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現場から、 ~TBS NEWS~

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TBSテレビ報道局が運営するnoteです。記者個人noteやNEWS23スタッフnoteなどをまとめています。公式WEBサイトはこちら→http://news.tbs.co.jp
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#ニュース

第8回「“いじめゼロ”って本当? 認知件数の多さは子どもを守るために向き合った証」

<近くの学校が“いじめゼロ”なら・・・>文科省「いじめ防止対策協議会」座長を2014年から亡くなるまで務めた、いじめ研究の泰斗・森田洋司(1941-2019)は、「いじめの認知件数は確かに増えてきたが、まだまだ少ない」と嘆いていた。 全国の児童生徒数は、小中高校で約1300万人いるが、いじめ認知は61万件(2019(R1)年度調査)。全体の児童生徒数からすると5%にも満たない。 これだけ国も “いじめ認知を!”と積極的に呼びかけているのに、未だに6校に1校(16.3%)は、「

『太田光が問う!選挙SP』太田光・小川彩佳×中村喜四郎議員

爆笑問題・太田光と『NEWS23』小川彩佳が初タッグ! 21年3月に一部地域で放送された『太田光が問う!選挙SP』から、選挙14戦”無敗の男”中村喜四郎議員へのインタビュー部分を公開します。 小川: さぁ、太田さん。これから、滅多にテレビに出演しない大物政治家との対談です。民放地上波の番組でのこうした単独インタビューというのは、これが初めて。 太田: はじめて?これは、ありがたいね。 小川: 大変貴重な機会で。間もなく到着されると言うことで・・・ 太田: 凄い部屋だ

第7回「いじめ法を知らずに教壇に立つのは、道交法を知らずして運転するようなものだ!」

<急逝4カ月前・気迫の講演> いじめ認知における先生間・学校間・地域間の“格差”や“バラつき”問題を紐解くには「いじめの定義」の話を避けることができない。何をいじめとし、何をいじめとしないか。その境目を、いじめ研究の泰斗、故・森田洋司は、どう語っていたのか。 2019年の大晦日に亡くなった森田は、死のわずか4か月前にも講演をしていた。場所は、兵庫県多可町。この町では2017年5月、当時小学5年生の女児が自ら命を絶つ重大事態が発生した。女児は4年生のころから仲間外れにされたり

第6回「『いじめ認知件数・過去最多』の発表と共に改めて浮かび上がった“認知力の格差・23倍”という課題」

<全体の“認知力”は向上中だが> 2020年10月22日、令和元年度の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の結果が文部科学省から発表された。 令和元年度 文部科学省 「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」 文科省初等中等教育局児童生徒課 江口有隣課長(左) 文科省初等中等教育局児童生徒課生徒指導室 鈴木慰人室長(右) いじめ認知件数の増加は止まらず、過去最多を更新。特に小学校では5年前と比べて約4倍になった。 連載3

雨宮塔子のパリ通信#11 パリの街中で観るバンクシー作品

10月17日、イギリス中部の町に描いたという新作を自身のInstagramで公開したバンクシー。今回は#10「コロナ禍にパリの展覧会で観るバンクシー作品」に続き、パリの街なかで見ることができるバンクシー作品について。 さて、パリの街に残されたバンクシーの作品は前号で触れたバンクシー展でも展示のあった5作品にあと5点を加え、10作品あるという。 その中でもバンクシー本人が自身のInstagramで公表したことで自分の作品だと認めている8つのグラフィティを見に行きたい。その8

「わたしのWHY」始まりました

新企画にトライ。 第一回は性暴力の現状、そして対策についてTBSデジタル編集部ではYoutubeオリジナルコンテンツとして、「わたしのWHY」という企画を始めました。日々ニュースを報じるなかで浮かぶ疑問、気になるテーマについて、皆川玲奈アナや篠原梨菜アナが専門家に聞いていく・・・というコンセプトです。第一回は「性暴力」をテーマにしました。 日本では実に20人に1人が”性暴力”の被害に 内閣府が2017年に実施した「男女間における暴力に関する調査」では、女性の7.8%、男性の

皆川アナ、義足モデル海音さんと出会う

皆川アナvlog企画、2作目を公開しましたYoutubeオリジナルコンテンツとしてスタートした、皆川玲奈・篠原梨菜の両アナウンサーによる「vlog」企画、ご覧いただけたでしょうか・・・? 「こういう取材がいいんじゃない?」「あの人を取材してみない?」と、スタッフも試行錯誤しながら楽しく取り組んでいます。 そして今回、皆川アナによる取材の「2作目」が公開されました。 義足のモデルとしてデビューした海音さん 今回お話を伺ったのは、病気で右足を切断することを決意し、義足のモデル

