よぐけっぱった
今日は日曜日。
自転車に乗る日だが、なかなか布団から出られない。
うちの店は吹きっさらしなので、寒い日は身体中の筋肉がそれなりに発熱するように頑張るんだろう。
結構翌朝は疲れる。
思ったより寒い日が続いた後の日曜日、いつもより遅めに起きて自転車に乗る。
体を動かして血行を良くしたほうが疲れが取れるよね、と身体が判断する時間帯が来たので起きる。
先週、自転車で山手線エリアを一周したばかりだが、何となくまた一周をし始める。
一周にも確定したルートはなく、その時の気分で多少変わる。
今日は久しぶりに田町から品川駅区間の国道15号線を走った。
ここには新しくできた「高輪ゲートウェイ駅」があるのだが、ずっと開発が進んでいなくて、殺伐としていて、走る気が重くなっていた区間だ。
久しぶりに走ってみると…
突然、開発が動き出してびっくりした。
ビル関係の皆さん、頑張って外貨を稼いでください。お願いします。
話は変わります。
以前から減量をやっている、と言っていますが、相変わらず見た目はなんの変化もありません。
でも、自転車に乗ると軽くなったな、と思います。使うギアが一つ重い上に、回転が速い。
少しだけ学生時代の走り方を思い出した。
向かい風もなく、気持ちよく走っていると、あっという間にゴール近くの王子駅へ。
嫁さんが最近疲れているので、サイゼリヤで遅い昼飯とワインを軽く飲んだら、夕食を作りに帰ろうかとメッセージを送ると、ゆっくりしてきていいとの返信。
本を読んで過ごす。
ふと、スマホを開くと尊富士が優勝と。
普段、相撲の時間は営業しているので観ないが、尊富士という力士の快進撃は聞いていた。
今日はイヤホンを持ってきていた。
サイゼリヤで、スマホで相撲を観ることにした。
ひょっとしたら、この歴史的な日に、彼がアナウンサーをするんじゃないか、なんて期待した。
…
大学のクラスには、指定校推薦という枠で入学してきた人が何人かいた。
彼らは頭が良いのは当然で、そんなことはどうでも良いくらいに人間として、素晴らしい人たちばかりだった。
三瓶君もその一人。
柔らかく聡明な人で、なにかお願いしても気持ちよく受けてくれた。
時は過ぎ、お互いに社会人になった。
私は2年間外資系金融で働いたが、全く役に立たず、山小屋へ。その後外国人宿へ。
彼は、NHKアナウンサー若手の修行の後、NHKのスポーツ系についたようだ。
私が日給五千円の箱根の外国人宿で、疲れ果てた時にテレビに映るオリンピックレポーターの彼は、張りがあり、輝いていて自分に力を与えてくれた。
その後、私は絶対に継がないと言っていた家業を継ぐことになり、絶対に誰もが結婚できないと思われていた結婚もし、二人の子供ももうけて少しした時に脳梗塞になった。
その後遺症があって、自分が落ち込んでいる時にも彼はテレビでオリンピックの番組や大相撲のアナウンサーなどをされていて、彼の活躍に元気をもらっていた。
辛い時に、自分の自慢でもあった。
久々にみんなで会おうと、クラスの仲間に連絡を取ってくれたのも彼だった。
久しぶりに会って、彼の地元、福島への、会津への強い愛情に何とも言えないものを感じた。
彼はいま、相撲のアナウンサーでは、ひょっとしたら最高峰なのかもしれない。
トランプ元大統領が相撲を見に来た時にもアナウンサーだった。
コロナが起きてから日本酒好きな彼と会えなくなったが、NHKで相撲を見ると、懐かしい声に今も元気をもらえる。
今日、尊富士が優勝したと千秋楽の取り組みがすべて終わってないのにニュースに出てきて、サイゼリヤでNHKプラスでの相撲をイヤホンで聞くと、彼の声だった。
尊富士の取り組みはすでに終わっていて、100年ぶりの快挙をライブで聞けなかったのは残念だったが、番組の終わりに振り返りとして聞くことができた。
彼の声を、初めてイヤホンを通じて聞いた。
いい声だった。
尊富士は青森五所川原出身。
観客席のお客さんが「よぐけっぱった」とプレートに書いてあるのを見て、彼は、それを読んだ。
同じ東北でも、青森と会津は距離的には遠い。
でも、彼の声から出る東北の人の「よぐけっぱった」は、心に刺さった。
相撲のアナウンサーとしてのさまざまな金字塔、おめでとう。
そして、辛い時に画面の向こうからいつも励ましてもらえた。
改めてありがとう。
良い新年度を。
…
書き込み後の追記です。
どれくらい、信頼関係を普段から作ってきたかなんでしょうね。すべての仕事の基本なんだろうなぁ。