ゼロからわかる自己調整学習③自己調整できるまでのステップ
自己調整学習に関する連載の続きです。
今回は「自己調整できるようになるためにはどんなステップを踏んでいくの?」という疑問にお答えいたします。
そもそも、はじめから自己調整できる子どもなんてめったにいないですよね。大人ですら難しいわけですから。
はじめからできるなら教師はいらないわけで、やはり最初は他者からの影響が大きいと言われています。
今回は「自己調整発達の4段階」について解説していきます。
①観察レベル 見てやり方を学ぶ
学習方法のお手本を見て、試しにやってみる段階です。
子どもは、とりあえずそのままやってみる、という状態です。
ここでは「モデルを示す」「言葉での説明」がポイントになります。
【モデルを示す】例
教師がやってみせる
過去の児童の取り組み例を見せる
【言葉での説明】例
学び方の手順を説明する
教師と一緒にやりながら解説する
②模倣レベル 自分でマネしてみる
教わった通りのことをとりあえず自分でやろうとする段階です。
教わった学び方の手順が子どもに身についており、自分でまねしてやってみようとしている状態です。
ここでのポイントは「学び方の”パターン”を理解している」ということです。完全に教わった通りだけのことではなく、例えば漢字学習で習った方法を英単語の学習でもやってみるなど、違う学習にも当てはめてマネしていくことができるようになります。
さらにその当てはめ方がよかったのかどうか教師からフィードバックを受けることで、より学び方の意味や型を理解するようになります。
③自己制御レベル 自分のものにする
教わったやり方については自分で使いこなせるようになる段階です。
教わった学び方が、当たり前のようにできるようになるだけでなく、
新しい場面でも「あ、ここでもあのやり方が使えそうだな!」と自分の基準と照らし合わせて学び方を選ぶことができます。
そしてそれがうまくいった場合、自分の中でその学び方がさらに強化されるようになります。
④自己調整レベル 自分に合った形で工夫してできる
学び方を自分なりにカスタマイズし、完全に自分で調整する段階です。
教わった学び方だけでなく、自分なりの学び方をつくり出すことができるようになります。
また、状況に合わせて学び方を変えるなど工夫することもできます。
このレベルに達してようやく「自己調整」できる子ども、と言えるのです。
まとめ
最初の2段階は教師や友人のモデルを観察したり、それを真似したりという他者の影響が大きいですよね(これを「社会的影響」と言います)。
一方、3・4段階目になると、自分の内側からの影響が大きくなります。
このように自己調整の能力は、「最初は社会的な影響を大きく受けながら、徐々に自分の中からの影響を受けるように」発達していくと言われています。
いきなり「さあ、泳ぎなさい」と海に放り込んでも泳げるようにはなりませんが、お手本を観察し、まねをして、いろんな場所で泳ぐ訓練をしていくことで、最終的に海でも泳げるようになる。
そんなイメージがぴったりかもしれません。
参考文献
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