KPIマネジメントと、コロナ政策が空気で決まること

戦略は、立案も難しいが、実行し、結果を出していくのも難しい。中尾隆一郎氏の「最高の結果を出すKPIマネジメント」を読んだ。良い本でした。

・KPIとは、「事業成功の鍵」となる「数値目標」
 - KGIをサポートするもの
 - 信号に例えられる(先行指標、シンプル、行動が変わる、みんなが理解している)
 - ボトルネック、一番弱いところ (KSF) に効くべき (ザ・ゴールの「制約条件理論」)
 - 現状把握(KSFの特定)、解釈 (KPIの設定)、介入 (現場に動いてもらう)の3ステップ
 - 通常の組織であれば一つ、アジャイルに変えていけるものにすべき

リクルートで独自に開発した手法が、どこかの外資コンサルが6か月かけてやったプロジェクトの結果とほぼ同じだったらしい、それでKPIマネジメントの社内大学の講師になられたらしい。どこのコンサルだったんでしょうね。

このようなコンサルのスキルは汎用化しているとよく言われるが、ビジネスの世界はともかく、政治・行政の世界にはなかなか組み込まれない。
コロナの感染経路に関する詳細な数値分析は、検索したが見当たらず。緊急事態宣言の判断、飲食店の時短要請という政策判断はどうなされたのか、出口はどうするのか。数値に基づいているのか。いや、いないと思います。
自省も踏まえ、霞が関では数値が疎んじられてきた。これは、以下の理由だと思う。

① 国民に理解がないため
② 政治に理解がないため
③ 役所の幹部陣に理解がないため
④ 中堅・若手が、大量の業務に忙殺されているため

①が根っこで、②-③に波及しており、中堅・若手からのボトムアップも④の理由で実現しない、という構造だと思います。また、③も、地頭は良い人は多く、自分の判断に自信があり、凝り固まっている場合も多いですね。

人間を動かすのはエピソードだ。志村けんさんや岡江久美子さんが亡くなったとか、どこかの医療現場がひっ迫して入院が拒否されたとか、クラスターが起きたとか、マスコミが煽り、人の意識や行動を変える。よって①が生じる。しかし、エピソードは、必ずしも全体を表さない。検証された数字も、エピソードになれば人は動くが、比較的地味である。

EBPMはもっと進んでほしいですね。科学的な議論が進むよう、私も数字力を鍛えつつ、働きかけ・発信をしていきたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?