧世代の夢の実現を寿げるような教育を、後継世代に施しておいてほしかった。

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■ そもそも旧世代の思い出を壊したのは誰

古き良き時代の温かい家庭やご近所の人間づきあい。
これ、壊したのは他ならぬ自民党じゃないかという説もある。

 社会設計(人間行動)の科学を見ずに、取り巻きの利権と忖度で駆動してきたその結果として、肝心の自民党高齢層の夢が失われて今に至るのに、今さら都合よく「夢にそぐわない若者はけしからん、夢だけちょうだい」と駄々をこねられても、どんな顔をしてみせればいいのかわからない。

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■ 世界は変わる。それでも五輪ができる日本

● 投票するときには、彼には何が光に見えていたのか、何が不安に見えるのか、「彼らの視点」を考えてみるといい
 というアオリを立てて、「なぜカイロ大学を出たということにメリットを見いだしているのか」「なぜ世襲総理は親がいた地位から落ちることを恐怖するのか」とか述べ立てようかと思ってたけど、何を書いても五輪はできてしまう。
 書いても書かなくても、こちら側の不安は解消されない。

● 内閣は年寄り用のコミケじゃない
 衆生が生きるヨスガに架空の夢を掲げて集うコミケみたいに、夢の実現を可能にする最高権力… … みたいに述べ立てようかとも思っていたけど、どうせ誰しもみんな自分の夢しか見ていないし、何を書いても五輪はできてしまう。

 現政権的には、目先の総裁選と衆院選さえこなせれば、あとは絶対安泰なんだ。
 ちょいとハードルや惨事がハチャメチャに大きなことになったとしても、権力者は切り札として温存している「国民に1人__万円」バラマキをやってしまえば政権は維持されると踏んでいる。
 政権は揺るがないと確信している。
 だからこその、あの表情なんだ。

官房長官時代とは、明らかに異なる相貌。
オリンピックは、心の健康にいいらしい。

 日本の国内では、政権は安泰。
 しかし、日本以外では忖度を前提とした強権手法は通用しないがゆえに、凋落する日本がここにある。
 日本が凋落しても、政権は安泰。覆らない。
 安泰だから、凋落を止める必要性を感じない。

そんな社会を不安がらずに寿げる幼少体験をしておきたかった。

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今月だけ、雑文集中投稿月間にしてました。
次回で最終回にします >『若年層の投票率が上がると自民党が勝つ?』

上掲の稿はブログ稿のコピーです。
追記や修正は、↓で行います

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