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yumbo『いくつもの宴 multiple banquets 1998─2021』について (詳細・補足編)

yumbo『いくつもの宴 multiple banquets 1998─2021』を観て激しく感動して、まず上の記事を書きました。しかし、『参加者が増えると新しいメロディーが出てくる』という山路さんの発言を一つ指針として、いわば作品全体を俯瞰して書いたものでありますから、6時間の作品中詳細な部分で書けていないことがまだまだ山ほどあるのが現状です。

そこで、こちらは詳細・補足編として、yumbo『いくつもの宴 multiple banquets 1998─2021』という映像作品がいかに素晴らしいか気の済むまで細部を書き連ねたいと思います。私自身去年初めてyumboに出会って、まだ一度もライブは観たことがないような立場ですが、この作品に興味をもった方にとっての一つのアーカイブ的な記事になればいいなとそんなことを期待してスタートします。


Disc1

01 Improvisation
3/1/1998 | 仙台 smokey joe's cafe「ナナオ・サカキ poetry reading」
澁谷浩次:Violin, Kazoo
稲毛千佳子:Reed, Kazoo
大月俊二:Trumpet, Kazoo
井上英司:Percussion, Kazoo

いざ!と意気揚々DVDを再生したら、いきなり27分を越えるインプロビゼーションを浴びることになった私の気持ちをまず想像してみてほしい。再生時間とかは特にどこにも書いていなくて、15分を越えたあたりでさすがにちょっと不安になりましたね。yumboの出自がインプロバンドであることは知っていたからある程度こういう内容は想定していたつもりだったけれど、さすがに27分を越える演奏を開幕に選ぶとは思うまい。
私の中でyumboの真骨頂と思っている「分かりにくさ」をいきなりフルスロットルで発揮しているからには、作品を観通した後で振り返るとこれ以上ない最高のスタートなのです。
ちなみにこの映像作品中唯一、澁谷さん以外に現在も続くメンバーが参加していない演奏になります。あと、初代ボーカル大野綾子さんが参加するまでの7曲は特に担当楽器があまりにフリーダムでおもしろいので上のように書いておきます。


02 澁谷が山路に敬意を表して考案した演奏
8/5/2001 | 仙台 せんだいメディアテーク「三角フラスコ#14 こぼれ落ちるもの」
澁谷浩次:Pianica, Glockenspiel
稲毛千佳子:Recorder
大月俊二:Trumpet
山路智恵子:Percussion

現メンバーの山路さんが早くも登場!!加入して2回目の演奏だという。タイトルからも推測できるように、澁谷さんが「山路さんというパーカッショニストがyumboに加入したことを世に知らしめたくて」やった曲であるにも関わらず、その肝心の山路さんに7分くらいひたすら一定のリズムでシェイカーを振らせ続ける。相当にクレイジーだが、あとこの映像作品61曲、まだまだこれくらいのことで動じているわけにはいかない。
だだ広いフロアにメンバーがポツと配置されている演奏姿を、もう少し時代が経ったら擦り切れ、消えてなくなってしまいそうなテープの映像で収めている。しかも照明が落ちているからモノクロ映像みたいに見えて、これが意外なほどに美しい。演奏も相まって偶然だとは思うが、洗練されたトータルプロデュースができてしまっている結果、ドロッとしたオブスキュアな美しさがよく表現できているのだよなー。
ちなみにこの映像作品全体として、映像のクオリティの割にはずいぶん音響がいいのが一つ特徴と言えると思います。そういう意味でこの演奏は最たるものと言ってよいかもしれません。


03 Improvisation
11/27/2001 | 仙台 火星の庭「yumbo monthly gig vol.37」
澁谷浩次:E.Guitar
稲毛千佳子:Voice
大月俊二:Radio
山路智恵子:Percussion

かなり短いインプロ。大月さんがごっついラジカセでノイズを出している。リズム感がけっこうかっこいい。澁谷さんいわく「即興とはいえど、それぞれの型、担当楽器はある程度決めていて、みんな僕の言うことを聞かされていた感じ」だそう。このインプロと曲の狭間感は稲毛さん、大月さんが脱退して、そのすぐ後に大野さんが加入するまで続く。


