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鍼灸師に必要な賠償責任保険

 賠償責任保険は知らない鍼灸師もいるのではないでしょうか。知っていたとしても、勤務しているときには加入していない、または会社が加入していると思っていたという人も多いですね。

 開業しようとしたり、個人で少しみたりしたいというときに初めて真剣に考えるのではないでしょうか。

 ということで、今回は、賠償責任保険に関してまとめておきますので、今後の参考にしてください。


1.賠償責任保険とは

 鍼灸などの治療行為、個人事業主としては事業行為という言葉になりますが、事業をするということは、リスクを考えていくことができます。例えば、飲食店であれば食中毒が一つにリスクですし、普通に座っていた椅子が壊れて転倒して怪我をした場合も、店側の責任になります。

 こういったときの、リスク(鍼灸では怪我など)に対して備えるのが賠償責任保険になります。

 保険は、万が一に備えて支払っていくものなので、基本的には支払った金額は戻ってこない掛け捨てと呼ばれる状態になります。

 鍼灸などの資格を持っているということは、基本は安全に鍼灸などを行えるという前提ですし、事故を起こさないということとも言えるので、基本的には、リスクに備えて支払うだけで、お金を受け取れることはないです。

 自分のお金を出して支払うので、事故を起こさなければいいという考え方もする人がいますが、もちろん事故は未然に防ぐものですが、完全に防げないというのが「リスク管理」の考え方です。

例えば、以下のようなものもあります。

  • 店舗の入り口で滑って転んでケガをした

  • 回転する椅子に座らせたら転んでケガをした

  • 施術後にふらついて転倒し怪我をした

  • お灸で火傷をしてしまった

  • 鍼などで痛みが増強してしまった

  • 鍼の抜き忘れで痛みが出てしまった

 100%防げるでしょうか?難しいのではないでしょうか?
こういった状況でも、1日休んだら完治ならいいですが、我々が対応する方達は調子が悪かったり、動きに問題があったりするので、完璧に防ぐのは難しいこともあります。

 こういったことへの対処ができるのが賠償責任保険になります。

2.勤務しているときには必要ないの?

 これは勤務先によります。通常は、鍼灸師であれば、鍼灸を安全に行えるという資格なので、会社としては、個人の賠償責任保険まで面倒をみる必要はないとも言えます。

 どういうことかというと、通常は開業していれば、店舗の不備があった場合にも備えなければいけないので、店舗に関して、または責任者、院長などに限定して加入していて、スタッフは未加入の場合もあります。

 この点は、勤めるのであれば、その会社のやり方を尋ねておく必要があります。

 会社が入ってくれればいいのにという考え方もありますが、例えば、5日は会社、1日またはたまに人を施術する状況を考えてみます。

  • 5日は会社で支払ってくれた賠償責任保険

  • 個人でやるものは、「会社が支払っている賠償責任保険?」

 という状況になります。会社で支払っている保険で、個人の副業の物をカバーするのはおかしくないですか?というところもあります。

 会社によっては、会社の業務内のみという制限の場合があるので、その場合は、業務外は全て個人の責任になります。

 ということで、まずは以下の確認が必要ですね。

  • 個人の賠償責任保険も加入、支払いをしてくれるのか?

  • 賠償責任保険は業務外は対応するのか?

  • 個人で施術をすることがあるのか?

3.金額はどう考えるのか?

 賠償責任保険では、一般的には加入タイプということで、保険で支払ってくれる金額が多ければ、保険金として支払う額も多くなります。

 賠償責任保険は「リスク」に関して保険をかけるので、我々の最大のリスクは何があるのかを考える必要があります。

 最大のリスクは、亡くなってしまうことです。

 次に取れない障害を発生させてしまうことです。

 ということは、最大のリスクに対応するために、その人の人生をカバーする必要があるので、人はどれぐらい生涯で稼ぐかといえば「2億円」とも言われるので、それなりの年齢の人に対してリスクが発生してしまえば、「1億円」までは必要になりそうです。

 ということで、賠償責任保険では高い金額では、1事故1億円か3億円の支払い限度額のものが多くあり、さらに少額のものがあったりします。賠償責任保険にもよりますが、店舗設備までカバーすると値段が上がったり、鍼灸だけではなく柔整などの他の資格もあると値段が上がったりするものがあるので、自分がやる業務と内容、リスクを考えていく必要があります。

4.どこで加入すればいいのか?

 これは、資格が何を持っていて、どこまでの範囲かというのにも関わるので、自分に合うものを取り扱っているところで入ることになります。

 学校によっては、卒業生なら入れるタイプを取り扱っている学校もありますが、鍼灸師会などの団体で加入することもできます。ただ、鍼灸師会の場合は鍼灸師会への入会が必要となる場合もあるので、確認しないといけないです。

 他には、無資格系(リラクゼーション、もみほぐし系など)でも独自の賠償責任保険制度があるので、資格者も入れることがあります。ここを見ると、資格者は無資格者と違って年間で支払う保険金額が少なくなっているので、無資格者は資格者と違って事故が多いという状況も分かります。

5.まとめ

 賠償責任保険は、必要だと思ったときには入るものですが、その考え方は人それぞれのところがあります。私自身は卒業してすぐのときには、よくわかっていなかったので、加入していませんでした。

 教員になったときに、いろいろと話を知り、自分でも調べていきました。学校の専任で治療室に勤務する場合は、学校で支払ってくれる場合もあるでしょうし、個人でもやりたいから個人でも支払って入るという人もいるのではないでしょうか。

 会社の業務内はカバーしているのに入っていて、たまにやる程度だから入っていなかったけど、ちょっと怖い思いをしたので個人としても加入したという人もいますね

 賠償責任保険は、相手に何かあったときに守ってあげるものでもありますし、個人も守ってくれるものになります。場合によっては個人賠償責任保険(いわゆる自転車保険、歩いているときにぶつかって転倒させて怪我をさせてしまった、意図的ではなく転倒した際に何かを壊してしまった)も付帯する場合もあります。

 保険は相手だけではなく、自分を守るための物でもあるので、しっかりと知識をつけて考えていってください。

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