2020年のVRはどうなるか 10個の予想

はじめに

10個くらい自分が考えているVRで起こりそうなことについて雑記を書いてみました。ポジショントークなし。

まずはハードウェア/プラットフォーム的なものから。

①Oculus Questがまあまあ売れる(これまでのVR機器で一番のペースだけど別に急に全員が持つようにはならないよ?)

まず、Oculus Questという2019年にFacebookが発売したVRデバイスが、これまでのVRデバイス史上、一番のペースで売れると思います。多分2019年の販売ペースは、下記のレポートにもあるように、Oculus Goより少し上で、PlayStation VRの初年度よりは少なかったんじゃないかな。(ただしレポートの台数よりはもう少し多かった所感)

でも2020年は、PlayStation VRの初年度より多いペースで売れると思います。日本でも多く売れると思います。そうなると思う理由は2つで、1. ハードウェアと対応ソフトのレベルがVR史上最高 2. ハンドトラッキング機能の追加、facebook純正VR SNS horizonの発表などfacebookの注力度合いが非常に高く販売促進にもさならる注力が予測される からです。

だからといって、急に世界のみんながVRを持ち始める、というレベルではないです。ただし、VRは確実に、指数関数的に普及し、マーケットは着実に大きくなっている、ということだと思っています。

②PlayStation VRでできることが充実する(VTuber×PSVR的なことも?!)

現在、最も多く普及しているVRデバイスは、PlayStation VR(以下PSVR)で、500万台をこえています。(スマホVRを除く)

先ほど述べたOculus Questは、ソフトの審査が厳しく、また台数としては、まだPSVRにはるかに及んでいません。2020年は、Oculus Questの審査ハードルと、PSVRマーケットの魅力に気づき始めたVRソフト開発者が、PSVRへの対応を加速させると思います。

また、PSVRこれまでゲームと動画の用途がメインだったと思いますが、2020年はもっとできることが増えていくと思います。例えば、すでに発表があるように、VTuberライブをPlayStaitionで楽しめる場が増えていきます。

また、また、一方的にライブを楽しむだけではなく、PS VRでVtuberやアバターになって交流や配信をする、ことができるサービスが出てくると思います。北米でPSVRに配信しているVR SNS Rec Roomがうまくいっているようなので、そうした状況を受けて、PSVRにも他にもコミュニケーションよりのサービスが増えていくと思います。


③スマホ/PCでの擬似VR体験(→よりリッチな体験はVRで)

VRデベロッパーがスマホ/PCにも展開していきます。深い体験はVRだけど、入り口はスマホやPCでも楽しめます、というコンテンツが増えていくと思います。VTuberライブや、VRChatはすでにそうなっていますね。実際はVRデバイスユーザーより、PCユーザーの方が多いくらいな気もします。そうした流れで、VR SNSのRecroomも、スマホ対応しました。書いてみたはいいけど、これはもう予測というか、2019年に実際に起きたことですね。

また逆で言えば、スマホ/PCベースのサービスだけど、より深い体験はVRでもできるよ、というものが出てくると思います。Zepetoとか、Fortniteとか?こちらの方が予想かな。


さて、ここまでハードウェアとプラットフォームの話。

ここからはソフトな話


④Beat Saber, Super hotに次ぐ、VRならではのおもしろいゲームが生まれる

2015年の"VR元年"から5年経って、生き残ったVRデベロッパーの中では、VRゲームに対する知見がたまってきました。また、Beat SaberやSuper hotの大ヒットの中で、おもしろいVRゲーム、の輪郭がなんとなく見えてきていると思います。

また、昨年末、Beat Saberを開発するゲームスタジオをfacebookが買収しました。こういうサクセスストーリーの影響も出てくるんじゃないかなと思います。

まあでもこれは正直、予測というより、希望でもあります。いちVRユーザーとしてもっとおもしろいVRゲームを遊びたい!(僕は個人的にはLeage of Legendやスプラトゥーン を遊びますが、それよりも自分がおもしろい!優先してやりたい!と継続的に思えるVRゲームに2020年に出会いたい..!!!)


