2018/10/28 風をよむ『ブラジルにもトランプ現象』

ボルソナロ氏 「ブラジルを偉大で自由で繁栄した国家にするため変革するのです!」

28日に決選投票が行われたブラジルの大統領選挙。次期大統領に選ばれたのは、“ブラジル第一”を掲げる極右の元軍人、ジャイル・ボルソナロ氏でした。

ボルソナロ氏「私はトランプ大統領のファンだ。彼は偉大なアメリカ、私は偉大なブラジルを求める」

これまで数々の差別的発言で物議をかもし、「ブラジルのトランプ」とも
呼ばれるボルソナロ氏。

ボルソナロ氏「あなたをレイプしないのはその価値がないからだ」

トレードマークは銃を構えるこのポーズ。銃規制の緩和を訴えます。

ボルソナロ氏「武器は私たちの命を守る以上に自由を守るものだ」

元大統領による汚職が社会を揺るがした近年のブラジル。ボルソナロ氏は政権の汚職や、貧困層へのばらまきをやめさせると主張し、現状に不満を持つ中間層や富裕層の支持を集めたのです。

支持者「過去にこんなクリーンな大統領は存在しませんでした。本当の正義がやってきた」「今までの政権はブラジルの価値を奪い取った。ボルソナロはその価値を取り戻してくれるだろう」

自国第一を掲げる極右の政治家が国のトップに就く一方で、もう一つ、近年の政治の潮流を考えさせる重要な出来事がありました。

メルケル首相「12月の党大会で私は党首に立候補しません」

ドイツ・ヘッセン州で28日に行われた州議会選挙で、与党が大敗。メルケル首相が今年12月で与党党首をまた2021年の任期満了で首相の座からも降りることを表明する一方で難民の受け入れに反対する右派政党が躍進したのです。そして今、こうした傾向は世界的に広がっています。

フィリピン・ドゥテルテ大統領「ドイツにはヒトラーがいたが、フィリピンには私がいる」

フィリピンでは、ドゥテルテ大統領が、物議をかもす発言を繰り返しながらも、依然として国内での人気は絶大。最近の支持率も75%と高い支持を得ています。

また、9月には、これまで難民・移民に寛容な国として知られてきたスウェーデンで、極右政党が躍進。


オランダ、オーストリアなどでも、反EUや移民排斥を掲げる政党が台頭。EU全域にそうした流れが反EUや移民排斥を掲げる政党が台頭。EU全域にそうした流れが広がっています。千葉大学の水島教授は…

水島治郎・千葉大学教授(比較政治) 
「グローバリゼーションによって移民や外国人が多数入ってきて不安が増幅されている。経済的な不安と社会的な不安を多くの人々が抱いているという状況においては、排外的で自分たちの気持ちを代弁してくれる極右的な指導者として英雄化してしまう。特にインターネットの発達によって旗幟鮮明な主張こそ、多くの人々によって共有されて支持されていくという面がある」

過激な主張を掲げる政党や政治家に率いられた社会に潜む危険性とは何か。それを考えさせる一冊の本があります…。

臨床心理学者フランク・パブロフ氏が書いた寓話「茶色の朝」。

物語は、茶色以外のペットを飼うことを、禁じる法律が施行された社会が舞台。主人公は、その「流れ」に乗ることが大事と考え、自分が飼っていた白黒の猫を殺します。

そして気づけば、ペットだけでなく、人々の服装から街の風景まで「茶色一色」に染まる中、社会から異論は排除されていくのです。

この本は、ジャンマリ・ルペン氏率いる極右政党「国民戦線」が躍進し、極右政権誕生の可能性が現実味を帯びた2002年当時、100万部を超すベストセラーになったのです。

自分とは異質なものを差別したり排除したりする社会の危険性を、東京大学の高橋教授は…

高橋哲哉・東京大学教授(哲学)
「人間の中に自分とは異なる他者と関わるとき、基本的な不安とか不確定性が付きまとう。そして自分たちの存在や利益が脅かされていると感る。“茶色”というのはヨーロッパでは極右を象徴する色。無関心でいると、極右が支配する世の中になってしまう。グローバル化の世界になって、異質で多様な人々が混じり合うような状況になっている。異質な他者に対してリスペクトするっていう、そういう姿勢を維持できるかどうかが今問われている」

  
過激で差別的な発言を繰り返すリーダーに多くの人々が心引かれる今の社会。そこに潜む危険性を、私たちは常に意識していく必要があるのです…。

ボルソナロ氏「私はトランプ大統領のファンだ。彼は偉大なアメリカ、私は偉大なブラジルを求める」


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