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ウエストバッグを買いに山手線を自転車で一周半

今日は3週間ぶりの、浅草一人火鍋と、自転車で山の手線一周旅。

その中で溜まっていた読みかけの本を一冊読み終えた。

さかなクンの一魚一会。

さかなクンが物心ついた頃から今に至る自叙伝・半生記。

感性の強さ、思いの強さ、そしてお母さんの理解の強さ。

そして、その思いにつられて応援する友達や先生や周りの大人たち。

学校では全く勉強が手につかず、行きたい大学になど当然いけない。アルバイトをしても全く向かない。

しかし、まさに「意志のあるところに道は開ける」だ。

自転車で山手線一周する時に必ず休憩する中目黒のフレッシュネスバーガーで涙ながらに読み終えた。

子供も大人も夢中になることがある、というのが人間にとっては大事で幸せなこと、

自転車にまたがり、山手線残りの半周を走り出す。

このフレッシュネスバーガーからは、アップダウンがずっと続く。

池袋まで来た。

アウトドアショップに寄ることにした。

私は二十年くらい前にアークテリクスというブランドのウエストバッグを買った。

日本で販売を始めて間もない頃だったと思う。

いろいろ体につけて、コレが最高だった。

それ自体の重さが結構あったが、きっと物を入れれば入れるほど、軽く感じるだろう、とこれを選んだ。

見た目も落ち着いた感じが良く、ウエストバッグとしても、ショルダーバッグとしても、余計なベルトを収納すると、手持ちのバックとしても素晴らしく、さらに自転車のハンドルに付けるとフロントバックとしても使えた。

これを見た若いお兄ちゃんに褒められると嬉しかった。

東日本大震災の後、私はこのカバンに荷物を詰めて被災地を歩いて回った。同じ年に脳梗塞になったので、ボランティアが必要な頃には行けなかったが、落ち着いてからはひたすら足が棒になるくらいまで、このバックを背負って歩き、夜は地元の飲み屋さんで、時に地元の人と話をさせてもらった。

そんなカバン、二十年経つのに全然ヘタっていない。

やっぱり良いものは違うな、と思っていたのだが、やはり「形あるものは壊れる」のことわりあり。

バックルのプラスティック部分が紫外線による劣化で脆くなり、何気ない負荷で壊れ始めた。

そろそろ限界。

新しく買わなければ、と池袋のアウトドアショップへ。

どれも一長一短。

自分が一番必要な機能は何なのか。

今日買わなくてもいいが、他の店にも行ってみたい。

いつもの一周ルートだと、ここから王子経由で帰るだけの寂しいルートになってしまう。

今日は夕飯を作らなくて良いので、もう少し外の空気を吸いたい。

「そうだ、このウエストバッグを買った神保町のさかいやに行こう。下りだけだし。」

と、いつもの山手線一周ルートを壊して逆方向に半周することにした。

その店に着くと、アークテリクスが迎えてくれた。


二十年間ありがとう。

店内を巡る。

自分が必要としているのは、ウエストバッグというよりも、ショルダーバックだということに気づく。

自転車や徒歩で半日移動する時、背中で軽く背負えて、余り体に接地していない位がいい。

背負わずにハンドルの所に置ければ走行は楽だが、それもまた一長一短な部分もある。

そう考えながら眺めていると、意外なものがあった。

基本的には、ちゃんとしたザックの上に、プラスで増やすためのバックで、単体でウエストバッグにも使えるもの。

長期の登山などで、ベースキャンプに荷物を置いて、軽く歩く時などに使うものか?

シンプルで軽くて、やりようによっては、自転車のハンドルにもつけられる。

恐る恐る値段を見る。

何と、セールで三千円台。

これは良いなぁ、手持ちの現金で買える。

これを買うということは、今日まで使ってきたアークテリクスのバッグを引退させることになる寂しさも引きづりながら、会計に向かった。

あたらしいバッグを背負い、近くのサイゼリヤへ。

サイゼリヤは令和の大衆食堂であり大衆酒場だ。

いろんな人がいて、この中にまぎれて酒を飲むのは最高の孤独だ。

では、これでつぶやきを終えます。

ちゃんと帰れますように。


中学から大学までいた街の夕暮れ間近