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Urban/Contemporaryが差別用語になるまで①

 こんばんは、皆さんお元気ですか?僕は枕の高さが合わなくて肩こりがすごいです。けどもう2回も枕買い直してるんですよ、もういやです、何が正解か全くわかりません。

 はい、ということで今回は音楽ジャンルの話。非常に扱いにくい部分の話になりますが2010年代、そして2020年代の音楽を語るために必要な部分になってくるので軽くまとめていきます。
 僕がUrbanというジャンルを知ったキッカケはドレイクかもしれないですね。非常に無機質なサウンドと今や主流となったトラップサウンド、ヒップホップのようだけどR&Bのテイストも入ってきているあの独特の雰囲気がカッコ良くてUrbanは僕の中でカッコいいジャンルという印象でした。

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 このジャンルの雲行きが怪しくなったのは2017年グラミー。 アデルが主要部門を全て制したことで疑問の声が多く上がりました。別にアデルのアルバムが悪いというわけではなく黒人アーティストが別のジャンルに追いやられてしまったからです。特にビヨンセは主要3部問にノミネートしていたにもかかわらず全て逃し、Urban/Contemporaryカテゴリー(ノミネートされていたのは黒人アーティストのみ)での受賞だけになりました。 2016年はBlack Lives Matterが活発だった時期に制作されたアルバムが多くポリティカルな内容を含むものが例年に比べ多かったですが結果としてそれが全て無視されてしまう形になりました。個人的にもこの年の結果にはあまり満足していません。商業的な側面が評価されすぎていると批判を受けるグラミーですがこの年は特にその傾向が強かったように感じます。別に売れてるアルバムが受賞するなというわけではないんですけどね。出来の良いアルバムが軒並み端に追いやられていたので(なんだかなー)という気持ちになりました。受賞したアデルも損してるしね。
 そしてまたこの問題が大きく話題になるのが2020年のグラミーです。受賞したタイラーザクリエイターがスピーチでグラミーのジャンル分けを批判したからです。そして先日、ビリーアイリッシュがこのスピーチに対しての賛同を示しました。これによりアリアナグランデが所属するレーベルがUrbanというジャンルを使用しないことを発表し、グラミーもUrban/Contemporary部門をなくしました(正式には名前が変わっただけなのであまり評判はよくありませんが)。
 2020年は2017年や2018年とはまた違った問題が生まれました。それは”音楽ジャンルとは何か”というところです。この部分が今回の課題です。この10年で音楽をジャンル分けすること自体がナンセンスなことという風潮になってきています。これはジャンルを超えたサウンドやスタイルを取り入れたことが増えたことが原因として挙げられます。
 ジャンル分け困難な音楽が増えてきたことで肌の色によるジャンル分けを受けるアーティストが現れてきました。僕がこの問題を初めて目にしたのはFKA Twigsが”LP1”をリリースした時(2014とか?)。彼女はキャリア初期からジャンル分けに対して否定的な立場を取ってきています。
https://youtu.be/3yDP9MKVhZc

"It's just because I'm mixed race," she interjects. "When I first released music and no one knew what I looked like, I would read comments like: 'I've never heard anything like this before, it's not in a genre.' And then my picture came out six months later, now she's an R&B singer. I share certain sonic threads with classical music; my song Preface is like a hymn. So let's talk about that. If I was white and blonde and said I went to church all the time, you'd be talking about the 'choral aspect'. But you're not talking about that because I'm a mixed-race girl from south London."
 「(自身がオルタナティブR&Bシンガーと括られていることに対して)それって私がハーフだから。私が初めて曲をリリースした時誰も私のルックスを知らなかった。確か『こんなの聴いたことない、ジャンルでは括れない音楽だ』的なコメントを読んだ。6ヶ月後に私の写真を公開したら今やR&Bシンガー。”Perface”って曲は賛美歌の要素を取り入れてる。もし私が白人でブロンドでいつも教会に言ってるって言ったらあなたは聖歌的要素について話す、けど私がそうじゃないから話さない。」
 

 このような具合でございます。ここで彼女が語ってるのはオルタナティブR&Bについて。彼女はエレクトロニックR&Bと括られることもあります。彼女のいうように音楽的要素や特徴ではなくビジュアルや性別、エスニックバックグラウンドでジャンル分けされることがこの界隈には多くあります。ヒップホップはR&Bをはじめとするブラックミュージックが排除されているというよりも肌の色だけでブラックミュージックという箱に入れられて音楽が正統に評価されなていないんですよね。
 個人的にはなんだかなーという気持ちです。ずっとこの界隈を追っていた自分としてはアーティストを虐げるためにこのジャンル名を使っていたわけではないのでなんとも言えない感じ。けど多くのアーティストが容姿によるジャンル分けに対して長年反発していることも知っています。この界隈は発展が目覚しいジャンルで面白い作品が毎年多い上、お互いのサウンドに感化され新しいものがどんどん生まれてきます。しかしアーティストからしてみると現状は悪くなるばかりでこのカテゴリーはブラックのアーティストにとって左遷先みたいな扱いになっています。実際グラミーでは主要部門で受賞やノミネートできなくてもここに入れておけばいいという風潮も感じなくないです。けどまあなんですかね、一番嫌なのはなによりもアーティストの意志がジャンル分けに全く反映されていないということですかね。批評家の言葉ばかりが先走って自分の意志とは違う枠組みに入れられてしまう、作品を作った側からしたらめちゃ嫌ですよね。けどやっぱり僕はこのジャンルをなくさないでほしい、なくしても別の名称で新しい左遷先が生まれていくだけだと思うんですよね、てか絶対そう。やっぱり問題はアーティストが正しく評価されていないってところに戻ってくるんですよね。正直グラミーとかなければもしくはもっと影響力が少なかったらこのジャンルが差別的な意味を持つこともなかったのかなと思います。はあああ気が向いたら2020グラミーの追記とかしようと思います。ビリーとリゾのサウンドとスタイルからなぜジャンル分けがナンセンスなのかとか。

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