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湘南平33本、貧脚のエベレスティング(ハーフ)達成メモ

湘南平でハーフエベレスティング(4424m↑)達成しました、剛脚でなくても達成できるものなので、勝因や反省点についてメモしておこうと思います。

達成できるかどうかは、フィジカルの要素は少な目で、「経験」「メンタル」「戦略」の要素が強く、平坦300Km走れるパワーがあれば、獲得標高2500の200Kmブルベも獲得標高4500の100Kmハーフエベレスティングもできると思う(激坂大好き人間の感想です)。が、メンタルはもっと強いレベルが要求されたと思う。

達成したコースは、片道1.5Km(1往復で3Km)、獲得標高139m、平均斜度9%、これを32本登ればOK。保険込みで33本、距離100Km獲得標高4500ぐらいを13時間ぐらいで走破。バイクはインナーロー34T-30Tのロード。だいたい計画通り達成。

(1)経験の重要性

「経験」の重要性を説明するために、スポーツ自転車乗り始めの頃の自分が挑んだらどうなったか想像してみたい。
・装備が充実してなく、今回より1~2Km重い装備で登っただろう。
・燃費が悪い走り方で、筋肉疲労でリタイアになってたかもしれない。
・フォームが悪く、どこか関節痛めたかもしれない。
・寒暖の差に対応できなかったり補給が追い付かず調子を崩したかもしれない。
・自転車関係のTwitterのフォロワーが少なく、孤独で心が折れたかもしれない。
・メンタルが脳筋で、単純な登坂の繰り返しに耐えられなかったかもしれない。
・激坂やロングライドが大好きというほどではなく、途中で心が折れたかもしれない。(今は大好物)
・コース選択やコースに合わせた戦略を立てられず、非効率な攻略になったかもしれない。

フィジカル面の強さはあまり変わってなくても、こうした「経験」の積み重ねが大きな違いとなり、今回の成功につながったのだと思う。当時でも達成したら1億!みたいな報酬があれば、まぐれで満身創痍になりながらも達成できた可能性はあるが、今は豊富な経験を元に負ける要素を除外して低レベル攻略RTAの如く楽して高確率で達成できる、かのような違いがあるだろう。

(2)準備の重要性その1

続いて今回行った「準備」について。少し前までの自分の1日の最大獲得標高は3000m、朝から晩まで山岳をゆるふわらライドしていれば2000は行くし、頑張った日には2500にはなるが、日が暮れたら山を降りるゆるふわが3000超えるのは難しかった。しかも今年はコロナのせいであまり走れてない。というわけで、本番1~2ヶ月前から山岳多めのライドをして、本番2週間前にグンマーの山岳で獲得標高3000m超えも走り、気温4度のダウンヒルもやって寒さへの適応も完了。
※私はフィジカルトレーニングを一切しない主義なので、脚力は普通です。筋力は通勤通学で平日毎日自転車乗ってる人より弱いかもしれません。

(3)準備の重要性その2、コース選定

続いてコースの選定、これが大きく難易度を変えるはずなので入念に調査。斜度は緩い方がいろんなフォームで走れて負荷を分散しやすいが、緩いと走行時間が長くなりがちで睡魔対策が問題になる。斜度がきつい方が獲得標高あたりのパワー効率や時間効率は良いが、きつすぎると体を痛めてリタイアになるリスクが増える。また、1本あたりの距離は短い方が下りの休憩をこまめに取れて効率がいいが、繰り返し回数が何十回にもなるとメンタル的にきついし、あまりに短すぎると折り返しのタイムロスも大きくなる。回数減らす場合でも標高差が大きいと寒暖の差も大きく点には注意だ。

自分の得意な7%~10%のコース候補は、
①赤城山:畜産~姫百合、獲得659mx7本(7%)
②甘利山:獲得標高1125m×4本(9.6%)
③大野山:獲得標高549m×9本(8.2%)
④よみうりランドV坂:獲得標高63m×71本(8.5%)
⑤湘南平:獲得標高139m×32本(9.0%)

自動車があれば駐車場を拠点にできてコース選択肢を増やせるのだが、持ってないので付近にコンビニや自販機があるコースに制限される。10月11月に挑むには赤城や甘利は寒さが不安。大野山は試走したところ、下りが混じってたりがけ崩れ工事で迂回ルートしか走ることができず認定条件を満たさないリスクがあった。よみうりランドのV坂は短すぎるが車があれば良いコースだ。カーシェアとかの利用も考えてみたが長時間利用のカーシェアは高い。それなら車を使わずよみうりランド駅構内のコインロッカー使えば、何度も入場券で改札通っても、1000円ぐらいでなんとかなる、なんて計算もした。

結局、検討の結果、総合的に条件の良い湘南平に決定。標高が低い(寒暖の差が小さい)、麓にはコンビニ、頂上にはトイレ売店レストランにゴミ箱、自販機も多数あり、景色も良くメンタル回復もできる。これで雑なコース選定に比べて難易度は数十パーセント低くなったことだろう。

