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2020年10月18日「風をよむ ~劣化するアメリカ・・・?」

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アメリカ大統領選のテレビ討論。かつては真剣な政策論争が当たり前でした。

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共和党・ニクソン候補「レバノンや台湾に関する重要な決断をした場面にも関わってきた」

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民主党・ケネディ候補「今後アメリカが直面する問題に、どちらが対応できるかということです」

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民主党・オバマ候補「支出を増やし、赤字を増大させたのは、共和党政権では?」

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共和党・マケイン候補「私はこれまで予算や温暖化、イラク戦争など多くのことで異議を唱えてきた」

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しかし、投票日まで2週間あまりに迫った今年の大統領選は・・・。

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民主党・バイデン候補「彼がウソつきだとみんな知っている」

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共和党・トランプ大統領「ウソつきはお前だ。賢さがない。47年間、何もやってない」

民主党・バイデン候補「アメリカ史上最悪の大統領だ」

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互いを非難する中傷合戦にエスカレート。こうした感情的対立は、今、アメリカ社会全体に広がっています。

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5月に起きた白人警官による黒人男性暴行死事件を機に、全米に広がった人種差別反対運動。しかし中には過激化し、破壊や略奪に至るケースもありました。

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その一方で、こうした運動への対抗意識もあってか、極右集団の動きも活発化しています。

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殺傷能力の高い銃を使って訓練するのは、「ミリシア」と呼ばれる極右の自警団組織。彼らの多くは、共和党のトランプ大統領を支持しているといいます。

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ミリシア・リーダー クリス・ヒル氏「(人種差別抗議デモは)ある種の反体制革命であり、奴らは暴力を公然と擁護している。バイデンが当選するようなことがあれば、こっちが反乱することになる」

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全米に200近くもあるというミリシア。その一つが、深刻な犯罪を引き起こしました。

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米ミシガン州・ウィットマー知事「こんな目に遭うとは思ってもいなかった」

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8日、アメリカ司法当局はミシガン州の知事、民主党のウィットマー氏の誘拐を企てたグループを逮捕。合わせて14人を訴追しました。その中には、「ミリシア」の関係者も含まれているとみられています。

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さらに、その後の取り調べで、同じく民主党のバージニア州知事の誘拐を計画していたことまで分かっています。

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こうしたアメリカの現状について、専門家は・・・。

慶応大学・渡辺靖教授(現代アメリカ研究)「トランプを支持してる方と、そうじゃない方の間の、感情的なもつれ、距離感、分断が深まっている。交わることのない、ある種のパラレルワールドの状況になってる」

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市民の「分断」が進むアメリカ・・・。実際、民主党・バイデン氏の圧勝が確実視されるオレゴン州では、トランプ支持者が中心になって、州内36郡のうち18郡を、共和党の強い隣りのアイダホ州に編入させようという署名運動まで進んでいます。

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さらに、こうしたアメリカ社会の分断を加速させているものが・・・。

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「Qの計画は世界を救う」


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トランプ大統領「我々は、コロナ対策をしっかりやっていく」

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今年3月のトランプ大統領の記者会見。黄色のネクタイ姿について、ある書き込みがネットに投稿されます。

「黄色のネクタイは、アメリカには『ウイルスの脅威は存在しない』というメッセージだ。なぜなら黄色は、船舶の国際信号旗で船内に感染者がいないことを示すサインだから―」

この情報を発信したのは、トランプ氏を信奉する「Qアノン」と呼ばれる、根拠のない陰謀論をまき散らすネット上の集団。ところが、この荒唐無稽な情報は瞬く間に拡散しました。他にも・・・。

Qアノン動画「感染拡大はトランプ再選を阻止するための民主党のでっち上げ」

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こうした虚偽の情報は、SNSを中心に広がり、何が事実かさえ分からなくなるような混乱をもたらしたのです。

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実際、全米を対象とした調査でも、「新型コロナウイルスは、誰かが意図的に拡散した」という陰謀論について、4人に1人が「真実」と考えるまでに至っています。

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アメリカに広がる社会の分断と、それを加速させるSNS上の虚偽情報。こうした状況を渡辺教授は・・・。

慶応大学・渡辺靖教授(現代アメリカ研究)「アメリカの民主主義っていうのは、たとえ異なる立場であっても耳を傾けるということを重んじてきたわけですけれども、異なる立場の人は敵であるとみなして、戦いを挑んでいくのが今の状況。『選挙』という、民主主義社会の象徴であるこの制度によって、むしろ対立が深まってしまっている、より民主主義に対する疑念を深めてしまう逆説をうみかねない」

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先日行われた副大統領候補の討論会。その最後に、司会者は、中学2年生、ブレックリン・ブラウンさんからの問いかけを、読み上げました。

「両党の大統領候補が、お互いに相手を中傷してばかりいます。両党のリーダーが仲良く付き合えないのに、市民同士が仲良くなれるのでしょうか。2人が示せば、私たちを団結させてくれるかもしれません」

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