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LINE研究パート2 ~「生活インフラ」としてのLINEを活用する~

こんにちは、TCOのミカミ・リョーです。前回に続き、「LINE研究パート2」をお送りします。当初は、事例を紹介する予定でしたが、その前に語ることあるのではないかと考えて内容を見直しました。キーワードは「生活インフラ」です。
 
まず、パート1を振り返ります。ここでミカミがお伝えしたのは、「Cookie規制をふまえて、企業にとってデジタル施策の武器はLINEになる」でした。

では、その“武器”としてのLINEをどう活用していくのか。そのために、「生活インフラ」としてのLINEについて考察をはじめます。

LINEは、もはや「生活インフラ」

まずは、「LINEって何なのか?」改めて考えてみましょう。みなさんは、LINEをどう利用していますか? 家族・友人・知人との連絡はもちろん、お店の予約、ニュースのチェック、企業のクーポンやセール情報を受け取る、行政のお知らせを見る、電話がわりに通話する etc. キリないすね(笑)
 
前回も少し触れましたが、LINEは、メッセージ機能を主としたコミュニケーションツールとして、東日本大震災の年に登場しました。その後、11年を経て、LINEで可能なコミュニケーションの「領域」は格段に広がっているのです。そして、多くの人々のさまざまな生活場面で使われるようになっています。

人と会う、食事に行く、買い物をする…… といった日常の行動に、LINEはよく顔を出します。気がつけば、LINEを立ち上げて目的に応じたアクションをしています。そうです、LINEは多くのユーザーにとって、もはや単なるコミュニケーションツールではありません。前回のnoteでは「コミュニケーションプラットフォーム」と書きましたが、もうちょっと突っ込んで考えると、LINEは「生活インフラ」なのです。
 
そのわかりやすい例が、「荷物の受け取り」だと、ミカミ的には考えています。

ヤマト運輸・宅急便の場合です。同社のクロネコIDとLINEを連携させることで、自分あての荷物の受け取り方法・時間を調整できるんですね。これベンリで、まわりでも使っている人が多いです。このサービスの登場で「不在連絡票」は、だいぶ減ったのではないでしょうか? 実際、荷物を運ぶ宅急便とユーザーがLINEでダイレクトにやり取りすることで、運ぶ側も、受け取る側も、無駄なく効率的に対応できますね。別に、宣伝しているわけではありません(笑)。まさに、生活インフラとしてのLINEを実感できる例だと思って、取り上げました。
 
さらっと「LINEを連携させることで」と書きましたが、この連携に必要なのが、「LINE ID」です。ところで、みなさんは自分のLINE IDっておぼえていますか? ミカミは忘れていました(笑)。知人とのLINE交換もQRコードをつかうことが多いですよね。だから、実はLINE IDを「忘れている人」は多いのではないかと思います。これからの話、この「LINE ID」が重要なカギとなるので、どんなものかご自身で確認しておきましょう。

LINE IDの確認方法

(2022年6月13日 追記)
「LINE IDの確認方法」として上の内容を紹介しましたが、その後のLINE研究から、ミカミの勘違いが判明しました。LINEには、「LINE User ID」と「LINE ID」、2つのIDがあります。前者はLINEユーザーごとに割り振られている固有のID、後者はLINEのユーザー同士がやりとりする際に必要な“名前”として機能するIDです。企業活動に使われるのは、「LINE User ID」で、「LINE ID」ではありません。訂正するとともに、本noteの「LINE研究」シリーズでも、内容・文脈に応じて「LINE ID」の表記を「LINE User ID」に修正いたします。

LINEが結ぶ、企業とユーザー

少し前回のふりかえりも兼ねて、企業にとってのLINEの価値を確認しましょう。
 
宅急便の事例が象徴的ですが、生活インラフとしてのLINEは、企業(=事業会社:当然EC事業者やD2Cブランドも含まれます)にとって、ユーザーとつながる重要なタッチポイントです。「友だち」を集めることが目的だった時代は過ぎました。「友だち」になったユーザーと「どういう接点を持てるか?」が大きなテーマです。
 
LINEは、スマホという個人が持つデジタルデバイスに、必ずと言っていいほど入っている生活インフラ―― とした場合、企業のデジタル施策にLINEは欠かせません。そのあたりは、前回書いた「CDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)」のパートでも触れていますが、ポイントは企業の顧客データとLINE User IDの連携です。


CDPで企業データ(顧客データ)とLINE User IDを紐づけ

宅急便の事例がそうであるように、企業データ(ユーザーID、会員情報)とLINE User IDを紐づけることで、企業はユーザーとOne to Oneのコミュニケーションが取れるようになります。ここついては、次回「パート3」で、もっと深堀りする予定です。

広告業界的に理解すべきLINEの価値とは

少し視点を変えます。ミカミが仕事をしているホームグラウンドは、広告業界です。広告業界の仕事は、ものすごく端折りますが(笑)「広告をつくる」「広告を出す」など、宣伝にかかわる業務だけではありません。ざっくり言えば、企業のコミュニケーション全体をサポートすること。CM・広告制作、販売促進、店舗づくり、イベント実施、SNS運用、ネット広告運用などなど、多岐にわたり、細分化されています。
 