04 Improvisation
1/29/2002 | 仙台 火星の庭「yumbo monthly gig vol.39」
澁谷浩次:Piano
稲毛千佳子:Glockenspiel
大月俊二:Hose
山路智恵子:Spring Drum

かなり短いインプロ②。狭いスペースで他のものに当たりそうになりながら大月さんがホースを振り回す。


05 五橋ラグ
06 配達される霊感
07 さようなら
3/26/2002 | 仙台 火星の庭「yumbo monthly gig vol.41」
澁谷浩次:Piano(05), Harmonium(05), Running(06), E.Guitar(07), Pianica(07)
稲毛千佳子:Toy Piano(05), French Horn(07), Violin(07)
大月俊二:Trumpet(05), Water(06), A.Guitar(07)
山路智恵子:Piano(05), Knock on Door(06), Bass(07)

この映像作品中、初期の最重要演奏だと思う。インプロ→曲という変化を目前にした得も言われぬバンドの揺らぎのようなものが、こんなにも克明にカメラに収められているなんてこれは奇跡ではないか!?実際にこの時のバンドの状況についてコメンタリーで澁谷さんが語っている。
澁谷さん「なんか割とこういう即興と曲の中間みたいな感じに最後の方落ち着いていって、割とこの後すぐ大月さんと稲毛さんこの二人はバンドを離れていくんですよ。多分ね二人とも僕の言うこともう聞きたくないと思ったんじゃないのかな。けっこう二人それぞれから言われた記憶があるんだよね。だからこの時この二人やめたいやめたいと思いながら……」
曲に戻ろう。澁谷さんと山路さんの連弾という超レア映像が繰り広げられる「五橋ラグ」。曲はラグタイムとしか形容できない感じだが、不意に入ってくる大月さんの即興的なトランペットが素晴らしい。大月さんといえばトランペットが抜群なイメージだな。
次の曲「配達される霊感」については作品中最大の問題作といえよう。これは説明してしまったら台無しだと思うので、各々気が向いたら担当パートを観て(これがヒント)妄想を膨らませつつ、実際に観てみてください。
1stアルバムに収録されている「さようなら」。これが後に歌として発展していくと思うと最高に感慨深いのです。終始馴染みあるフレーズを繰り返す大月さんのアコギと山路さんのベースで曲の骨格はできていて、その途中澁谷さんと稲毛さんはノイジーな即興演奏を重ねる。まさに即興側から見たら崖っぷちなスリリングなバランス感覚である。そして最後に澁谷さんが現在の歌メロも含むメロディーをピアニカで奏で、次の曲からはボーカリストの大野綾子さんが登場するのである。


08 どれいのように
8/16/2002 | 仙台 火星の庭「Igloo Meeting vol.2」

時代がさらに巻き戻ったようなモノクロの映像の中で、全員でハンドクラップしながら大野さん中心に呪詛的なフレーズ(言語不明)を歌う。ものの30秒くらい。強烈な画。


09 わたしはラジオ
11/3/2002 | 仙台 火星の庭「Igloo Meeting vol.3」

この曲もまるで夢のようなすごい画質。ごく短い期間 (1年くらいか?)だけ在籍した中平さん初登場。このライブのちょっと前に加入したらしい。メイン楽器はトロンボーンのようだがこの曲ではピアノを爪弾いている。他、演奏としては山路さんと大津さん2人が作り出すラジオノイズと、大野さんのか細いボーカルのコンビネーションが印象的。また、コメンタリーにてアウトロで唐突にトランペットを吹く澁谷さんに対して自身で
澁谷さん「こういうのが腹立つんだよね。」
夏海さん「この音って吹けない人にしか出せないから貴重なんだよね。」
この頃の澁谷さんの貪欲に前衛的な表現を追い求めていく姿はちゃんとかっこいいぞ。


10 源にふれろ
12/20/2002 | 仙台 火星の庭「IGLOOサクサク忘年会 vol.1~Hey! サクサクIgloo Guys Grimms Aesops~」

