【怪奇小説】『サナトリウムに』-第三回-
深い森に囲まれた誰もいない湖。
近くには舗装された車道が延びているが、往来する車の数が極端に少ないため、排気音や雑音が全くと言っていいほど聞こえてこない。
ただ静かな自然の環境音だけが木霊している湖の畔を歩きながら、宇野はこの静かな環境を壊してしまってはいけないのでは? といった感傷的な気分に次第になっていった。
湖畔を歩く宇野の目の前には広大な森が広がっている。
あの森の木々を切り倒してリゾート施設を建設する。
・・・・・・それよりもこの大自然を活かすべき