メルディレイアの一書-初
生まれた時から、
暴れ馬のように吹き荒れる砂漠の中でジッと佇む、
一本の小さなサボテンのような虚無感や、
ぬぐいきれない疲労感を抱えて旅をして参りました。
何故旅をしていたのかといいますと、
それは私の中の虚無感や疲労感を洗い流したり、
ゆるやかに浸かって落とすためでございました。
もくもくと先に進むたびに、肌には傷が付き、心は力尽き、
反して体には肉がついていきました。
街を9つ過ぎ去った頃、故郷を過ぎた頃に比べて、
しっかりとしていた身体を見て、
私はなんて無駄なものをつけてしまったのかと思ってしまいましたが、
湯あみをしているときに、肌に刻まれた傷に触れると、
何とも、心地いいと、高揚の気分を感じることが出来ていて。
頬と口元が柔らかくあがっていたのに気づいたのでした。
初めのころの私の肌は白く、例えるなら真綿のようなものでした。
けれど、今となっては陽にあたって焼けかけているような岩、
そのような褐色の肌となっておりました。
湯あみを終えて冷たい石の床を、ピタピタと歩いて。
焼けかけの肌を、冷えた石床から伝わる熱が冷ましていく中であっても、
私の胸の奥の熱は、消えることも癒えることもなく、
どんどんと燃え上がっている……。
そんな気が、身体を侵しているような気がしたのです。
熱がどんどんと体をめぐっても、
私はその熱をどう逃がせばいいかわかっておらず、
私は立ち止まることをする暇などないと、とも思っておりましたから、
当然、旅途中に声をかけてくる殿方にも、
興味を咲かせることはありませんでした。
偶然、本当に偶然なのです。
あの方と、お会いしたしたのは。
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