これ以前も映像には映りこんでいたが、プレイヤーとして工藤夏海さん初登場。その手にはいつものホルンではなく、吹けないというクラリネット。他のプレイヤーの担当楽器も挙げていくと、澁谷さん:ボーカル、山路さん:エレキギター、大野さん:ベース、大津さん:バイオリン、中平さん:トロンボーンと、もう徹底的にぐちゃぐちゃ。(たぶん演奏できる楽器を持っているのは中平さんくらい。) それでも意外に曲として成立しているのは大津さんが慣れないであろうバイオリンでせっせとリズムを刻んでいるからか。


11 味方
10/25/2003 | 市ヶ谷 法政学館「Majikick Outfits~マジキック祭り」

この映像作品初の仙台以外でのライブ!!1stアルバム「小さな穴」をリリースしたレーベルmajikickに招聘されて、初めて東京にツアーしに行った公演であるばかりか、ライブハウスやホール等での演奏・サウンドチェックもこの映像に映るステージが初めてだったそう。すごく引きで撮っていて照明も暗く、広いホールのステージに慣れないメンバーはどこか所在なさげ。普通にライブ映像として観るとお世辞にもクオリティが高いとは言えないが、よくよく見ていくと意外なほどに見どころがあることに少しずつ気付いてくる。
珍しくフルセットのドラムの前に座る山路さんは、楽曲が盛り上がりを迎えそうなところでちょっとキックやタムを入れたと思いきや、結局ほとんどシンバル、少しのスネアしか叩かない。山路さんの常軌を逸したシンバル使いというのは後半これでもかと言及する予定でいますが、このときも平常運転のプレイがいい。
そして、夏海さんのトランペットである。広い会場で抜けよく鳴るその響きが、現編成に直結するyumboの空気感をびゅうと連れてきたような、何かそんなイメージを私は抱いたものであります。普段yumboというバンドにとってあまりに当たり前の存在すぎて殊更意識することが少ないのが申し訳ないのだけれど、夏海さんの管の醸す独特の雰囲気こそyumboのシグネチャーなのだよなー。
さてここから一転、しばらく東京での演奏ばかりとなり、2ndアルバムに向けて徐々に躍進するyumboのようすが楽しめます。


12 家
11/23/2003 | 武蔵小金井 アートランド「11月の夜」

この日の出演者ほぼ全員参加、狭い会場のステージ上(というかもう観客と混じって混沌としている)に合計13人の異常事態。一曲前との対比があまりに激しい。ゲストは対バンのキヌタパン、アンデルセンズのメンバーにマヘルシャラルハシュバズから工藤冬里さん。ゲストも加わってyumboらしい美しい管のアンサンブルが徐々に垣間見えてきている。そして、冬里さんのベースはさすがの一言。冬里さん意外と作品中この演奏でしか出てこないんだよな。また、このライブが大津さんのyumboでの最後のライブであったとのこと。中平さんも次の曲の映像からは姿が見えないので、このライブのあともう少ししたらバンドを離れたのだろう。


13 美しい道
5/15/2004 | 仙台 Club Junkbox「A ROOM」

大津さん、中平さんに代わり朝倉さん、渡邊さんが初登場。メインの担当楽器は朝倉さんがアコースティックギターで、渡邊さんがエレキギター。二人の音色というのがこの曲も入った2枚目のアルバムにはかなり反映されているように思う。この演奏も朝倉さんのアコギが非常に利いていて、編成のバランスもここにきて一気に整ってきていてすごくいい。その他、澁谷さんのベースや、渡邊さんのソロ、また山路さんが珍しくドラマーっぽい演奏をしていたりいいとこずくめなのだが、映像としては残念ながらこの作品中最も見づらいものの一つかもしれない。メンバーのポジションに対してカメラの位置がなんかよくないんだよなー。


14 反響
10/30/2004 | 武蔵小金井 アートランド「やまばとデザイン事務所」

二つ前に続き再び武蔵小金井のアートランド。一つ前の「美しい道」に続き、朝倉さんのアコースティックギターが存在感抜群で素晴らしい。2ndアルバム「明滅と反響」のキーマンは朝倉さんであると言い切ってしまっていいのではないか。コーラスとしてゲスト参加した清成晋太郎さん、関雅晴さん、山崎岳彦さん3人の絶叫と、大野さんのか細い声の対比も聴きどころ。