そんな中、ミカミはデジタル領域を担当してきたわけです。私たちのビジネスにも、ここ10年で「LINE」は、欠かせない「メニュー」となっています。黎明期から続くLINEスタンプ施策(スポンサードスタンプやマストバイスタンプなど)はもちろん、アカウント運営の支援や広告運用など、その範囲は広がっています。
 
そう、広がっているのです。同業者のみなさんはお気づきだと思いますが、先ほど書いたように企業側がCDPでLINE User IDを活用する時代です。その広がりは、スタンプ施策やLINEアカウント運用よりも、より深く、より広くなっています。もっと言うと、私たちのビジネスの領域も、より深く、より広くLINEを活かした価値提案が必要になってきたわけです。
 
例えば、LINEはMessaging APIを公開しています。以下のサイトはB2B向けですが、Messaging APIについて、「サービスとLINEユーザーの双方向コミュニケーションを可能にする機能です」とあります。
 

Messaging APIを使えば、LINEで飲食店の予約受付ができるシステムを作ったり、LINEで電子チケットを友だちに分配したりできるわけです。実際に、もうサービスとして提供されていますよね。体験したことある方も多いはず。企業とユーザーをつなぐLINE活用とは、そういうことです。つまり、「生活インフラ」のタッチポイントの開発やキャッシュポイントの創出が、企業をサポートする側(=広告代理店側)にも求められています。だから、私もLINE研究に取り組んでいるのです(笑)

“LINE ID” マーケティングの時代へ

みなさんは、「LINEマーケティング」という言葉を聞いたこと、ありませんか? ネットの記事も多いですよね。私はLINE研究のために、LINEマーケティングを扱った記事もけっこう目を通しています。ところで、LINEマーケティングとは、どんなものでしょうか。こんな「定義」がありました。

「LINEマーケティング」とは、LINEを使って店舗に集客をしたり、企業の製品を知ってもらうことや、その商品購入に繋げるための施策を行うことです。

https://find-model.jp/insta-lab/line-marketing/

たしかに、そういうことですね。でも、ミカミ的にLINE研究で考えていることからすると、集客・告知・販促といったオーソドックスな範囲の話に聞こえます。もうひとつ見てみましょう。

LINEには、広告配信やチャット、スタンプ配信などの多様なコミュニケーション手段があり、これらをマーケティングに利用できます。

https://botchan.chat/base/line-marketing2

これも、そのとおりです。しかし、「多様なコミュニケーション手段」として挙げられているのが、広告配信、チャット、スタンプ配信では、ミカミの考える「生活インフラ」としてのLINE活用までは、ちょっと不足があるようにも読めました。いずれも、「定義」と読める部分を抜き出したので、記事全体、サイト全体を読むと、もっと深い考察があるかもしれませんが。
 
「LINEマーケティング」という言葉に、ミカミが感じているのは、「現在の本質を表現し切れていないのでは?」ということです。そこを考えるために、ミカミがLINEに着目した背景から振り返ってみます。
 
この2年、リモートによる働き方の変化、会議のオンライン化、EC市場の成長、デリバリーサービスの普及などなど、人々の働き方や生活様式は大きく変化しました。そして、その変化にはデジタルが介在していました

ということは、人々とデジタルでつながるコミュニケーションのプラットフォームは重要性を増してくると考えました。もっとも身近で、もっとも一般的で、もっとも生活に密着しているものは何か。それがLINEでした。TikTokより、Instagramより、Twitterより、「生活インフラ」になっているものは、LINEだと考えたわけです。この記事の冒頭で書いたとおりです。
 
さらに、「生活インフラ」としてのコアは何か。それをつきつめていくと、LINE User IDに行きつくのです。「LINEマーケティング」の真髄は「ID」にあり。これが、ミカミ的回答です。くりかえしになりますが、企業データ(顧客ID)とLINE User IDの紐づけによって、さまざまなユーザー接点の創出につながります。そこでミカミは“LINE ID” マーケティング(注)という考え方を提唱します。すでにLINEマーケティングから、“LINE ID” マーケティングの時代に突入しているのではないでしょうか。

(注)本notoでは、LINE User IDをつかった取り組みを、便宜上“LINE ID”マーケティングと呼称します。(2022年6月13日 追記)

ミカミ的まとめ

LINE研究パート2、いかがだったでしょうか。今回、書いたことをサマります。

  • LINEは、もはや「生活インフラ」である

  • LINEは、多くの人々のさまざまな生活場面で使われるようになっている

  • 企業とユーザーが、LINE User IDでつながる時代

  • 企業データとLINE User IDの紐づけで、企業はユーザーとOne to Oneのコミュニケーションが取れる

  • 企業を支援すう広告業界にも、「生活インフラ」のタッチポイントの開発やキャッシュポイントの創出が求められる

  • 「LINEマーケティング」の真髄は「ID」にあり

  • これからは“LINE ID” マーケティングの時代へ

ということでした。今回は、前回の内容もふまえつつ、“LINE User ID”をめぐる仕組みの中を、企業、ユーザー、広告業界のそれぞれの視点から、考えながら書いた感じです。

次回のLINE研究は、“LINE ID” マーケティングをもっと深堀りしていく予定です。お楽しみに。
 
ミカミ・リョー@LINEキャンパス受講中                                                                                                                                             

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