実用書としてもファンブックとしても!「コミュニケーション」の視点から『キングダム』をもっと楽しもう
こんにちは。トラストコーチングスクール(TCS)で、“組織で働く”認定コーチのためのコミュニティTCS x Business、およびTCS x Businessの公式ブログである《TCSxBusinessマガジン(本サイト)》事務局を務めております、TCS認定コーチのくろいわです。
今日は、先日発売された、TCS代表であり、コーチトレーナーでもある馬場啓介氏の著書「『キングダム』で学ぶ最強のコミュニケーション力」をご紹介したいと思います。
既にご存知の方も多いと思いますが、『キングダム』は、紀元前3世紀の中国、戦国時代を舞台に、奴隷の少年である信が、秦王 嬴(えい)政と出会い、共に天下統一を目指す物語です。
集英社から出版されている「週刊ヤングジャンプ」で連載されており、コミックス累計発行部数は3,600万部を突破。物語としても大変ファンが多いのですが、特筆すべきは、ビジネスマンや経営者がとても多いということです。
その理由は、単に歴史上の事実をなぞるだけでなく、国家経営やチーム運営、戦いにおける戦略戦術といったものが生き生きと描かれているから、ということも、もちろんあると思います。ただ、それ以上に、物語の中で展開される「コミュニケーションの心地よさ」に惹かれている人も、多いのではないでしょうか。
本書は、私たちが、“なぜそのコミュニケーションに惹かれるのか”を、ひとつ一つ紐解いていくものです。
1.名言が名言たりえる理由とは? 可能性が心を動かす
『キングダム』は、多くのキャラクターが登場します。その中で「あのキャラクターの、あの場面の、あのセリフが好き!」という方も、多くいらっしゃることでしょう。名場面や名言と言われているものも、多くありますね。本書では、そうした場面のいくつかを取り上げ、それがなぜ語り掛けた相手の心を掴み、また私たちの心をも動かすのか、を掘り下げています。
ただ、本書でさらに印象的なのは、「なぜ心に残るのか」で終わらずに、
「その言葉が出た背景には何があるのか」
「どんな視点で何を見ているからこそ、その場面で、そのセリフを言うことができたのか」
についても、思いを馳せている点です。
これは、そのキャラクターが生きてきた歴史と、これからの可能性に目を向ける視点です。物語の中で、いわば、各キャラクターを、単なる紙面上の存在ではなく、「ひとりの人間」として考えているからこそ、得られる視点なのだと思います。
こうして、背景や可能性を考えることは、きっと、その物語やキャラクターがお好きな方なら、日頃からなさっていることでしょう。
そこに、本書が提示している「コミュニケーション」という切り口から見た可能性を、新たに加えていただくことで、ますます、そのキャラクターを見る視点が増え、その魅力についても、より豊かに感じられるのではと思います。
好きなキャラクターだからこそ、隠された魅力まで、全部味わいたくないですか?
私は味わいたいです。
本書は、『キングダム』を読んでいない方であっても、コーチングの読み物として楽しめるようにもなっています。
その一方で、『キングダム』好きなあなただからこそ楽しめる、そして、いっそう『キングダム』を好きになれる内容も多いんじゃないかな、とも強く感じています。
2.全編から感じられる原先生への敬意
本書で、もう一つ、私が非常に印象的だなと感じた点があります。
それは “敬意の視点”です。
この“敬意の視点”については、第3章で「コミュニケーションにおける究極の視点」として取り上げられているものです。
人と継続的に良好な関係を築くためには、相手への気遣いが欠かせませんが、その気持ちが最高に高まると、相手だけでなく、相手の大事にしている人やものにも自然と「想い」が及びます。それが「敬意の視点」なのです。「敬意」とは、相手を「尊敬」「感謝」していなくても持てる視点です。(「『キングダム』で学ぶ最強のコミュニケーション力」p.127より)
第3章の内容自体は、あるキャラクターのセリフが、どのように相手への敬意にあふれたものになっているのか、ということを中心に進んでいき、それもまた大変興味深いものでした。
ただ、それ以上に強く感じられたのは、著者である馬場啓介氏から、『キングダム』の著者である原泰久先生や、『キングダム』という作品へ向けられた敬意です。
この敬意は、直接的には
この本を作るチームに対しても、私は「この本を出版すること」を目的とせず、「『キングダム』をもっとたくさんの人たちに伝えていく仲間になること」を目的としたため、遠慮なく思ったことを伝えあうようにしました。(「『キングダム』で学ぶ最強のコミュニケーション力」p.51より)
