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2021年7月11日放送「風をよむ~コロナ禍の“大谷現象”」

先の見えないコロナ禍、その中で開かれるオリンピックへの不安、更に集中豪雨…。そんな重苦しい空気の中、差し込んだ一筋の光明が、

実況「ショウヘイ・オオタニ!彼にできないことはあるのか!」

ベースボール誕生の地・アメリカで躍動する、大谷翔平選手。
街録(日本)「毎日楽しみです。夢のような世界」「日本人の誇りですよ。素晴らしいですよ」

アメリカでも、 
ファン「まさにグレートのだよ。みんな大谷に夢中さ」「大谷選手はレジェンド、だからこれを着なきゃね」

大谷選手のサイン入り野球カードを引き当てた小学生は、
小学生「うわぁ、人生最大の当たりだ。大谷選手のサイン入りだよ!」

今季前半戦だけで、4勝、33本塁打の大活躍。
実況「33号だぁ」
ついには、投手と打者の二刀流での、オールスターゲーム出場という史上初の快挙も達成。

そのオールスター公式パンフレットは大谷選手をこう紹介しています。「ミスターエブリシング」=「何でもできる人」。

歴史を塗り替えるような活躍に、釘付け状態の地元メディア。その熱い視線は、プレー以外の動きにも注がれています。

例えば、この火曜日の試合では、大谷投手の速球が打者のバットを砕いたその直後、バットの破片を、拾いあげ、打者に手渡した場面では、
実況「実に素晴らしい!一体何人の選手が、折れたバットを拾いにいくだろうか」

また、5月のアスレチックス戦でも。審判がタイムをかけた際、それに気付かない相手投手に、大谷選手が手を振って合図を送ると・・・

実況「こんな雰囲気を作れる大谷選手は、最高に心優しい選手だ!」

常識を越えた二刀流での活躍に加え、人柄でも人々を魅了する大谷選手。彼にそうさせているものとは、何なのでしょう?。

先月、マリナーズの菊池雄星投手からホームランを打った大谷選手。実は、菊池投手は花巻東高校の先輩で、憧れの存在でした。ところが、

「先輩のようになりたい」。そんな思いを抱いた高校時代の大谷選手に、転機が訪れます。当時から大谷選手を取材してきたスポーツライターの佐々木亨さんは、

佐々木亨氏「花巻東高校の監督さんから、『マネするだけではなくそれ以上になるんだという、高い目標を掲げることが大事なんだ。憧れの選手の領域を超えていかなければ、新しい道は切り開かれていかない』と教えてもらった」  
その監督の指示で、大谷選手が作ったのが、この「目標達成シート」。中央には「ドラ1、8球団」、つまり8球団からのドラフト1位指名という、大きな目標が示され、その周囲には、それぞれを達成するための努力目標が。

そこには、「スピード160㎞」など野球に直結するテーマ以外にも、「運」「人間性」など広範囲に及ぶ言葉が並び、更にそれぞれが、より具体的な努力目標へと繋がっています。

佐々木亨氏「より具体的な目標を書くことで意識が変わる。書くことで、実践していく人間になっていく。実際160キロを高校3年生の夏に出すわけです。そこで改めて大谷選手は目標設定の大事さを認識したと思います」

こうして培われた姿勢は、メジャーリーガーとして活躍する中にも、反映されています。例えば、「運」の項目に出てくる「ゴミ拾い」。

先月行われたタイガース戦で、こんな場面がありました。フォアボールを得て、一塁に向かう途中、ふと目に付いたゴミを拾うと、そのまま自分のポケットに…。

大谷選手は、自身の著書の中で、こう語っています。「他人がポイって捨てた『運』を拾っているんです」

また、1イニング2度のボークを宣告された際に見せた、不満げな表情について、試合後の記者会見では・・・

大谷翔平選手「久々にマウンドでイライラしてしまったかなと。冷静にいられるかどうかは、野球だけでなく、日常からそういう精神状態が作れるようになれば、もっともっといいかと思います」

実は、「目標達成シート」には、「審判さんへの態度」という言葉が…

高校時代から、努力目標に掲げていながら、つい、感情に流されてしまった不甲斐なさ。その反省だったのでしょうか?

3日後の14日、史上初の二刀流選手として、アメリカでのオールスターゲームに臨む、大谷選手。

「前人未踏」への、ショータイムは、まだ始まったばかりです。

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