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2020年7月19日「風をよむ ~米軍基地のコロナ」

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音楽に合わせ、「密」な状態で体を揺らし踊る人々…。今月4日、アメリカの独立記念日に合わせて行われた、沖縄県うるま市のバーベキューイベントの様子です。

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参加者はおよそ700人、多くのアメリカ兵が含まれていました。この動画がSNSに投稿されると、今回、米軍基地で起きているコロナ感染拡大の要因ではないかと物議を醸しましたが、イベント主催者は否定します。

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イベント主催者男性「映像にあがっていたように皆でダンスをしたのは短い時間だった。消毒液もたくさん用意してあったし、手を洗えるトイレもあった。広大な場所だったのでソーシャルディスタンスを取ることもできた」

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その一方で、沖縄の米軍幹部は、10日付けの軍人らへの通知で「パーティーなど大人数による集会でソーシャルディスタンス確保の指示に従わなかったことなどが感染拡大の要因」と指摘しています。

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沖縄県内では今月に入り、普天間飛行場とキャンプ・ハンセンなどで米軍関係者の感染が拡大しており、現在その数は143人にのぼっています。

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さらに、感染した米軍関係者のうち、46人が基地の外で行動していたことも明らかになっています。

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沖縄県・玉城デニー知事「アメリカ独立記念日を前に、パーティーやイベントが行われて爆発的な感染に広がったと考えると、防疫態勢に大きな疑念を持たざるを得ない」

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16日には基地に出入りしていた80代のタクシー運転手の感染が判明。米軍関係者から県民に感染した初めてのケースと見られます。そして現在、沖縄県内の感染者数は149人となっています。

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沖縄県民「安心して街を歩けない、怖いですよ」

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沖縄県民「(感染した米軍が)普通に那覇に来たりしている人が多いと思うので、もっと詳しくどういう経路で感染したのか発表したほうがいい」

なぜ、この時期に米軍基地で感染拡大が起きたのか、その背景について、防衛ジャーナリストの半田さんは…

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防衛ジャーナリスト・半田滋さん「7月から8月にかけて世界規模の大規模な人事異動があって、大勢の米兵やその家族、軍属などが日本にやってきている。基地から基地に来た場合だと症状が出ていなければPCR検査を受けることがない。表の扉をがっちり日本政府が閉めているけど、裏口にアメリカ軍用の入り口があって、ここがもう全開しているわけです」

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こちらは沖縄にやってくる米軍関係者を受け付ける嘉手納基地内の窓口です。現在、感染者数、死者数とも世界最多のアメリカは、日本への入国拒否の対象国となっています。しかし、米軍関係者は軍の航空機などで直接、沖縄の基地に入ることができるのです。 

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それを可能にしているのが、“日米地位協定”の存在です。

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地位協定第9条には「合衆国軍隊の構成員は、旅券及び査証に関する日本国の法令の適用から除外される」とあり、アメリカ軍人は、パスポートがなくても自由に出入りできることから、日本の検疫も免除されているのです。

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また米軍は、当初は感染者数などについて非公表としていましたが、沖縄県の強い要請によって、ようやく公表に踏み切るとともに、今後、入国するすべての米軍関係者にPCR検査を義務づける方向で調整中です。

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当初は感染者数を非公表とするなど、情報公開に消極的だった沖縄の 在日米軍。ところが、これと対照的だったのが、韓国駐留の米軍です。在韓米軍は、感染者の身分や行動を説明した資料をホームページで明らかにするなど、積極的な情報公開を行っています。

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防衛ジャーナリスト・半田滋さん「在韓米軍と在日米軍はまるで違う国の軍隊のように見える。なぜかというと相手国政府の対応だと思います。韓国の場合、どれだけ韓国政府が駐留経費を負担するか、そういったやりとりを巡って緊張関係にある。一方日本の場合だと、米軍が使っている施設について建設費も負担するといった、"世界一手厚い特別協定"と言われている対応をしている。与しやすい日本政府というふうに見られている」

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さらに今、米軍基地で広がるコロナ感染は、別の社会問題まで引き起こしています。

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現在、沖縄の基地で働く日本人従業員は約9000人。こうした基地従業員の子供に対し、県内にある2つの学校が、登校を自粛するよう呼びかけていたのです。

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米軍基地の従業員で構成する全駐労沖縄地区本部の書記長は、「こうしたケースが風評被害に繋がる。こどもたちに被害がないようにしてほしい」と訴えています。

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16日、アメリカ海兵隊は感染者の基地内での行動履歴を、ホームページ上に公開しましたが、現在、コロナ感染は、厚木や岩国でも確認されており、感染をきっかけに、改めて日米地位協定の問題が問われています。

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