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冬眠の哲学:自然のリズムと野生の理性

年明けて小寒入り。寒さが厳しくなってきましたね。

外の睡蓮鉢に住んでいるわが家のメダカは、なかば冬眠状態に。日差しの温かい日だけ水面に顔を出しますが、大体はカチッと固まって物陰に沈んでます。

哲学者のニーチェは、ロシア兵が行軍に耐えられなくなり、雪中に身を横たえる姿を「冬眠への意志」と表現しました。極限の状態の中では、代謝を抑え、エネルギーの保存を図り、生き延びようとする「野生の理性」が働くと。

何も受け付けず、何にも反応しない姿。

それはタイ北部の洞窟で13名が遭難し、動かずに瞑想をすることで、約9日間を耐え切り救出された事件を思い出させます。
洞窟の中は、低い酸素濃度だったにもかかわらず。

それはまるでジャック・マイヨールが55才で100メートルを超える深さを潜った時、イルカ並に心拍数を落としていたことのように神秘的だ。そんな原初的な「野生の理性」が働いている時に見える光景は、一体どんなものなのだろう。

そんなことを考えると、動かぬ冬のメダカも思慮深い感じに見えるから、何だか不思議です。

人の心身が凍りつくことも、一種の「野生の理性」。
何も悪いことばかりではないのか。そんな気さえします。

春の温かみ。その自然な雪解けを、焦らずに待ちたいと思うこの新年です。

(文責:山田直)

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