レッスンと合気道

東京音楽大学、高校の秋学期の期末実技試験が近づいて来ています。レッスンにも熱が入ります。いや、熱が入るのは学生、生徒です。僕はいつもと同じです。いつも通り熱を入れてます。

試験の前だとレッスンに来る学生や生徒の顔つきが違う。ガッチリさらってくるし、大体の場合、前回のレッスンとは一段階違うものを持ってきてくれる。レッスンの時間も非常に有意義になる。

ホント、毎年思います。試験が近づくと。「こういうことなら、毎月試験があれば良いのに」って。そうなったらそうなったで審査の試験委員の仕事が増えたりして問題なんですけどね。というか、試験前じゃ無くても、これくらい真剣に歌に向かい合ってくれればなぁと思う。でもまぁ、人間というのは弱いもので、やるべき、やったら良いと思っていることをいつもいつも出来るわけじゃないですからね。だいたい、僕自身がそうだから。

僕のレッスンは、合気道のようなもの、とよく言っています。合気道は防御、返し技が中心だという。つまり、相手が飛びかかってきてくれれば技をかけられるんだけど、遠巻きにして何も手を出してこないと、手を出せない。僕のレッスンもそうです。門下生が自発的に発信してくれれば、いくらで打てる手はあるのだけど、飛びかかってきてくれず、遠巻きにしていると、僕に出来る事はとても少なくなってしまう。

これは僕に限らず、音楽のレッスンというのはそういうものかもしれない。でも多分、僕の場合はその度合いが高い。僕は自発性を重んじるし、自発性が無い音楽や表現にあまり意味を感じない。質の高さや正しさは、割とどうでも良いです。間違いや失敗をを恐れず果敢に挑んでくれること、遊んでくれることを望んでいます。

そして失敗から学ぶ事。人から「正しい事」を教わって、価値もわからず、自分との相性もわからずに模倣するのでは無く、自分の身体で失敗して、そこから教訓を導き出す。その為には率先して失敗しないとね。

だからレッスンに、失敗しに(あるいは「失敗を恐れずに」)来てくれるのは本当に、本当に嬉しい。そして、試験前はそう言う時間が増えるのですね。

崖っぷちを歩きましょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?