THE FIRST SLAM DUNK

青春スポーツ漫画の金字塔。
90〜96年連載。映画公開をきっかけにオススメされて原作読破。2023年に読むと相応の古さを感じる部分はありつつも不変の魅力を持っている。とにかく主人公の桜木花道という名前がかっこいい。天才。

監督脚本を原作者・井上雄彦先生が担当。連載終了から26年の時を経て公開された本作は、原作で強く輝いた試合を主人公とは別のキャラクター視点で描き直しており、基本的に原作を丁寧に再現していく、という近年のトレンドとはまるで異なる手法だった。

「必要不可欠・決定的な瞬間で構成されたコマとコマの間でカットされた時間」が映像になり、「小さなコマで処理されていたシーン」が他のシーンと同じように大画面に映り、「内心の声であるモノローグ」が音声となって積み重なるとき、アニメ独自の緩急・テンポが生まれる。
THE FIRST SLAM DUNKにはこれがない。原作のエピソードをいくつも潔くカット、モノローグやセリフも全ては拾わない。結果、漫画的な緩急・テンポ、キャラクターが感じているだろう主観的な時間の経過が再現されていたと思う。漫画の臨場感、余白がそのまんま映像になっている感覚。
だから実写的というのもちょっと違う。ケレン味があって桜木のオーバーな動きや語尾に「ピョン」を付けるキャラクターが場に馴染むような手触りを残している。
作者のポッドキャストでも芝居のタイミングを細かく調整した様子がうかがえた。今までみた原作付きアニメでこういう時間感覚の作品が思い当たらず新鮮で、だけど馴染み深い表現だった。

脚本の縦軸はバスケの試合で最初から最後まで10人のキャラが動き続ける。つまり重要なアクションシーンが延々と続く。ここがのっぺり単調なカメラワークだったらこんな時間感覚、躍動感は生まれなかったはず。日本で一般的な2Dアニメでは難しかったのでは?と思うので3Dにも納得。


スラムダンクは堅実にやってもヒットしただろう作品なのに、蓄積され磨かれた思い出を超えて、今改めて新たな視点でここまで作りあげたことに感動しました。



・インタビュー読むと輪郭の線から陰影まで作者が修正かけてるようで、仕事量がハンパじゃない。だからこその完成度。

・喧嘩のあと雪を見た感想が「ゴミみてぇ」な沖縄育ちDK宮城リョータ良すぎ!!

・桜木はどこにいても目立つ、やっぱ主人公の風格。

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