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東洋医学の気とは何か?

 東洋医学の重要な概念である「気」ですが、初めて聞く人にとって見れば、怪しさ満点の言葉ですよね。私自身もそう思っていました。そこで、今回は東洋医学の重要な概念である気についてまとめていきたいと思います。

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1.なぜ、気という用語が作られたのか?

 気とは一体どういうことなのかというのは、昔から考えられてきているもので、一言で表すことが出来ません。そこで、なぜ、気という用語が作られたのかを考えていきます。

 古代の人たちは、人、動物、植物がなぜ生まれ、なぜ病気になり、なぜ死亡するのか分かりませんでした。さらに、空や大地、星がなぜ存在しているのかも分かりませんでした。

 分からないということは、会話をすることも考えることもできなくなります。しかし、人は言葉を作ることで会話をし、考えていくことができます。

 例えば、人でも名前がなかったとしたら不便ですよね?便宜的にでも名前をつけようとしませんか?ペットを飼う場合も、まずはペットの名前を付けることをしますよね。これはペットに名前がないと、生活していく上で不便が生じるからです。

 長い名前で呼びにくければ、あだ名をつけて呼びやすくするのが普通です。

渡辺なら「なべ」さんや「なべ」ちゃん、山がつけば「やま」ちゃんや「やま」さんなど、呼びやすく短くします。

 人、動物、植物の生命、自然の成り立ちや働きは、考えても分からないことですが、神秘的でもあり、力強いものでもあるので、この分からない力について、気という用語を作ります。

 気という用語ができると、「人、動物、植物の成り立ち、衰退は気によって成り立ちます。自然の働き、自然が存在するのは気があるからです。」という文章を作ることができます。

 人の体調が悪くなった状態も「気に異変があったから」という文章を作ることができるので、それまで表現できなかった様々な物事を表現していけるようになります。

 もし、分からないというまま用語を作らなければ、人は何故生まれて、なぜ死ぬのかというのを短い言葉で表現できなくなるために、非常に長い文章になるでしょうし、人によって話す内容が変わってしまうために、不便が生じます。

 現代医学では病名が決まっても、治療法がないということもありますが、病名が決まって、どういう状態なのかを決めることができれば、世界中で調べて、その病名に対して何がよかったのか、悪かったのかをまとめていけることができます。

 言葉は何気なく使っていますが、意味を持って付けられた物で、言葉があるから考えることも、話すこともできます。

2.気が分からないのは正常

 気は生命や働きなど、神秘的なこと、分からないことに対して付けられた用語なので、気というのが分からないのは正常ですし、分からないのは当たり前です。だって、人の成り立ち、生命、自然がなぜ存在しているのかなんて答えられないですよね。

 気が見えるという人もいますが、ここではそういった話は割愛します。

 東洋医学の学習を始めて、気が分かる、理解できたという人もいますが、その場合は、人の病気や生命について悩んでいる人の方が分かるし、理解しやすくなります。例えば、病院で検査をしてもらっても、原因が分からず、治療もなく、効果がなかったというのを経験した人は、生命力が弱った(気が弱かった)からだと理解していくことができます。

 鍼灸の専門学校に入学される人では、自分が病気で苦しんだという経験がある人や今までやっていた、リラクゼーション、エステ、現代医学では効果に限界を感じているという人もいますが、そういった方にしてみれば、気という用語は分からなくても、理解できることが多いですね。

 若くして学校に入ってきた場合は、治らないなどの身体のトラブルに直面したことがないので、気という用語が理解しにくいのも当然です。

 気という用語や東洋医学を説明するときに、若い人よりも年を取った人の方が納得しやすいですし、病気を経験したことない人よりも病気を経験し、苦しんだ人の方が納得しやすくなります。

 気という用語が理解できないのは焦る必要はありません。まずは、気の種類、作用、病証だけしっかりと押さえておけば大丈夫です。

3.東洋医学での気

 東洋医学での気という概念を考えていくと、まずは生命力全般を気という単語で表現していくことができます。ただ、これは広い意味になってしまうために、実際には、気だけではなく、他の用語も使われていきます。

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 東洋医学は気の医学であるというのは正しいのですが、気だけの用語だと、病気になるのは気の問題、健康な人は気があるという程度になってしまうために、病を鑑別したり、治療をしたりするには不便になります。

 そのため、気については種類や作用という概念で詳細に書かれていきます。ただ、今回は東洋医学全般の中で考える気でまとめていますので、気の種類や作用に関しては、違う形でまとめていきます。

 東洋医学では、身体の問題や健康に関して気という用語を用いて説明をしていくのですが、全ての機能を気だけで説明すると、臓腑、経絡などと合わせて考えていくのに若干物足りなさも出てきます。

実際の身体では、血液と呼ばれる赤い液体もあるために、現実的な視点も含めていくのが東洋医学の面白いところとも言え、東洋医学は一般的に「気・血・水」を重視すると言われていきます。

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 気という用語だけではなく、血や水(津液)を作っていくことで、実際の身体の状態や症状を具体化することが出来るので、東洋医学を学習するときには「気・血・水」が重要になります。

 東洋医学を深く学習している方からしてみれば、気を学習して理解していくことが大切とも言えるでしょうが、違う視点から考えると「気・血・水」の医学でもあるので、気だけではなく、血や水に対しての理解も重要になります。

 東洋医学が分からなくなる人の多くは、一部分をしっかりと読み込んでしまうことで、他のところとの繋がりがイメージしにくくなってしまうこともあるので、とにかく気血津液を意識して学習していく方がいいですね。

4.まとめ

 東洋医学を学習しようというときに、道を阻むように存在するのが気になる人も多いでしょうが、本格的に気を理解しようとして、気とは何かを考えていくのは非常に難しいですし、結論として納得できるようになるまで長い時間がかかると思います。

 気は生命など神秘的な現象を含んでくるので、それこそ、気を本当に理解しようとしたら、自然科学や物理学など多くの学習をして、やはり分からないから気という言葉を使わざるを得ないのではないでしょうか。

 もし、気という用語を使わずに説明できたとしたら、それこそ、生命などの神秘的な現象の根本を頭で理解できたということなので、それは本当に凄いことだと思いますが、国家試験までにそこまで到達できるかというと難しいのではないでしょうか。

 気という用語で東洋医学を学びにくいという人もいるでしょうが、東洋医学は現代医学とは違う考え方になるので、東洋医学の用語と東洋医学での身体の考え方をしっかりと学習しないと理解していくのは難しいので、どうしても東洋医学が理解しにくいという人は、ポイントとなってくる気血津液をしっかりと学習していくことをお勧めします。

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