見出し画像

旅ゆけば

旅を終えた。

今日も厳しい日差しで気温も高かった。

持ち運ぶ水の量を倍にして、水場があれば水を飲んで、タオルを水で浸して体を吹いて体を冷ました。

昨日に比べれば、命の危険はなかったが、海沿いは新しく出来た道ばかりで、道自体が一つの堤防のようでもあり、道路の形状からか、店舗も作られていず、全くのっぺりとしている。日陰もない。


果てしないソーラー。今日の発電量はすごいだろうね。

自動車が快適に移動するためには最適かもしれないし、自転車だってロードレースやその練習なら最適かも知れない。

しかし、旅の手段としての自転車な自分にとっては、全く無味乾燥な道で、楽しみが湧かず、きつかった。

身体がどんどん暑くなってくるのが分かる。

昨日の疲れからか、太ももの力が全く出ない。

途中、市民野球場を見つけて。しっかり休憩することにした。

水道の水で体の汗と熱を流し、木陰でゆっくり落ち着くのを待った。

最初の目的地「仙台」は無理だ。

明日の仕事の事も頭に浮かんでくる。

ここから15km程の岩沼駅が現実的だろう。

木陰でスマホを開く。

駅ネットで常磐線の特急ひたちの指定席を検索する。

一本だけ、午後6時過ぎに特急が岩沼駅に停まる。

席もそこそこ埋まっている。

予約が遅かったら危ないなぁと思い、席を予約する。

本当は、車両の一番うしろの席が理想だ。
車両と席の隙間に、分解した自転車の袋を入れさせてもらうので。

でも、すべて埋まっている。

仕方がないので、別の席にした。

それでも、仙台始発のこの特急。

東京に向うほとんどの仙台の人は、新幹線を選ぶだろう。

特急ひたちだと四時間以上かかる。

きっと岩沼の時点ではガラガラの車内で、普通に自転車の袋を差し込めそうだ。(リクライニングにぶつかることはないので、迷惑は一切かからないのだが、失礼しますの、その一声が…)

福島のひたち駅位から、混んでくるんだろう。

それにしても、野球場の木陰で涼みながら特急の予約ができるのは便利な世の中だ。

体の熱もだいぶ落ち着いてきた。

走り出す。

体が冷めたからか、筋肉に力がある。


There is no easy way out,

力が出ないのは、疲れじゃなかったのか。

しかし、何でこんなことをしているのか、と走りながら自問する。

夏は、のんびり海にでも入っているべきなのか?と考えるが、全く楽しめているイメージができない。

しょうがない。

夏は夏のこの暑さを自分で受け止めることが大事で、受け止めてこそ、蛇口をひねれば水が飲めること、とか、コンビニがあれば生命維持に必要な水分や食料を買えるとか、その背景には、電気や石油を確保して下さっている人たちがいる、ということが、体の痛みとして分かる。

また、日常生活を送っていると、魂がどんどん汚れてくる。ほとんどは心の脂肪分だ。

時々、こうやって旅をすることで、無理のない範囲の苦痛を自分に与えることで、魂(としか言えない何か)が少しきれいになっていくのを感じる。

そんなことを考えながら、道を海沿いから、線路沿いにルートを変更し、岩沼駅を目指す。

気のせいか、海沿いより涼しい。

風の向きも多少変わったみたいで、最後は楽にゴールインできた。

ゆっくり自転車を分解し、コンビニでチューハイを買ったりして時間を過ごす。

駅前に唯一あった。養老乃瀧系の居酒屋があり、午後4時の開店とともに入店。

駅前に居酒屋があるだけで、ありがたい。

昔の人は、大きな風呂で「旅ゆけば〜」と歌ったようだが、私はチェーン店居酒屋のカウンターで、心の中で「旅ゆけば〜」とうなっています。

気候変動はこれから。

おやすみなさい。

追記。居酒屋から帰って来て一応、分解して袋に詰めた自転車を確認。駅のNewDaysで気持ちばかりのお土産を買うと、数分前にあった自転車がない…大変緊迫した時間。