15 強い風
16 スズメバチ
10/9/2005 | 池ノ上 Bobtail「屏風の虎退治」

据え置きのカメラにまともに映るのは渡邊さん、大野さん、そしてゲストの小野寺雄哉さんというレアすぎる3ショット。買った映像作品集でステージ上のメンバーのうち3割ちょっとしかまともに映らない映像が入っていること、果たしてこれから先私の人生であるのだろうか。映像はそんな感じだけど、澁谷さんがこの日の演奏を気に入っていたというのは確かに納得である。2曲とも印象的なのは、一番しっかり映っている渡邊さんの演奏。ストロークの柔らかさが素晴らしいのだ。この映像を観て渡邊さんのギタリストとしての特徴を少し掴めたように思う。(この作品的にはあと少ししたら脱退してしまうのだけど。)
そんな渡邊さんのギターの他にも聴きどころが多いのが「スズメバチ」。夏海さんのグロッケンの響きもいいアクセントになっているし、山路さんはバスドラを横に倒して叩いている。そして、途中に挿入される大野さんのキーボードの耳を惹かれるノイジーな音色は、わざとバッテリーが切れかかる寸前で演奏するという澁谷さんのアイデアによってつくられたもの。


17 金子さん
18 February Minor
2/7/2007 | 仙台 せんだいメディアテーク「Igloo Meeting vol.10~a K showcase tour 2007」

センターで澁谷さんと親交の深い劇団三角フラスコの瀧原弘子さんが踊っているのは、このライブの直前にボーカルの大野綾子さんが急遽脱退したから。計画されていたこの日のライブ構成も全て白紙となり、この日は澁谷さんが一曲歌っているだけで、他は全曲インストに。となったときに歌に変わる表現が欲しいとのことで、瀧原さんに白羽の矢が立ったのだという。実はこのステージ、瀧原さん以外にもゲストがたくさんいて、6管が3×2列でずらりと並ぶ壮大なレア編成なのに、コメンタリーで一切そのことに触れないのが、この日の混沌を表しているようでとても面白い。しかもその管の響きとか山路さんのドラミングとか、ちょっとyumboらしくないような統制の取れ方をしていてなんだか不気味な掴みどころのないステージである。


19 ワルツ川15
20 みだれた絵
21 これが現実だ
10/11/2008 | 高円寺 ペンギンハウス「我友万博 vol.8」

高柳あゆ子さん初登場。これが入って2回目のライブだという。そんな高柳さんがベースを弾く貴重な映像をいきなり見れるのが「ワルツ川15」。この映像作品で初めて聴いた曲ですが、夏海さんのフリューゲルホルンと澁谷さんのピアノがムーディーなワルツでけっこう好き。サンプラーから鳴らされる川のせせらぎや鳥のさえずり、途中から入る大正琴の音と効果的なアクセントも多い。
ついに高柳さんが歌う「みだれた絵」。この頃はほんとに探り探りのステージングだと思うのだけど、両手でガシッと包むような見たことないマイクの持ち方をしていて緊張のほどが伺える。この日の撮影は各人の手元を映そうという意思を感じるいいカメラワークなのですが、誰が撮影したか分からない演奏の一つだそう。特に山路さんのドラミングがしっかりと見えるのがレア度の高いポイントで、この曲ではちょうどタイミングよく、右手にマレットを2本クロスするように持ってタム二つを同時に叩くレアな演奏を記録することに成功している。音的にも派手ではないけど味のある素晴らしいドラミングをしているんだよなー。
ときにこの曲の歌いだしと、その後の「失敗を抱きしめよう」にて登場する『遠回りして赤い』というフレーズ、なんでだかやけに気になって仕方ないんですよね。いつかこのフレーズを迷わずタイトルとして拝借できるような創作ができたなら、ときどきそんなことを夢見たりします。
この日だけの特別なイントロダクションで始まる「これが現実だ」。澁谷さんが間奏に近い旋律をゆるりと砕けた感じで弾き、サンプラーからはカチカチと硬いものが無造作に接触するようなSEが流れている状態をバックに、高柳さんのリーディング。ちょっと緊張して堅く、早口になっている語り口が詩の内容ともあっているし、畳みかけるような雰囲気も生んでいて結果プラスに転じている。とても素晴らしい。今に繋がるyumboとしての歯車がカチと噛み合ったようなメモリアルな瞬間に感動を覚えグッとくる。