と、さらっと述べられているだけです。
ただ、本書をお読みいただく過程で、キャラクターひとりひとりへの思いの寄せ方や、掘り下げ方、とりあげた場面の語り方に触れていくなかで、『キングダム』という作品そのものと、魅力的な物語を紡ぎ続ける原泰久先生への思いも、透けて見えるように思うのですが、いかがでしょうか。
本書を通して、こうして、いろんな形で「敬意の示し方」について触れることで、「敬意とは何か」「どうやって表現するのか」に加え、「日々のコミュニケーションにおいて示されている敬意を感じ取る力」についても、きっと磨かれていくのではと思います。
そういう意味では、本書は、キングダムを題材にした「コミュニケーションの解説書」であるとともに、まぎれもなく「実用書」でもあります。
3.『キングダム』が私たちの心を打つ理由
ここで、実際に部下を持ち、日々現場で奮闘しているTCS x Businessの仲間が投稿していた本書についての感想も、ご紹介したいと思います。
私の周りには、大きな大きな器の方々が溢れてるわ……
待ちに待った、そして何より感慨深すぎるトラストコーチング代表の馬場さんが出された
「『キングダム』で学ぶ最強のコミュニケーション力」
リアルな人間関係を思い描きながら、読み耽ること2時間半。
まず思ったことは、私が所属している会社について、どんなに素晴らしい環境に自分がいるかということ、そしてそんな環境にいることが私の誇りだということ。
ビジネス書、とりわけコミュニケーションをテーマにした本を読んでいる時って、やっぱり所々で具体的な人の顔が浮かぶ(以下略)。
(TCS認定コーチ Noriko Katoさんの感想より。全文はこちらから)
本書は、『キングダム』というフィクションの世界について書かれたものですが、その内容は、けっして理想論だけを語っているものではありません。どこまでもコミュニケーションの現実に立脚した、見方によっては泥臭いとも言える話です。
だからこそ、読みながら、身近な人が、その泥臭いことをどれだけやってくれていたのかを、あらためて思い返す人も、いるのだと思います。
もし、あなたが、同じように、身近な人の顔を思い浮かべながら読んだのなら。
今までいろんな人の思いを受け取りながらここまできた自分自身にも意識を向け、そんな自分が、これからは、誰とどこを目指すのかまで考えてみると、さらに本書から得られることがあるのかもしれません。
おわりに
実は、私が初めて「『キングダム』で学ぶ最強のコミュニケーション力」を読んだ時の感想は、
「これ、『キングダム』オタクによる『キングダム』の解説本じゃん」
でした。
本書における、『キングダム』本編に関する記述の中には、主題として取り上げた場面だけでなく、その前後や、時には全く別の場面での関連する事項も含まれていることがあり、最初から最後まで、コミックスを非常に深く読み込んで書かれたことがわかります。
物語は物語として楽しみたい、物語の内容をビジネスに準用して考えるのは好きではない、という方も、いらっしゃると思います。私自身も、元々そういうタイプです。
また、『キングダム』が好きで、大切だからこそ、ビジネス書という形になることで、偏った切り取り方をされ、その魅力が矮小化されてしまうのでは、とお感じになる方も、きっといらっしゃるのでは、と思います。
ただ、本書について言えば、それは杞憂ではないかと私は思っています。
「コミュニケーション」という切り口から『キングダム』の魅力をより掘り下げているのが本書です。ビジネスに応用したい人はすればいいし、そのつもりがなければ、単に『キングダム』のファンブックとして読めばいい。
そうやって、私たち読者とそっと距離を取ってくれているところも、本書が「『キングダム』をもっとたくさんの人たちに伝えていく」を目的として書かれたからこそではないかと思います。
ですので、お読みになる方は、ぜひご自身に合った形でお楽しみいただければと思います。
そして、もし本書を通して、『キングダム』に加えて、「コミュニケーション」の奥深さについてもご興味を持っていただけたなら、「コーチングを体感しながらコーチング(コミュニケーション)を学ぶ」トラストコーチングスクールのページも、あわせてご覧いただけますと幸いです。
この記事を書いた人
メーカーにてグローバル人事に10年以上携わる。過労うつで休職したのを機にコーチングを学び、TCS認定コーチの資格を取得。その後、会社勤務と並行してコーチとしての活動を開始。現在も、副業として、安定してコーチ業を継続している。
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