(4)準備の重要性その3、実際の準備

続いて、少しでも難易度を下げるために準備を整える。始発終電の時間を調べ、何時までに終わらなければリタイアするかのリミットを決め、コーラのある自販機をストビューでチェックし、頂上レストランの営業時間を調べ、お祭りなどの混雑要因がないかチェック。サドルバックを外したり軽量化。体重バイク装備込みで70Kgを1Kgぐらい減らしたところで誤差だろうが、勝つためというより負けた時に後悔しないために些細なことも努力しておく。そして朝4時起きに備えて数日前から早寝早起きに移行しておいた。当日いきなり早起きしようとしても難しいので、事前の順応が大事なのだ。寒暖の対策では、グローブを3種類(冬用、夏用、インナー)用意。荷物のデポ等はしないことにした。少しでも軽量化したい一方、慣れないデポには抵抗があった。

(5)準備の重要性その4、承認欲求を味方にする準備

撮影用のGOPROは持っていく。重量や撮影タイムロスを考えると損だが、後でニコニコ動画にUPすることをモチベーションになり、メンタルが強くなるアイテムなのだ。公開前提で撮影することで自分をサボらせないようにする作戦と言うのも存在するが、今回のような長時間ライドでは効果は限定的。やり方を間違えると、「バッテリーが足りないから撮影STOPしよう」が「撮影してない時はサボろう」に変化しかねないからだ。今回の場合、「適当に撮って都合のいい所を切り取って編集すれば動画的に十分だぞ!」作戦が妥当だ。

スマホ操作も同様にタイムの面ではロスだが、モチベーション維持ではプラス。Twitterの「いいね」がパワーになるし、「いいね」がもらいやすい富士山の写真を撮れるのも湘南平のコースが有利なところだ。

今回、他人のサポートは一切なしで達成したわけだが、ネットがない時代だったら、チームとかに入って、チームの人に応援もらったり承認欲求を満たすしかなかったはずで、ネットのおかげで勝てたとも言える。承認欲求のために頑張ったというと格好悪いが、勝つためには何でも利用するのだ、承認欲求万歳!

とはいえ、1本登るたびにSNSをやっていてはタイムロスが半端ないので利用は最小限に。そこはブルベの「コンビニRTA」で鍛えてある。余計な休憩は極限まで切り詰める訓練ができているのだ。ちなみに苦しい修行をしてネットの誘惑に打ち勝てるようになったわけではない。貧脚がコンビニで剛脚の人を10人抜き返すのは楽しい、貧脚にとってはそれがブルベの醍醐味とも言えるし、ブルベで貧脚は椅子に座って食事をとる人権はないと言われて育ったので、休憩時間の短縮は自然に楽しく努力して上達したのだ。

逆に、SNS中毒になっている人はネットを断ち切るのは難しいかもしれない。ネットはライド中に敵にも味方にもなるので、上手い付き合い方が必要。今回は仮に達成できなくても、失敗した方が動画の視聴者的には面白いわけで、達成すれば勝ち、達成できなくても動画でネタにできれば勝ち、絶対に負けない戦い方を用意して勝負に挑む(*'ω'*)、このような柔軟なメンタリティが大事なのだ。

(6)当日スタートまで

そしていよいよチャレンジ当日の2020年10月31日土曜日、4時に起きて始発で平塚に向かう予定だったが、起きた時に寝不足というか体が充実してない感じがあったので、延期。

この失敗は失敗ではなく早起きの予行演習ということにして、チャレンジを翌日の日曜日に延期。天気は問題ないが、月曜日の仕事のために絶対に終電では帰らないといけないし、満身創痍の勝ち方も仕事に影響が出るのでまずい。ますます「楽をして安全に勝つ」努力が求められるわけだ。

というわけで、早寝早起きの勝率を高めるためにホテルを予約して前泊。GOTOキャンペーンの割引や地域クーポンやホテルのポイントを金額換算すれば実質1500円程度で東横インに泊まれるので安いものだ。ホテル近くに吉野家があるのも良い。前日からカーボローディングかけて当日朝6時過ぎにホテルを出て現地には7時に到着してTwitterにチャレンジスタート投稿して登坂開始。

(7)前半戦

朝早いのにスタート地点で折り返して登り返していくローディーが何人もいらっしゃる、このエリアでは早朝練のメッカなのだろう。

長期戦になるので1本目は慎重にコースを観察しながら登る。以前ゆるふわっと登った時とほぼ同じ登り14分下り4分のタイム、計算通りだ。下りでは路面の荒れを観察・暗記しながら走る。下ハン使うほど急斜面でもなく、路上のカラスが逃げてくれなくて邪魔なこと以外は安全に問題ない。

