アフターコロナの生存戦略/バズる書き方/黄金のアウトプット術

成毛眞さんの著書を3冊読んだ。すべて、簡潔かつ力強い言い回しで、読者に行動の変革を迫る。

「アフターコロナの生存戦略」では、著者が「2040年の未来予測」でも説明していた、危機があるところにはチャンスがある、ということが強調されている。著者の筆の走るままに徒然に書かれている印象だが、書いてある内容はパンチがある。
・第1章では、今後の経済を考える視点として、日本全体・東京で考えてもしかたがなく、ミクロ視点が重要と指摘される(駅でも、中央線のように駅と駅の間隔が広いところは商圏として成立しやすく価値があるが、小田急線のように隣が見えるようだと価値が低い)。この点、「ブラタモリ」は、町の成り立ちが分かって非常に有益。また、「町山智浩のアメリカの今を知るTV」等、Netflixにほどではないが、まだまだテレビはカネがかけられており、情報のインプット手段として役に立つものもある。ただし、ネットの見栄えにはまったく力を入れていない。ニッチであれば、趣味で生きていける。
・第2章では、日本のリスクが挙げられる。火山の噴火・地震、少子高齢化による人口減少、長寿リスクである。日本人が総下流になる可能性もある。技術トレンドは中国と米国にしかない。
・第3章以降は、人脈を中心に記述される。著者のお勧めは、少数精鋭のぶっ飛んだ奇人・変人・天才と付き合うことだ。このため、著者は自分のFB等のポジションも活かしつつ、面白い人に声をかけ、「表参道パルプンテ」等、変人の集まりを作っている。日本を動かすのは、こういう人たちかもしれない。
・他に興味深かったのは、Amazonは株主に怒られながら、短期的な利益を捨てて投資をしまくった、ということだ(創業後20年間は利益のほとんどを投資に回している)。高度成長期の日本はこれをできていたが、ビビったアメリカが日本に株主の声を強くさせ、利益を出させるようにした。アメリカの企業もその呪縛にはまった。これさえ辞めれば、日本企業も強くなれる、ということだ。Amazonの投資判断の仕組みをベンチマークすれば、日本企業に示唆があるかもしれない。

「黄金のアウトプット術」は、日本人はインプットが多くアウトプットが少ない、という問題を指摘する。サン・セバスチャンが例にとられる。この町は、美食倶楽部がアウトプットサークルとして機能し、単に食べるだけでなくセンスが磨かれ、アイディアが生まれ、美食の街になった。
・本の紹介は、800字ではなく、100字×8ブロックと思う。FMTは以下。
 -1) 本を読んだ印象
 -2) 想定読者
 -3) 本の面白さの全体像
 -4) 別の側面の概要
 -5) 具体例(引用①)
 -6) 具体例(引用②)
 -7) 著者の経歴
 -8) 読むべき理由をダメ押し
・インプットするなら、WhatよりもHowにすべき
 -古今亭志ん朝か柳谷小三治の落語はリズム感がよい。ビジネスパーソンにも有効

「バズる書き方」は非常に実践的なSNSの使い方を説明している。


アフターコロナの勝機を探し、アウトプットをしてインプットとの好循環を生み出す、いずれも、知識をため込むのでなく、自由かつ主体的に生きていく、ということの重要性を問うている。これこそ、ビジネスパーソンの必須スキルだと思う。

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