⑤日本タイトルにも注目(東京クロノスの次回作、リトルウォッチアカデミア、ガルガンチュアの進化)

ゲームで言えば、国内タイトルも期待です。特に既存の国内ゲームスタジオの、2,3作目に期待しています。

2019年は、東京クロノスやガルガンチュアなど、国内から世界で売れるVRゲームが出てきました。そういったスタジオの、次回作やアップデートしたタイトル、またはIPタイトルが、次の大ヒットVRゲームとなる可能性は十分にあるんじゃないかなと思っています。



⑥VTuberは死なない(より良いビジネスモデルでの運用)

2019年末は、VTuber事務所の閉鎖ラッシュが起きました。VTuber大丈夫なのか、という心配の声も多く上がりましたが、どうでしょうか。

僕としては、Vtuberは当然死なないし、より良い/適したビジネスモデルで運用されるものが続いていく増えていくと思います。

例えば、最初から濃いコミュニティに低い運用コスト、を志向している東雲めぐちゃんなんかはその素晴らしい例だと思いますし、ちょっと違うところだと、実はアカツキさんが運営する子供向けVtuberチャンネル「クマーバチャンネル」は、こっそりすごい数字を出していたりします。

また、今VTuber業界を圧巻しているにじさんじは、ライブ2D+iPhoneでの低コスト配信 + にじさんじという箱推し文化での初期グロース という戦略が非常にワークしている結果なんじゃないかなと感じます。

こういったVTuberという性質にマッチしたビジネスモデルで運用され、成功を納めていくパターンがまだまだ増えていくように感じます。


⑦VRChatはどこまでも進化していく(udon、経済エコシステムを作れるか?)

VRChatマジですごいです。体験してないスタートアップ界隈の人は全員体験した方がいい。すでに、すごいイノベーターたちが、すごい世界とコミュニティを作っているVRChatですが、udonのアップデートなどにより、よりすごいものが生まれる世界になっていくと思います。VRサービスは、「それVRChatでよくない?」という質問について考えないといけないと思います。

VRChatでは、2019年、経済のエコシステムが生まれつつあるように感じました。VRChatユーザー向けに3Dモデルを販売するクリエイターが、それだけで飯を食える、という現象が起き始めつつあります。VRChatは、そういうエコシステムを2020年確立できるかは一つのテーマになると思います。これが確立すると、VRChatは非常に大きなプラットフォームに育っていく可能性があると思います。


⑧VTuberライブプラットフォームの、クリエイター向けコミュニケーションプラットフォームへの進化

VTuberライブは、少なくとも国内では、2019年になんとなく形が完成した感があります。その分、一旦のマーケットとしての天井も見えてしまいました。一方でのVRChatの成功と可能性を受けて、VRライブプラットフォームの、VRChatライクなクリエイター向けコミュニケーションプラットフォームへのアップデート、が2020年は起こっていくんじゃないかなというのは、Virtual Castさんの発表を見てるとありますね。


⑨facebook Horizonの苦戦(PMF、コミュニティ形成には時間がかかる)

Facebookが発表したVR SNS horizonについても語らないといけないかなと。結論から言えば、僕はこれは2020年は苦戦するんじゃないかなと思います。いまの発表を見ると、horozionはrec roomにかなり似ている印象です。しかし、例え同じ機能を作ったとしても、ちょっとしたバランス調整や、コミュニティ形成には時間がかかります。2020年で言えば、horizonは、Rec roomを超えられないのはもちろん、おもしろいと多くのユーザーに思ってもらえるようになるための、調整期間になるんじゃないかなと。これまでfacebookはソーシャルVRを2つ出してどちらもすぐにやめてしまいましたが、horozionは数年かけてやり切る覚悟があるのか、そういう考えでやっているのかは気になります。


⑩一方で、国内VRスタートアップの苦悩。グローバル or スマホ/PC or 2Bの3つの道

タイトルの通り。国内のスタートアップの資金調達環境が2019年後半から悪化していますし、国内VRマーケットの天井も見えている中で、日本VRスタートアップにとっては再び試練になると思います。これはシンプルに3つの道しかないかなと思っていて、「グローバルマーケット」「VRだけど実はスマホ/PCユーザーがメイン収益」「企業からお金をもらう」かなと。実際、今うまくいっているVR企業は、すでに上の3つのどれかに動いていますね。まだの会社は、どれもできないと、しんどいんじゃないかなと思っています。


自分の立場はさておき、ざっと書いてみました。2020年末に見直したい。