調子良く登り続け、2時間以上経過し7本目登ったところでタイムが垂れてきたので最初の休憩。Twitterのコメント確認したり頂上の景色を楽しんでメンタル回復。

基本は心を無にして登り続ける。教習車が初々しい追い越しの仕方をしていったり、狭いカーブでバスの離合で詰まったりして、タイム数秒ロスしても損したとは思わず休憩になったとか、単調なライドにいい刺激になったと前向きに考えて登り続ける。背中に突っ込んでたパンもこまめに食べながら補給。

また、自分以外にもずっと朝から登り続ける人がいるのにも気づく。エベレスティング(フル)にチャレンジされているとのことで、知らない人でも応援したくなる。
※その方は残念ながら午後リタイアされてしまいましたがこちらも励みになりました。

やがて半分超える17本登って昼食休憩。計画では麓のコンビニに行く予定だったが、予定よりペースが良いので頂上レストランで、海を見ながら椅子に座ってちょい贅沢なランチでメンタル回復。お昼時で待ち時間が長く50分も昼休憩になったのは、長く休みすぎたが時間は十分余裕がある。走行再開。

(8)後半戦

後半は暑さに順応しつつ引き続き心を無にして登る。サイコンの数字で午前よりパワーやタイムも落ちてきているのがわかるが、トラブルさえなければ達成できるペースなので、体に無理をさせないよう注意を払い続ける。

コース上には斜度13%300m区間があり、膝を痛めたりしたらここを登れなくのが心配だったが、インナーローでゆっくり登り、最後まで脚には余裕残して登り続けることができた。一方、心拍は後半から高めを維持できなくなってきて、心肺機能の低下以外に、メンタル面でも頑張る気力が湧かなくなってきた。体を痛めたら終わるので、それに気を付けつつも、だらだらした走りにならないようモチベーション維持を模索しながら走った。

そして16:30に頂上の売店が閉まるので、25本目で夕方の補給休憩。五平餅と肉まんを食べる。外も暗くなってきた。残りは7本+保険1本の予定、2時間ちょいでいけるはず、ブルベで言えばラストのPCで残り平坦50Kmというところだ。

残りも淡々と走り続けるが、29本目の途中である問題に気付く。このまま32本走らずとも、サイコンの数字上は30本で獲得標高がハーフの4424を超えるのだ。スタート前に40mぐらい登ってたり頂上の建物内の休憩などで余分なログが混じったせいもあるが、Stravaのセグメントは139mに対して実際には1本あたり平均146m増えてくのだ。スタート側を自分が余分に登り降りしているせいで7mの差が出てるっぽい。事前のチェックで139mのセグメントしか選択肢になかったが、146mのセグメントがあれば1本減らせるのではないか?

そんなことを考えてStravaを調べたがやはり139mのセグメントしかなく、当初の予定通り走らないといけないと覚悟を決めて走行再開。予習不足で5分間も現実逃避していたと思われるかもしれないが後悔はしてない、1本でも減らすため、楽をして勝つために全力を尽くすのが私のスタイルだ。

その後32本クリアし、体力もまだ余力あるので、GPSブレとかのトラブルに備えた保険にもう1本登って本日の獲得標高4957、そしてキリのいい5000mまで獲得標高を伸ばしに1/4ぐらい登ってから帰り、21時には平塚駅に到着し輪行で帰宅!

TSS(疲労度)は363.3で2~3日で完全回復。200ブルベぐらいの疲労度で完走できた。

(9)総評・反省点

調子の良い時と終盤の垂れた時で、パワーが130~140Wから110W前後まで落ちたり、タイムが13分から19分まで落ちたが、もっと垂れる計算で最悪の達成ペースを計算していたので、終始、想定の範囲内で走ることができた。また長時間ライドでのパワーの垂れ具合もきちんとデータを取ることができて今後のロングライド計画に役立つことだろう。寒さは問題なかった、9月頃の涼しい時期と比べると服装は重くなってしまうが水分補給は少な目でよいので(今回1.5リットルぐらいで済んだ)、早朝の寒さだけ対策すれば寒い時期でも問題ないだろう。

反省点としては、
・昼飯長すぎ(麓コンビニ使えば休憩50分を20分に縮められた)
・本数のカウントを分かりやすく確実にする方法を準備しておくと良かった(ろくに準備してなくサイコンの標高グラフのギザギザカウントするのはストレスだった)
・早起きのトレーニングが足りなかった
・予備計測のスマホのStravaがミスタッチか何かで計測失敗してた

ぐらいだろうか。大きなミスやトラブルなく終了できたが、後日アップしたニコニコ動画ではトラブルが少なすぎてネタに困る結果になってしまった。トラブルを減らす努力をして順調に攻略すればするほどネタも減るジレンマ。

作成した動画はこちら。
【第三回自転車動画祭】ゆるふわでもエベレスティングしたい!!(ハーフ達成)
https://www.nicovideo.jp/watch/sm37780797
エベレスティングにパワーは必要ないことが伝わりましたら幸いです。

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