22 Prefab (Waltz)
23 地球はまわる
24 ケーキ
3/14/2009 | 仙台 プレハブ食堂「プレハブのyumbo」

この日の映像が映った途端にコメンタリーのメンバー大盛り上がり。本当にただのプレハブ建てらしく、防音や音響設計も何もないので反響が凄まじいことになっていて、これがまたひどくマジカルな雰囲気を演出している。メンバーが10年以上経っても印象に残っているのもさもありなんといったところか。その反響によって、ベースとドラムの低音が目立ち、謎にグルーヴィーな「地球はまわる」。yumboにグルーヴィーというイメージを持ったのはこの演奏だけかもしれない。今は全く演奏していない曲だけど、渡邊さんと入れ替わりにこの頃バンドに戻ってきた大月さんベース、朝倉さんアコギの編成がフィットしていて、この当時の曲ということには何かすごく納得感があるな。
また、16曲目 池ノ上 Bobtailでの「スズメバチ」の演奏の際にも言及している山路さんがバスドラを横倒しで叩いている様子、ついにこの映像ではっきりと確認できます!いざ実物をみるとサイズ感があまりに奇妙で最高なのだ!
そして、畳みかけるように澁谷さん、山路さん公認の『山路さんのドラムが狂っている演奏』である「ケーキ」。20年以上共に演奏してきた澁谷さんが「一番狂っているかもしれない」というだけあって、間違いなく永久保存版です。山路さんが程よく美しく狂っている演奏は特にこの後もたくさんあるのだけれど、ここまで曲を食ってしまっているのはこの演奏だけかもしれない。あえて多くは語らない。刮目せよ。


25 シブヤくん
26 空に住む
4/5/2009 | 阿佐ヶ谷 Next Sunday「遠出1回目」

ライブハウス最後方からの固定カメラ映像。細かな演奏はほとんど見えず、メンバーの姿を確認するのがやっと。「シブヤくん」はこの少し前に復帰したと思われる最初期メンバー大月さんのトランペットが素晴らしい。アウトロのミュートトランペットは澁谷さんから「なるべく破れかぶれに」というリクエストがあったようだが、見事に応えている。
また、前日に対バンしたジョンのサンに「キラーチューンってどうしたらできるんですか?」と聞かれたという演奏前の澁谷さんのMCもグッド。この時代のyumboにキラーチューンの極意について聞くジョンのサン、嗅覚が研ぎ澄まされていてさすがだ。
コメンタリーでも語っている通り今はまず演奏しない曲の「空に住む」。高柳さんが実際にフィールドレコーディングしたウミネコ?カモメ?の鳴声をサンプラーから再生している。今は全く使っていないけれど、この頃は高柳さんの手元にあるサンプラーから出る音がけっこう効果的なアクセントになっていたんだなー。あとかなり気になったのは、先ほどのプレハブでの演奏とは朝倉さんのパートと大月さんのパートが反対になっていること。(プレハブでは朝倉さん:アコギ、大月さん:ベースでこの時はその逆) 
最近は安定してきているが、当時のこの辺りのパート決めの方法とか、澁谷さんにぜひ直接聞いてみたいものであるなー。


27 サーフィン
4/26/2009 | 仙台 Cafe Mozart Atelier「真田鰯さんと生田恵さんの結婚を祝う会」

親交の深い劇団三角フラスコの生田さんが結婚した際に、内輪で行った披露宴的なパーティー内での演奏。(生田さんは澁谷さんが初めて高柳さんに声をかける瞬間もその場で見ていたらしい。)
まさにパーティー中という感じでザワザワと会話が入り込んでくるのが新鮮でおもしろい。思えば、この映像作品の他の演奏は、初期中の初期から意外なほどにお客さんみんな静かにしっかりと聴いているんだよな。
披露されている「サーフィン」はこの日のための新曲。3rdアルバム内でもバンドのキャリア全体でもそれなりに存在感のある曲だけど、実はまだ私はこの曲の輪郭を上手く捉えかねているような気がする。嫌いなわけでは全くなく、いい曲だとは思うのだけれど。聴くたびに澁谷さんと私のこの曲に対するイメージが大きく乖離している事実が浮き彫りになるような、何かそんな気分にさせられるのだよなー。


