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メンバーシップを導入しないVtuberさんたち

先日、「Vtuberにおけるメンバーシップ活用法の移り変わり」という記事を書きました。

その中で、最近はメンバーシップにおいてプランをいくつか用意するVtuberさんが増えているという話をしました。ベーシックなものだけでなく、価格を落として特典を少なくしたもの、価格を上げてその分特典を豪華にしたものなど、複数のプランを用意することで、様々な推しのスタイルに対応しようというものです。

しかし、最近はそもそもメンバーシップを導入しないというVtuberさんもちらほら見かけます。果たしてそれにはどんなメリットがあるのか。個人的に考察しましたので見ていきましょう。

メンバーシップを導入しないことのメリットとは

メンバーシップを導入しないことによるメリットと言えば、まず思い浮かぶのがリスナーに金銭的な負担をかけずに済むということです。メンバーシップを導入すると、最低でも90円以上のお金がかかることになります。絶対に入らないといけないという訳ではありませんが、メンバーシップにはバッジが存在し、配信画面において加入していない方とは見た目で明確に差が出来てしまいます。

そういったことから、常連さんほど“入らなくちゃいけない雰囲気”が出来てしまい、Vtuberさん本人にそういう意識がないとしても、ファンか否かの基準のようになってしまっている側面もあるでしょう。また、メンバーシップに加入している方がコメント欄に増えれば増えるほど、初見さんや毎配信見に来る訳ではないライトなファンはコメントをしにくくなってしまうということもあります。メンバーシップを導入しないことで、それらのデメリットを回避することが出来るという訳です。

過去の記事で書いたように、メンバーシップのプランを複数作っておくことで、金銭的な負担に関しては減らすことが出来ますが、初見さんがコメントしづらくなるという問題は解決できません。メンバーシップを導入していないVtuberさんは、そういったことを天秤にかけて導入しないことを決めているのだろうと推測できます。

金銭面はファンボックスやスーパーチャットでカバー

リスナーには金銭的な負担をかけたくはないものの、その一方でVtuber活動にはお金がかかってしまうのも事実。そのため、メンバーシップを導入しない場合、その分のお金をどこかで補填する必要があります。

まず考えられるのが、スーパーチャットです。しかし、スーパーチャットは強制できるものではなく、リスナーの意思によるもの。収入としては、少し安定感に欠けます。そもそも金銭的な負担を減らしたいという考え方のVtuberさんにとっては本末転倒な感も。

そこでおすすめなのがファンボックスを開設することです。ファンボックスならば、普段のYouTubeでの配信ではリスナーに差をつけることなく、収入を得ることが出来ます。

しかし、特典の内容には注意。ファンボックスを開設するならば、そこでしか見られない・得られない特典を用意する必要がありますが、そこで例えばファンボックス限定配信などを行ってしまうと、結局、“入らなくちゃいけない雰囲気”が生まれてしまいます。どちらかと言うとプラスαのような感じで、必ずしも加入する必要は無いが、コアなファンならば嬉しい特典にするとよいでしょう。アイコンプレゼントや、日記などよいかもしれません。後は、情報の先行公開もいいですね。

YouTubeではフラットに

大切なのは、YouTubeでは出来るだけフラットな状態で見ることができるようにすること。本来、YouTubeは無料で楽しむことが出来るコンテンツ。しかし、メンバーシップやスーパーチャットが始まったことにより、お金を出して楽しむものへと変わってきています。

もちろん、必ずしもお金を出す必要は無いのですが、Vtuberさん側からすると、金銭を受け取った以上、何かしらの面で対価を支払わなければなりません。そこで、どうしてもお金を出した人とそうでない人の差をつける必要が出てきてしまいます。しかし、リスナー目線で見ると、そういった行為は「お金を払った人を優遇している」ように映ってしまい、離れる原因にもなり得るのです。バーチャル界ではそんな歪な関係があちらこちらで蔓延っています。

一部のVtuberさん達は、それらの歪な関係を生み出すことを避けるべく、そもそも金銭が発生するメンバーシップを初めから導入しないという形を取っているのです。これもまた、Vtuberという文化が月日を重ねることで起こった時代の移り変わりの1つと言えるかもしれません。

最後に

今回は、メンバーシップを導入しないVtuberさん達について、どういった考え方なのか、どんなメリットがあるのか等を考察してきました。

最近のバーチャル界のトレンドとして、出来るだけ誰もが自分に合った推し方で応援できるようにという考え方が広まっているような気がします。メンバーシップのプランを複数用意すること、また、今回紹介したようにそもそもメンバーシップを導入しないことは、そういった推し方の多様性に対応した形であると言えるでしょう。

入口であるYouTubeでの配信は誰でもフラットな気持ちで楽しめて、そこからさらに踏み込んだ先にファンボックスなどのプラスαがある。言わば、ゲームのDLCと同じような形で、購入しなくても十分に楽しめるが、購入することでさらに深く楽しむことが出来る、といった感じです。

Vtuberとリスナーの関係性は非常に繊細なもので、ちょっとしたことで配信への入りにくさを感じる人がいます。配信者は、そういったことを敏感に察知して、少しでも入りにくさを改善できるよう努める必要があるのです。これはとても難易度が高いことですが、Vtuberが飽和している現在では、重要なスキルとも言えます。

ある意味では、現代の日本人の特性をそのまま反映していると言えるこのVtuberとリスナー、そしてメンバーシップの関係性。これが今後どう変わっていくのかというのは非常に興味深いです。バーチャル界における時代の移り変わりの1つとして、これからも観察していきたいと思います。


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