-R-
寒空の下、息を切らしながら僕は黙々と歩き続けている。
そうして。
らしくないなと思いながら、ボクは彼女の手を掴んだ。
どちらが先に入水するか、したかなんていうのは今はよくわかってない。
けれど、僕は彼女がをあいしていたことを知っている。
だから、僕は雪のように白い腕を掴んで、彼女を強く抱きしめた。
どうして、あんな風になったのか……。
今の僕にはわからない。
けど、「愛しているよ、もう一度だけ君を抱きしめたかった。」
間に合っているのかどうかわからないけれど、でもせめて。
「君を喪いたくなかった。」
だから、雪と同じように溶けないでくれ。
僕にとって、君は必要なんだ。
どれ程得体の知れないものが自分の中を侵食しても、
君に対して焦げ付くように熱を持つ愛情が、
黒い虹の気持ち悪さに負けることはないと、
胸を張ろう。
錆びついて、沈みたくなった気持ちも、
鈍く、暗くなった血もきっと熱くなると向き合って。
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