かぜ_11

2019/5/12 風をよむ「えっ?支持率が上昇?」

●トランプ大統領の支持率が過去最高になった背景は?

●トランプリスクに惑わされる世界

●政治をする上で必要なこと

45%でスタートし、一旦35%に下がったもののの、今月は46%に。何でしょうか?

実は、今月発表された、トランプ大統領の最新の支持率です。

大統領就任以降2年間で、過去最高の46%を記録、与党共和党支持者だけで見ると、91%という驚異的な支持を得ています。

トランプ大統領「小さなロケットマン 彼は病んだ子犬だ!」(金正恩党委員長に)
トランプ大統領「もうたくさんだ もういい お前は国民の敵だ!」(CNNの記者に)

物議を醸した数々の発言にも関わらず、揺るがない支持率。

大統領就任後、注目されてきたロシア疑惑のスキャンダルにも、
  
トランプ支持者「初めから、ロシアとの共謀なんて無いと思っていたわ」
トランプ支持者「私はトランプ大統領のメガサポーターよ」

支持者にとって疑惑などどこ吹く風。

しかし、ロシア疑惑に関しては今月6日、500人を超える元検事らが、「現職の大統領でなければ訴追されていただろう」という声明を発表。

大統領の共謀の立証はできないとされたものの、司法妨害の疑いは、完全には否定されず、グレーな部分が残されたままです。

そんな、トランプ氏を強く支持するのは、どんな人たちなのでしょう?トランプ氏が実際に進めたきた政策から、考えてみると・・・

トランプ大統領「現在の合意の腐りきった構造では、イランの核兵器を阻止できないことは明らかだ」

イランが核開発を大幅に制限する見返りに経済制裁が解除される、という核合意から、アメリカは去年離脱し、イランへの圧力を強めてきました。一方、追い詰められたイラン側も、今月8日・・

ロウハニ大統領「我々は一度たりとも暴君に屈してこなかった。 どんな侵略者にも断固として立ち向かう。これがイランだ。」

イラン核合意で定められた一部の義務に、従わないと表明。再び、核開発への道に戻る可能性が出てきたのです。
  

イランへの強硬姿勢とは対照的に、トランプ氏が親密さを深めているのがイスラエルとの関係です。

トランプ大統領「私はゴラン高原でのイスラエルの主権を認める大統領宣言に署名する」

今年3月に、国際社会が認めてこなかった、中東のゴラン高原におけるイスラエルの主権を認めると発表、世界の反発を招きました。
   
これまでも、エルサレムはイスラエルの首都と認定するなど中東地域のバランスを壊しかねないトランプ氏の政策。その背後に控える、強力なトランプ支持層とは? 国際政治に詳しい、上智大学の前嶋教授は・・・

前嶋和弘・上智大学教授「イラン核合意に対して、離脱を望んでいる層はトランプさんの支持者の中でも、宗教保守・福音派と呼ばれる人たち。この人たちは、強い、親イスラエル。イスラエルの敵であるイランをもっと締め付けろ、と」

キリスト教福音派とは、聖書を文字通り信じる熱心な信者。 アメリカ人口の4分の1を占めるとされる、有力な支持基盤です。さらに・・・

トランプ大統領「中国がアメリカの労働者を利用したり、職を奪うようなマネをやめるまで、引き下がらない」

米中がしのぎを削る貿易戦争。トランプ氏は10日、中国からの一部の輸入品に対する関税を25%に引き上げました。

世界経済を揺るがしかねない強硬姿勢の背後にある支持層とは?

前嶋和弘・上智大学教授「白人ブルーカラー層に取ってみれば、自分たちの仕事を奪ったのは中国だと思っている。物作りの拠点がアメリカから中国に移ってしまった。その流れを変えてくれて、アメリカにもう一回仕事を戻してくれるのがトランプさんだと」

国際世論を失望させた発言は、二年前にもありました。

トランプ大統領「アメリカはパリ協定から離脱する。温暖化なんてほとんど嘘っぱちだ。」

大統領になる前から地球温暖化を否定してきたトランプ大統領。就任後は、温暖化対策に取り組むパリ協定から離脱した上に、国内の環境規制を、次々に緩和・撤廃してきました。世界の流れに逆行するような姿勢にも、拍手を送る支持層が・・・

前嶋和弘・上智大学教授「アメリカの富裕層の中の一部で、投資家や経営者にとってみれば環境規制が厳しくなるということは、自分のビジネスがやりにくくなる。規制を取っ払ってくれるトランプさんは、素晴らしいと」
  

支持層の不満に政策で応えることで、支持基盤を固めながら、“自国第一”の道を突き進む指導者と、それを歓迎する支持層。トランプ流の政治は、今やアメリカ以外の国々にも広がっています。

前嶋和弘・上智大学教授「最後は、政治とは何かという問題。世界各国が、人気取りで自分の政治をしていけば、エゴとエゴの対立になっていく。国際関係もやはり揺らいでいく」
 
トランプ大統領は、2週間後、日本を訪れます。

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