第5回「加害者と被害者が入り乱れる”流動化”が進行中」

〈2つ目のキーワード〉いじめ研究の泰斗、故・森田洋司(鳴門教育大特任教授、大阪樟蔭女子大元学長、大阪市立大名誉教授)は晩年の講演会で、いじめの現状について2つのキーワードで解説した。 一つ目は、「いじめの一般化」。第3回と第4回noteで詳述した通り、学校生活で、いじめがいかに身近にあるかを表す。そして、二つ目は「いじめの流動化」だ。被害者も加害者もぐちゃぐちゃに入り乱れているという。 その事例を、今、急増中の“ネットいじめ”で見よう。 〈ネットいじめ〉今や高校生のほぼ全員

“ホワイト・ライブズ・マター” in ザンビア ~「アルビノ殺し」現地報告(後)

イギリスがEUを離脱した直後、そしてパンデミックが世界を覆う少し前、ロンドンからアフリカ南部ザンビアに、現地で後を絶たない「アルビノ襲撃」取材に出かけた。「JNNドキュメンタリー ザ・フォーカス」で放送した取材内容をさらに深く、二回に分けて。(前編はこちら) 三、ムトンガスーツの呪術医鈍い色をした壁の平屋が見えてきた。 呪術医ジャンゴ・ムトンガ氏の診療所だ。 「呪術医」という言葉からは想像し難いかもしれないが、ムトンガ氏はブルーのスーツにYシャツ、ネクタイ姿で戸口に立って

第4回「コロナで心配ないじめの増加」

<コロナ禍でいじめ増加?>前回はいじめが増加している現状や、子どもたちの学校生活でいかにいじめが身近になっているか=「いじめの一般化」について触れた。 そして今、この増加傾向に拍車をかけるのではと心配されているのが、新型コロナに起因するいじめだ。背景には、コロナ休校やコロナ対応での様々なストレスがある。学校全体をストレスが覆い、子どもたちだけでなく、保護者や教職員のイライラも静かに募っている。 <9割の教職員「いじめ増える」>教職員の悩み共有サイトを運営するNPO法人「教育

“ホワイト・ライブズ・マター” in ザンビア~「アルビノ殺し」現地報告(前)

イギリスがEUを離脱した直後、そしてパンデミックが世界を覆う少し前、ロンドンからアフリカ南部ザンビアに、現地で後を絶たない「アルビノ襲撃」取材に出かけた。「JNNドキュメンタリー ザ・フォーカス」で放送した取材内容をさらに深く、二回に分けて。 一、ミリアム迷信ぶっといイモムシが、目の前を悠々と横断していく。 1930年代のマーキュリー列車のようなシェイブ。 これは何かの幼虫なのか。 でも幼虫、と呼ぶと違和感を覚えるくらい大きい。 2020年2月初旬。ザンビア東部、ムフウェ

第3回「いじめの増加と一般化」

いじめ予防を語る前に・・・いじめ予防のアイデアを皆さんと一緒に見いだし、考え出していく前に、いくつかおさえておきたいことがある。「いじめの現状」と「いじめ防止対策の現状と課題」だ。できるだけその共通認識を持っておきたい。 というのも、いじめに関しては世代を超えて多くの人が直接的に間接的に何かしらの経験を持っている。だから、いじめ防止対策について話し合おうとすると、ついその強烈な個人的経験をもとに誰もが語りがちになる。議論がバラバラになり、収拾がつかなくなる。 (2018年

第2回「いじめ研究の泰斗・森田洋司」

ショックだった訃報電話で夫人から聞いて「えっ」と思わず大きな声が出た。「そうでしたか・・・。それは残念です。お悔やみ申し上げます」。それ以上、何も言えずに電話を切った。しばらく茫然としていた。 いじめ研究の泰斗・森田洋司が亡くなったことを私が知ったのは、今年(2020年)の2月だった。 森田洋司(1941-2019) 写真提供:鳴門教育大学 いじめ研究の泰斗・森田洋司森田洋司は、1941年(S16)愛知県名古屋市に生まれ、1970年 大阪市立大学大学院博士課程を終えると、

連載スタート 第1回「はじめに」

深刻ないじめいじめは深刻な被害をもたらす。子どものときに同級生から受けたいじめは、大人から受けた虐待よりも深刻な精神的影響を残すという研究もある。また虐待と同じように、いじめによっても、子どもたちの苦しみは長くつづく恐れがある。心の傷から大人になるまで立ち直れず、公的機関など誰かのサポートがずっと必要になるかもしれない。命を失ってしまった子、自ら命を絶ってしまった子どもたちもいる。そしていじめは、被害を受けた子どもの両親など、家族に与える苦しみも相当なものだ。 (いじめを苦