時折感じるジェネレーション不一致
映画にまつわる思い出
✈️
もう2年も前の話。まだ若いのに2年前を懐かしく思う。
我ながら若いと思う。だってまだ21歳。
20歳になったばかりの夏、人生で初めて海外に行った。
英語にどっぷりだったが、留学に行くにはチャレンジ精神が足りない人間だった。高校生のうちに行っていれば、何か素晴らしい人生の転機になっていたのだろうと思うが、20歳という、大き過ぎる子どものような時期に人生で初めての海外を経験した。たぶんこれが私の人生のピーク。
留学先での映画を見るという生活が定番だからか、学校では日本人学生も映画の話をしていた。学校で友人と映画の話ができるっていうのは、なんて楽しいことなんだろう。
ずっとこれをやりたかった。見た映画が好きだ嫌いだなんてどっちでも良くて、ただ、映画が話題にあがるのが嬉しかった。
この映画は、当時のすべての思い出を、脳から一気に引っ張り出してくる。
『Dirty Dancing』
1987年公開のミュージカル映画。映画の舞台は1960年代。
「Grease」「Saturday Night Fever」「Flashdance」が大好きな私にハマらないはずがない。そして、ダンスが魅力的な映画には目がない。
官能的なダンスを見た反応はきっとベイビーと同じだった。新しい世界に足を踏み入れた時の気持ち。ベイビーも圧倒されながらあの部屋に入って行ったように。ホストマザーも、初めて観た時にそう感じただろうか。
「Dirty DancingのDirtyはこのことだよ」って得意げに教えてくれた。ジョニーが色男すぎるぞ。「Wow」と眉毛を動かして少し照れている感じを見せた。
ホストマザーと見ていたから、もちろん英語字幕。細かい内容は掴めていない。日本に帰ってちゃんと復習したくらい。ただ、この映画の映像や音楽、ダンスは眺めているだけで心が満たされていくのを感じていた。
ラストのダンスシーン
『(I've Had)The Time of My Life』は伝説。
ジョニーに向けたベイビーの笑顔は可愛すぎて、私がジョニーだったら走って抱きしめに行ったと思う。でもこの2人の俳優は不仲だったらしい。不仲なのにこんなにお互いの愛おしさを表現できるなんて。
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世代バグを起こしている気がする
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レンタルビデオショップで知らない映画のDVDを眺めることにウキウキしていたような青春だった。私の中でTSUTAYAはタイムマシーン。
高校では部活を抜け出してTSUTAYAに自転車で走った。まあまあ遠かったけど。
レンタルビデオショップがある日常でよかったと心の底から思っている。足元から、身長を余裕で超える高さまである棚に、ぎっしりDVDが並んでいる。間違えて有名作品のB級映画を借りることもあった。人生キラキラ真っ只中のJKでさえB級映画には絶望させられた。
このノルタルジーは、年齢相応だろうか。もう少し上の世代だろうか。私はいつも一回り上のものに魅力を感じる。生まれる時代と、生まれる場所を間違えているとよく思っていた。
いろんな場面で何かと不具合が起こってるように感じる。いつからバグっているのだろう。音楽も、同世代が聴くようなバンドや電子音楽よりも、レコードの時代にリリースされたものに惹かれる。カントリーな曲や、トゲトゲ頭が目に浮かぶようなパンクなロックなんて最高。これも映画の影響だけど。
映画の話をしている時、ホストマザーは懐かしさで逆に新鮮さを感じただろうか。好きな映画のタイトルをいうたび、驚いた顔をされた。留学最後に一緒に過ごした夜、「あなたの世代じゃ知らないような映画を見ていること、すごく驚いた。」みたいなことを言われた。
ジェネレーションギャップを楽しむような年齢差だったが、同じ話題で共感した。憧れの世代の世界に飛び込めたような気分だった。「実は私、同じ時代を生きていたんです、今はこんな姿だけど。」って言ってみたら良かった。
当時に、私も生きていて、ホストマザーとクラスメイトだったら、いい友人になれただろう。一緒に『Dirty Dancing』を見に行き、刺激的なダンスを見て気まずい気持ちになり、それを笑い合ったかもしれない。
当時を生きていたら、当時の年頃の女の子でいられたのかもしれない。(ここでもまたひと回り、ふた回り上の世代を羨ましがるかもしれない)
音楽の歌声が、あの桟橋も、あの湖も思い出させてくれる。
あの時、ホストマザーと私は画面の中に吸い込まれて、映画の世界を並んで歩いていた。
2人とも20歳で友人同士。
ジョニーに熱狂して、ダンスをこっそり見に行っていた。もちろん、ベイビーに嫉妬していた。湖に泳ぎに行った。あの湖はみんなのものだからね。
最後のパーティーはジョニーとベイビーの周りで一緒に踊った。あれは盛り上がったね~。
いい夏だったよね。
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