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ゼロ・ウェイストタウン上勝町のサステナブルな新規事業の実践!:GLIP Partner Community 第6回 開催レポート


こんにちは!
TOYOTA Connected 先行企画部の運営する、GLIP Partner CommunityメンバーのAyaです。GPCが開催するミートアップイベント第6回目のとなる今回は「ゼロ・ウェイスト」に取り組む徳島県上勝町と共に地域創生に挑戦する、株式会社スペックの代表取締役である田中達也氏にご登壇いただきました。

食品衛生や安全の検査を主業務としながら、地域の課題解決をテーマとした事業に関わったことがきっかけで、徳島・上勝町の活動へ参画し2015年から町が取り組む環境活動「ゼロ・ウェイスト」をわかりやすく理解するための取り組みとして、クラフトビールの醸造所「RISE & WIN Brewing Co. BBQ&General Store」を創立。また2020年からは「上勝町ゼロ・ウェイストセンター(WHY)」の運営もスタートし上勝町から、社会課題の解決、意識改革の発信に取り組まれています。

RISE & WIN Brewing Co. BBQ&General Store。上勝町の廃材で作られている

上勝町の抱える課題と現状

自然豊かな上勝町


徳島県上勝町は四国の山間部に位置し、かつて林業で栄えた町ですが、林業の衰退とともに過疎化が進み、現在では人口がおよそ1300人にまで減少し、主要な空港や駅からも遠いため、目的がないとなかなか人が訪れないような場所です。今でこそ全国から約2500人の視察者が訪れるようになった上勝町ですが、地方創生に取り組む上で豊かな自然環境以外に特筆すべき産業や資源がないという課題を抱えていました。

上勝町の取り組む「ゼロ・ウェイスト」とブランディング

上勝町は2020年までに焼却・埋め立てごみをできるだけゼロに近づける「ゼロ・ウェイスト宣言」を2003年に日本で初めて宣言をした町であり、ごみのリサイクル率を100%にするという壮大な目標を掲げています。

「ゼロ・ウェイスト」とは??
「ゼロ・ウェイスト」とは、無駄、浪費、ごみをなくすという意味。
出てきた廃棄物をどう処理するかではなく、そもそもごみを生み出さないようにしようという考え方です。

出典:https://zwtk.jp/

ごみ収集車のない上勝町では、町民が上勝町ゼロ・ウェイストセンターに併設されているゴミステーションにごみを持ち込み、町民自ら分別します。

焼却・埋め立てごみをできる限り減らし、 かつ処理にお金がかからないよう13種類45分別と細かく分別されている


細かく分類することがごみを減らす第一歩。行政、市民、企業が一体となり、当たり前の事として取り組むその姿勢に感動した田中氏。それこそが上勝町のブランディングの軸になると考えコンセプトや上勝町の魅力を伝えるために、様々なプロジェクトを立ち上げ地域創生事業を上勝町の人々と共に推進しています。

飲むだけで!?環境に貢献できるクラフトビール

田中氏は2015年、「JUST DRINK KAMIKATZ BEER!」というメッセージのもと、ビールを飲むだけで環境(ごみゼロ)に貢献できるクラフトビールブランドをスタートさせました。


田中氏はごみを出さないブルワリーを目指しており、町の廃材を利用した建築デザインや、上勝特産の柑橘「柚香」の皮を活用したビール、醸造時に出る麦芽かすから生成した液肥を町民に無料で提供して、町内の畑で栽培する農作物やビール原料になる麦や米を栽培し、再びビールに活用するなど、地域の中で循環する仕組みづくりを展開し上勝町でのサーキュラーエコノミーへ取り組んでいます。

近年みじかなトピックとなったサスティナブルや、エシカル、環境に優しいことに取り組むことは重要な事だと理解はしているものの、少しハードルが高いものととらえられがちです。クラフトビールという身近なものを介して上勝町の取り組み、その背景にあるストーリーを知ることができる。飲むだけで少し環境に良いことができる。
町のコンセプトを発信する為に立ち上げたクラフトビール事業「 RISE & WIN Brewing Co.」はゼロ・ウェイストの理念を体現し、上勝に行きたくなるような空間づくりなど、細部にまでこだわり様々なクリエーターと協力して、上勝町でしか表現できない世界観を作り上げています。

