アイドルの下手くそな歌に感動するのは、メシマズヒロインの手作り弁当と同じだから【オタク考察シリーズ】
ここ数年、VTuberのオタクをしている私ですが、元々は重度のももクロオタクをしていました。
VTuberにもアイドル活動をしている人は多いものの
VTuberの歌のランキング動画を作っていると、アイドルというよりアーティストやミュージシャン的なVTuberを見ることの方が多いので
そこにアイドル的なVTuberさんの動画が差し込まれると、少し面食らうときもあるのが事実です。
逆にももクロオタクをしていた時は、
音楽ファンからの「アイドルなんて呼ぶな!」
みたいな声を聞いて、悲しくなることもありました。
そんな私は、アイドルファン、音楽ファンの
どちらの気持ちもわかるので
アイドルの歌が上手くなくても、それに感動する気持ちを言語化して、この両者の壁を少しでも解消できないかな?と思い次のようなことを思いつきました。
歌が下手なアイドルの歌に感動するのは、メシマズヒロインの手作り弁当と同じだからなのでは・・?
メシマズヒロインとは
メシマズヒロインという言葉、もしかしたら死にかけている言葉かもしれないので、ちゃんと説明しときましょう。
メシマズヒロインとは、料理が下手くそで飯がまずいヒロインの事です。
この手のヒロインは、古来より漫画やアニメに登場していまして、
下手な理由はドジっ子であったり、ガサツであったりと様々。
そんなメシマズヒロインの魅力がわかれば、歌下手アイドルの魅力も分かるのでは?と思うのです。
ではまず、メシマズヒロインの魅力を、物語の流れに沿って説明してみましょう。
メシマズヒロインの物語(起):料理を作るヒロインちゃん
メシマズヒロインちゃんは、想いを寄せる"彼"のために
お弁当を作ることを思い着きます。
しかし、いつもご飯はママに任せているため
慣れない料理に悪戦苦闘します。
出来上がったのは、ダークマター。
「大事なのは、見た目じゃないわよね!」
とか言って、弁当箱にそのダークマターを詰めて、学校へ
メシマズヒロインの物語(承):彼にお弁当を食べてもらったけど、大失敗😭
それを持ってこられた彼は、思わず苦笑いを浮かべるも
彼はとてもイケメンで優しいので
せっかく作ってきたお弁当を拒否することはなく、
恐る恐る食べてみることに。
しかし、そんな彼の優しさも虚しく、ぶっ倒れてしまう彼。
良かれと思って、作ってきたヒロインちゃんも、大ショックです。
メシマズヒロインの物語(転):リベンジしようとするヒロインちゃん
彼に嫌われてしまったかもしれないと、悲しむヒロインちゃん。
それを見かねた誰かが、ヒロインちゃんを助けます。
ここで誰がどのように助けるかは、その漫画のテーマによるのでしょう。
ミルモでポンなら、ミルモが魔法を使いますし
ToLoveるなら、ララが発明品を取り出します。
ファンタジー要素がないなら、頼りになる料理上手な友達や先輩が助けてくれるかもしれません。
そんな誰かの力も借りて、もう一度自分の力で彼にお弁当を作るヒロインちゃん。
メシマズヒロインの物語(結):遂に努力が実を結ぶヒロインちゃん
再び彼にお弁当を持ってきたヒロインちゃん。
しかし、彼をぶっ倒れさせてしまった過去があるため
彼の取り巻きに、門前払いされてしまいます。
せっかく一生懸命お弁当を作ってきたヒロインちゃんは、
「またダメか・・・」と、あきらめかけた、その時!
イケメンな彼は、ヒロインちゃんの指に
絆創膏がいくつも貼られているのを見つけます。
彼「その手、どうしたの?」
ヒロイン「え・・・ちょっと切っちゃって💦」
それを聞いた彼は、お弁当をもう一度受け取ることを決意します。
お弁当を開けてみると、前回よりはお弁当らしい見た目はしているものの、とても見た目が良いとは言えません。
それでも、思い切ってお弁当を口にする彼。
( >_<)エイ!パクッ
食べてみると……
あれ?意外といける…?
見た目は良くないし、すごく美味しいわけでもないけど
全然これなら食べれる!
お腹も空いていた彼は、お弁当を全部平らげます。
そして、「美味しかったよ」と、空になったお弁当箱を返す彼。
全部食べてくれた彼に、感激して喜ぶヒロインなのでした。
(ギャグものだと、遅延性の毒で彼がぶっ倒れるパターンもあります。)
メシマズヒロインの魅力
これが、よくありがちなメシマズヒロインの展開かなと思います。
決して、劇的に料理が上手になったりはせず、ちょっとだけマシな料理が作れるようになるだけなのですが、ただその努力が彼には伝わることで、彼とヒロインちゃんは少し距離が近づきます。
この"彼のために、一生懸命になって料理を作る"という、その努力が、メシマズヒロインの1番の魅力なのです。
彼のために愛情を込めて料理を作る、その真剣な姿に、読者は心打たれます。
そして、流した汗と付けている絆創膏の数だけ、彼女は魅力的に見えます。
歌下手アイドルの魅力
アイドルの歌も、このヒロインが真剣に作ったお弁当と同じなのです。
アイドルのCDやライブ映像には、よくメイキングが付けられます。
そこに付いていなかったとしても、ファンが視聴できるところ(ラジオやファンクラブサイト、本人のブログなど)には必ずメイキングや裏話というものがあります。
そこで、オタクたちは知るのです。
アイドルが、どんなに汗を流し、どんな苦労をし
どんな成長をして、そのCDやライブを完成させたのかを
そして、普段の可愛い笑顔を振りまく彼女たちとは違う
真剣な眼差しと、そのカッコ良さという新たな魅力を発見し、もう完全にそのアイドルにハマってしまうのです。
そんなアイドルの努力を知ってしまったオタクたちは、
もうアイドルに下手くそなんて言えません。
我々 オタクのために懸命になって作ってくれたCDやライブに、「良かったよ。」と「頑張ってたね。」と言う事が、せめてものアイドルへのお返しでもあるのです。
さらに言えば、とても上手いとは言えないパフォーマンスでも、黙って拍手をすることが、オタクがカッコつけられる要素でもあります。(実際カッコイイかはさておき)
「下手くそ!」と言われてしまう世間の声も、"メシマズヒロインの絆創膏"のように、世間からは気づかれていない彼女の魅力と努力という、演出のひとつに変わっていくのかもしれません。
アイドルよ、歌は上手くなくてもいい。でも頑張って歌ってくれ。
これがメシマズヒロインから考える、歌ヘタアイドルの魅力です。
裏を返せば、アイドルに必要なのは、歌のうまさではなく
歌やパフォーマンス、活動に対するひたむきさなのだとも言えると思います。
そのひたむきささえ伝われば、人を感動させられるし
成長していく姿も見せられることでしょう。
推しの成長を見ていくことは、アイドルオタクにとって、何よりの喜びです。
だから、アイドルよ、上手くなくてもいいから
頑張って歌ってくれ。
そして、昨日より今日。今日より明日のステージを
少しずついいものにしていってくれ。
それができれば、君はもう立派なアイドルだ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?