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簿記の根底:許可/命令/禁止/免除


資産とは許可された状態である

 もともとは禁止されていた行為が、取引(=経済的な約束)により許可されることとなった状態を「資産」といいます。

 例えば「100円をもらう約束」は、「個人が社会から、100円をもらうことを許可された状態」を指す。よって、資産である。

 そもそも「100円自体」も、「個人が社会から、100円分の価値を受けることが許可された状態を証明する物」である。よって、資産である。

費用とは許可が禁止されたことである

 この許可された行為(=資産)を実行に移すと、また元の禁止された状態に戻ります。

 資産が(他の資産に変換されたりせず)単独で禁止された状態に戻ったとき、それを費用といいます。

 例えば100円を落として無くした場合、無くすのも本人の勝手(=権利の1つの行使)とみなされ、費用化される。

負債とは命令された状態である

 もともとは免除されていた行為が、取引(=経済的な約束)により命令されることとなった状態を負債といいます。

 例えば、「100円を渡す約束」は、「個人が社会から、100円を渡すことを命令された状態」を指す。よって、負債である。

収益とは命令が免除されたことである

 この命令された行為(=負債)を実行に移すと、また元の免除された状態に戻ります。

 負債が(他の負債に変換されたりせず)単独で免除された状態に戻ったとき、それを収益といいます。

 例えば100円を拾った場合、普通は持ち主に返さなければならない(=負債)が、他の誰のものでもないと社会に認めさせることができれば収益化される。

資産と負債は同時発生する

 資産(=許可されること)と負債(=命令されること)は同時発生します。なぜなら、取引(=経済的な約束)は他者と平等でなければ成立しないからです。

 例えば、海君は山君から100円(資産)をもら
う代わりに魚1匹捕ってくる(負債)という取引を考える。
 もし海君が魚1匹捕ってくるだけの取引なら海君が反対するので、成立しない。逆に、海君が山君から100円もらうだけの取引なら山君が反対するので、これも成立しない。

利益(=資産-負債)は残る

 資産と負債が同時発生した後、得られた資産を守る(=費用化を抑える)と同時に、押し付けられた負債を消す(=収益化を進める)ことができれば、残った資産から残った負債を引いたときの差分(=利益)が残ります。

 このように利益が残る仕組みを、ビジネスといいます。利益が残らないビジネスは淘汰されるので、存続しません。

 上図の例でいうと、海君は利益が残っているのでビジネスである。山君は利益を出しておらず、単なる消費者である。

現金移動タイミングは離散化する

 資産・負債・費用・収益の考え方は、理論的に連続なモデルです。ただし、実際の現金の移動タイミングは離散的とならざるをえません。このように離散化された現金回収点を「マネタイズポイント」と言います。

 例えば、小さなニーズを満たす商品を小さな費用でばらまく場合、消費する都度お金を払う取引にすると面倒なので成立しません。

 継続して消費してもらえる商品の場合は、一定期間ごとに使用量に応じて後払いさせる「従量課金」や、毎月定額で使い放題とする「サブスク」など、離散的なタイミングで代金を払わせるのが一般的です。

 直接の利用料徴収が見込まれないサービスでも、別の商品を購入するタイミングで費用を上乗せして代金を払わせる方法が使えます。代表的な手法は「広告」と「手数料」です。


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