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第41回 村長散歩日記【村内散歩編】 240121(週末配信)

 
(島田啓介マインドフルネス・ビレッジ村長による村長日記です♪)
 1月28日にマインドフルネス・ビレッジでは能登の被災地へのチャリティイベントを行います。

https://peatix.com/event/3819766/

 ここにいて今すぐできること、それはセルフケアとミューチャルケア(互いの支え合い)だと思います。でも具体的に何をどうすればいいのかわからない。いろいろな論説が飛び交い、SNSでの発信が手軽に行えるようになり、かえって迷いも増えたかもしれません。
 そんなときにはまず自分に戻って、自分とともにいること。あわてて動き出すと、感情が扱いきれなくなったり、関係性の壁につき当たったりするかもしれません。自分を癒すことがさらに進んで、被災地への布施になればと願っています。

写真は全て島田啓介さんの提供によるものです♪


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【第41回:私に何ができるのか?】


*社会活動とか平和運動などと呼ばれる、いささか名前は古びた感じがするがそうした役割も必要だ。しかしそればかりでは生活していくことは難しい。かつてアメリカで一時期アクティビスト(そうした特殊な活動をする人たちの名づけだ)の仲間だったぼくは、約一年お布施で生活していた。
 アメリカ合衆国は、ある意味現代のアクティビストたちの格好の活躍の場であるが、パトロン付きで、あるときにはあえて危険に進んで身を投じるような激しい人たちにも出会った。危機的なストレス下に置かれるとドーパミンが噴出して一種異様なハイな状態になることがある。
しかし一方で、そうした「やりたいことだけ」している人たちには危うさもあった。彼らの多くが、家族など近しい人との関係に問題を抱えていたのである。意識が外に向くあまり、身内に対しての心配りが薄くなるのだろうか。
 良いことをしている、正義であるという意識は相対的なものだ。そうした有用性の意識が敵を作ったり、行き過ぎれば破壊的になりかねない。外でのフラストレーションが内側に向かうことがある。自分に向かえばアルコールやドラッグの依存症にもつながる。ストレスからそうした薬物に依存する人の率がとても高かった。
 ぼくが生活時間のほとんどを捧げるような活動から身を引いたのは、それがおもな理由だった。社会を良くしようとしても、心安らかでなければ何にもならない。そこから、セルフケアという発想を知った。ティク・ナット・ハンのマインドフルネス瞑想に出会ったのもそのころだ。
“ The way out is in”と彼が言うように、外側の問題解決のカギは内にある。まずは心を安らぎや喜びで満たすこと。そうすれば認知が変わる。世界を見る視線も変わってくる。慈悲喜捨の働きは内側の整いがなければなしえない。


 能登で地震と津波が起こり、多くの人や建造物が被災した。しばらくすると、何かできないかと思い始める。この20年ほどで日本の防災意識は大きく変わった。でも何が本当にいいのか、にわかにはわからない。盲目な善意ほど障害になるものはない。応急的な手立ては、多くの専門家や近くの関係者がすでに施している。
インターネットの社会になってから、心を騒がせるようなニュースを洪水のように浴びる機会が増えた。自分で選択すればいいとはいえ、コンピュータやスマホなしで済ませるわけにいかない現代人には、なかなか難しいだろう。だからこそ余計にネット・マインドフルネスが必要だ。
仏教の四食の教えでは、触食(そくじき)と言って感覚刺激も食物になる。あまり刺激の強い、強烈でネガティブな情報ばかりに接すると、精神的な消化器官は参ってしまう。まずは自分を労わることが大切だ。でなければ、厳しい現実の中で何をすべきか、すべきでないかの判断力も鈍る。


そのうえで今できることは何だろう? 仏教には布施という言葉がある。
28日にマインドフルネス・ビレッジの講師仲間で行うことになった能登へのチャリティの催しは、講師から参加者への布施である。参加者からはカンパ(財施)をいただき、それを被災地への支援にする。
内容はくつろげるような、セルフケアにつながるものが多い。そうして自分が癒された体験の恩恵を、カンパという形で転送する。マインドフルネス・ビレッジで今できることのひとつだと思う。
また、金銭ではない「無財の七施」もある。
 
1.眼施~慈しみの眼ですべてに接する
2.和顔施~穏やかな微笑をたたえる
3.愛語施~思いやりのこもった態度と言葉
4.身施~身体的な奉仕
5.心施~慈悲喜捨の心
6.床座施~場所や地位など気前よく譲る
7.房舎施~自宅など心地の良い環境を惜しみなく明け渡す
 今すぐできることが見つかるだろう。被災地に直接影響がなくてもかまわない。平和のバタフライ効果と思って、どれかを試みる価値はある。
ぼくは鬱で悩まされていたころ、知らずに和顔施を行っていたことがある。何を失くしても、微笑むことはできる。最低でも微笑もうとすることはできる。十回に一回でも微笑めれば、自分自身がやさしい気持ちになる。もちろんそこに人がいれば、相手の気持ちもやわらぐだろう。
 布施は内と外両方に働く。自利=利他という公式が成り立つかもしれない。それが波紋のように社会を変えていくエネルギーになる。内側に向かった波紋は無意識層に届く。
 過激な社会活動より今ここの微笑み、それがはるかにパワフルでありえることをぼくはマインドフルネスによって実感している。
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*毎月のスケジュールはこちら(ときおり変更もあるので、必ず以 下から確 認してください)
https://mindfulness-village.mystrikingly.com/schedule
     


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