上勝町ゼロ・ウェイストセンターの建物は上空から見ると「?」のユニークな形

町の経済循環という課題解決に向けて

ごみゼロの町の象徴的な場所を創りたい、町から委託を受けて2020年にはゼロ・ウェイストの活動のハブとなる拠点として旧ゴミステーションを上勝町が推進する“ゼロ・ウェイスト”の新たな拠点「上勝町ゼロ・ウェイストセンター(WHY)」としてリニューアルオープンさせました。

45種類の分別を行うごみの集積所。町民が車で乗り入れやすい設計となっている

おそらく世界唯一だと思われる、ごみステーションに併設される「Hotel WHY」では施設案内を行うスタディツアーや、宿泊滞在時に宿泊者自身が出したごみを分別し、町民が実践している「ゼロ・ウェイスト」を体験・学べるツアーを提供し、国内外から集うゲストたちがゼロ・ウェイストの理念を学び、世界に広げていける施設を目指しているそうです。

「?」の点の部分が宿泊施設「HOTEL WHY」

そしてこの上勝町ゼロ・ウェイストセンターは「ゼロ・ウェイスト」を上勝町のブランドとしてアピールする場所としてだけでなく、上勝町を持続可能なものにするための経済循環の場でもあるそうです。「上勝町とともにゼロ・ウェイストのチャレンジをしたい」「ごみにならない商品のテストをしたい」上勝町はそんな企業を求め町内の事業者だけでなく、サステナブルな事業を推進する様々な企業と連携を進めています。

上勝町「ゼロ・ウェイスト」の取り組みを世界へ

上勝町ゼロ・ウェイストセンターにはその取り組みの視察のため多くの企業、行政の方が訪れ、その数およそ2万人(2022年)だそうです。一方で、訪れる方は「この取り組みは上勝だからできるんですよね」「都会では難しいですよね」といわれるそうです。

田中氏はそんな問いに対し「上勝モデルを都会でも実現する」取り組みとして、度々上勝町ゼロ・ウェイストセンターに視察に訪れていた三菱地所の推進するサーキュラーシティ丸の内プロジェクトに参画し、環境によいまちづくりに挑戦されています。

田中氏の提唱する「reRise」が常盤橋タワーの地下に導入され資源循環の取り組みが都市でも行われている

reRiseとは
RISE & WINでは、ビールの製造過程で排出される副産物(麦芽かす)をごみにせず微生物分解で液肥化し、その肥料を使って栽培した麦で新たにビールを醸造します。 この取り組みのように、ポジティブな資源循環の仕組みを「reRise」と呼んでいます。

https://www.kamikatz.jp/brewery/

講演の最後に田中氏がおっしゃっていた
いまの足元のことではなく、未来の子どもたちがこの町の為に頑張りたい、と思える町にする為に50年100年先まで考えて、これからも上勝町に様々な人が集まり交流が生まれるような仕掛けを発信していきたい。
「地域から日本を元気にすることが、いまの日本に最も必要だ」という言葉は、まさに信念を持って行動を起こし、最初の一歩を踏み出し続ける上勝町の取り組みそのものだと感じました。

一人ひとりの小さな一歩がいつか世界に大きなうねりを起こす。そんな気づきを与えていただいた講演でした。

イベントではnoteにかけない裏話なども沢山お話していただけますので、少しでも興味を持っていただけたら一度イベントにご参加くださいね!

隔月1回のペースでイベントを開催しています!
お申込みはPeatixから


イベントの会場にもなっているTCの東京オフィスを私たちは
GLIP(Global Leadership Innovation Place)と呼んでいます。
GLIPはまさに“グローバルに人が集い、自らがリーダーとしてイノベーションを推進する場所”を目指しています。
「トヨタ自動車にできないことを」という志で、23年前、ベンチャー企業としてスタートしたTC。私の所属する先行企画部では新しいビジネスの創出に取り組んでいます。
単に売上や利益の追求だけでなく、「社会課題を解決し、人々の暮らしに貢献できる」「多様性を尊重し、グローバルな視点で豊かなモビリティ社会を実現する」を合言葉に。新しい事業の「タネ」を育て、わたしたちの手で、次世代のTCを生み出していきます。

今後も様々なゲストを招いてmeetupを開催します!

次回のイベント情報は公式Facebookでもお知らせしますので、ぜひフォローをお願いします。
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RISE & WIN Brewing Co.


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