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6月の読書記録 | 『傲慢と善良』『マチネの終わりに』etc..

6月は10冊近く読むことができました。
その中でも印象に残った数冊を書き留めます。

傲慢と善良/辻村深月

少し前に話題になっていたのは知っていましたが、なんせ天邪鬼な者で。。帯の「人生で一番刺さった小説」という謳い文句に、んな大げさな(笑)と思い読む気になれませんでした。
しかしごめんなさい。私が間違ってたかもしれない。。
今まで一番刺さったかどうかはともかく、世界観が夢にまで出てくるほどには影響を受けました。

簡単なあらすじは、
『お互いに30代の架と真実は、婚活で出会い婚約。しかし突然真実が失踪する。架は真実を探しながら、彼女の本当の姿を知り、そして自分自身とも向き合うことになる』といった具合でしょうか。
ミステリーと評されていますが、ドキュメンタリーかと思うほど登場人物一人一人の心情がリアルに浮き上がっているので、ミステリーを期待するとギャップがあるかもしれません。

特に、結婚相談所の小野里さんの言葉が印象的だったので引用します。

「うまくいくのは、自分が欲しいものがちゃんとわかっている人です。自分の生活を今後どうしていきたいかが見えている人。ビジョンのある人」
(略)
「三十にもなれば仕事も安定し、趣味や交友関係もそこそこ固まって、女性も男性も生活がそれなりに自分にとって居心地がいいものになりますから。
けれど、そのまま、変わらないことを選択する勇気もない。婚活をしない、独身でいる、ということを選ぶ意思さえないんです」

うまくいく人は、自分が欲しいものがちゃんとわかっている人というのは、小説の中では婚活のことを指していますが人生全般に当てはまるように思います。
でも現実問題、その肝心な「自分が欲しいもの」が何なのかが曖昧なんですよね。だから何度も悩んだり、遠回りをしてしまうのです。

また婚活をしない人のことを「独身でいることを選んだ人」ではなく、「変わらないことを選択する勇気もない」とバッサリ言い放ったことに愕然としました🙂

実際、色んな事情で独身でいることを選んでいる人も沢山いると思います。
しかしこの小説はそのような人に伝えたいのではなく、おそらく「素敵な出会いがあれば結婚したいけど無いから仕方がない」と、ろくに行動にも移さず、時間が過ぎたままの人へ向けられているのだろうと思います。
そして現代社会では、前者よりも後者のような方が圧倒的に多いという。この作品は、このような現代の恋愛模様・人間心理を細かく言語化されています。

変化する方を選ぶのか、このまま変化しない方を選ぶのか、
これまでの私は、どちらを選んでも悩んで出した結論ならどっちも立派な結論と考えていました。
(例えば、退職する(変化)かこのまま会社にいるか(変化なし)について。どちらにせよ頑張らないといけないことには変わりはないので、どっちをとっても立派な結論なんだよ、みたいな。大事なのは自分が納得しているかどうか!

この考えに変わりはありませんが、それが本当に自分と向き合った結論なのかは、自分が一番気付いていると思います。誤魔化してみても、です。
少なくとも恋愛に関しては、“変わらないこと”の方を選びやすい私は、ここではっとさせられました。

この作品に出会うのがあと数年遅かったら、1か月は引きずったかもしれない…。このタイミングで出会えてよかったです。

マチネの終わりに/平野啓一郎

この作品との出会いは、3年前に飛行機の中の映画でした。
世界的ギタリストの蒔野(福山雅治)とジャーナリストの洋子(石田ゆり子)が出会った日の会話より、当時の私に衝撃を与えてくれた言葉があります。

「人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えてるんです。変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える。過去は、それくらい繊細で、感じやすいものじゃないですか?」

よく「未来はまだわからない!変えられる!」という言葉がありますが、未来は過去~現在の積み重ねであるだけ。
たしかに過去に起きた出来事自体は変えることができませんが、その解釈やこれからの自分によっては良い方にも悪い方にも変わりうる儚いものです。
「あの時の苦労があるから今の結果がある」と言う心理が、綺麗に言語化されているなと・・。
辛いことも恥ずかしいことも悲しいことも全部嫌だけれど、後悔する暇なくすべて糧にして、どっしりと肝の据わった、心のまるいおばあちゃんになるのが究極の目標です。
未来の自分が過去を肯定できているように、今のベストを積み重ねていかなくては!

まなの本棚/芦田愛菜

ずっと読みたかった本!やっと読めました☺️
愛菜ちゃんの読書愛を味わえる一冊です。小学生くらいのお子さんがいる親御さんには大変参考になるのではないでしょうか・・!??
もちろん、大人もじゅうぶん楽しめる内容です。
読書好きな人は「愛菜ちゃんもこの本読んだことあるんだな~」と感想を楽しめますし、そうでない方は「読んでみたいな」と思える作品にきっと出会えると思います。愛菜ちゃんの紹介を読んで、私は風土記と海外ミステリーを読みたくなりました!

その他にも、オードリー若林正恭さんの『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』、辻村深月さんの『鍵のない夢を見る』、藤原正彦さんの『国家の品格』など。
特に国家の品格は、付箋だらけになるほど学ぶことが沢山ありました。グローバリズムと言われている今だからこそ、読むべき一冊のように思います。こちらはもう少し復習してから、別途noteに書きたい!

それでは。7月もたくさん読みたい📚


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