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小説『重生之网红』(生まれ変わってネットアイドルに)のレビュー

中国のBL小説です。他のBL作品であまり見かけない要素があって気に入っています。私はタイ語版で読みましたが、タイトルは日本語に訳すと「生まれ変わってネットアイドルに」です。調べる限り日本語版はないようです。

『重生之网红』
作者様: Yao Ri Yue
タイ語版翻訳: Nokkaew
タイ語版の出版社: Narikasaii Publishing


どういうお話かというと、キッチンの事故で命を落とした料理人Hua Jiangが、6年前の自分に生まれ変わり、料理系ネットアイドルの道を歩んでいく成長&恋愛ドラマです。

生まれ変わりと言っても、過去の自分に戻るんだから、外見や社会位置など変わっていないが、主人公は人生に対する後悔を胸いっぱい持っています。

目覚めたら2010年に戻っている。ネットアイドルが数年後儲ける職業だとわかり、weiboのアカウントを作って料理を教える投稿を始めた。前世では自分の事を無意識に見下しているHua Jiangでしたが、これからは苦しい結末の片思いを後にしに幸せを掴めると決めたのです。

彼の投稿を見てファンとなった一人は、Yang Jingjao。超お金持ちで国民の旦那様と言われいている。鬱病を持っている心が繊細なイケメンです。Hua JiangとYang Jingjaoの恋愛はお互いを補足するようで読んでてこっちの心が温かくなりました。そうは言ってもHuaJiangは喜怒哀楽を持って決しって優しい天使様ではありません。そこがまた人間らしい。

この小説の魅力は、主人公たちも周りの登場人物も実際にでも居そうな人間と感じさせる描写だと思います。鬱病の人をリードキャラクター側にする小説はあまり見かけませんし、Hua Jiangに関しても未来がわかるから、何もかも簡単に成功してしまうわけではない。だから読んでて親近感が湧きやすい。

もう一つの魅力は、キャラクターの頑張り姿ですね。HuaJiangが努力して今の位置から足掻いていくエピソードが具体的で、これは小説と言う名のlife-coaching bookなのかって思うくらいです。「中期目標」「長期目標」って単語をBL小説ではじめてみました。

そして、周りの登場人物もHuaJiangに感化され自分を変えようとします。重要な登場人物がほぼみんな2冊の物語の中で成長していく。

簡単に言うと自分の人生を思うままに生きるために努力する主人公&その周りの人たちのお話です。fiction的な重すぎる展開はありませんが、泥臭いところがあると言う人も居るかもしれません。しかし、私はそれがまた人生に起こり得るレベルで、人生臭いBL小説の二冊だと思います。

この小説を読んで自分もネットアイドルになる!とか、自分も変わりたいとか、そういう気持ちになりませんが、なんとなく人生の理屈がもっとわかってきた気がしました。小説の中の芸能界、ビジネス界、そして彼ら彼女らの価値観を通して。

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