28 Again
29 鬼火
3/20/2011 | 仙台 火星の庭

先ほどの祝祭ムードから一転。東日本大震災の9日後にYouTubeで録画配信したかの有名な演奏。仙台の街中にある火星の庭は当時寝泊まりしていたyumboの澁谷さん、夏海さん、朝倉さんの他にも色々な人が出入りしていてプチ避難所となっていたそう。この演奏ではその澁谷さん、夏海さん、朝倉さんに加えて、リモートで山路さん、また先ほど結婚を祝われていた三角フラスコの生田さんがリコーダーで参加する編成。
「Again」はこの日の演奏の直前、つまり震災後に作った曲なのに対して、「鬼火」は震災前にすでに完成していた曲だというのは有名な話だが、何度聞いてもそのおそろしいシンクロにただただ驚いてしまう。しかもこの場が初披露なのだから、当時観ていた誰もが震災以後を歌ったものだと一度は受け取ったであろう。(澁谷さん自身はこの演奏をしている時も新曲だからというだけで何か特別な狙いは全くなかったそう。)
本来の初披露の場として想定されていたのは『これが現実だ』ツアーだったという。限られた観客に向けて、お披露目される予定だった一新曲が、ときに意図せぬ大きな文脈を背負いながらインターネットを通じて、いくつもの傷ついた魂へ、ある種アクシデントとして届いてしまった。「鬼火」という曲が持つ力、というと素朴すぎるその何かを私はずっと信じていたい。この演奏を観る度にそう思うのだ。


30 鬼火
31 センチメンタル・ジャーニー
32 人々の傘
3/27/2011 | 仙台 火星の庭

再びその7日後に行われたYouTube配信(録画)の演奏。前回から高柳さん、大月さんも加わり、山路さんは再びリモートだけれど、新たに通信タイムラグの対策がなされて演奏している。
7日前の演奏に続いて再び「鬼火」。この日は他の曲でもそうだけれど、いつも以上に丁寧に優しく演奏されていてグッとくる。コメンタリーでは震災後の停電から復旧した時のことを話しているんだけれど、最初自分のところではなく、向いの通りに灯る明かりをみて感動するというのが、当時の私の経験と完全に同じでひどく共感してしまった。電気着いたときのことは忘れることないだろうな。
火星の庭での避難生活中に書いたという「センチメンタル・ジャーニー」。山路さんのセッティングにかなりの制約があるから余計そう感じるのだとは思うがyumboの曲でこんなに分かりやすい3/4拍子の曲ってあまりなくないかな?
こちらも避難生活中に澁谷さんいわく「詞を書くのが気持ちよく、トランス状態みたいになって書いた」という「人々の傘」。確かにこの曲の歌詞にはニュートラルな状態では到底辿り着けないような異常なグルーヴがある。一方骨組みはけっこう単調なソングライティングと合わさったときの化学反応がまた激烈な曲でありまして。であるから、澁谷さん、山路さん共にライブでつい激しくなってしまいがちな曲だそうで、何回もライブで演奏していくうちに都度演奏が変わっていって、今はかなり激しい演奏が多いという。この日はというと、他の曲からのムードも引き継いでかなり優しい演奏。リモート参加の山路さんのこの日のサウンドに徹底された結果落ちついたという背景はあるようだ。この曲の演奏はこれ一回しかはいっていないのだけれど、もっとたくさん観たかった曲の一つだな。アルバムで常人離れしたギターを弾いている工藤冬里さんが参加した演奏とか(ありますよね?)たくさんの見所が容易に想像できる。


Disc2

01 さみしい
8/28/2011 | 川崎町 エコキャンプ みちのく「ARABAKI ROCK FEST.2011」

アラバキロックフェスのサウンドチェック時の演奏。澁谷さんいわくyumboがこれまでにフェスに出演したのは、この時のアラバキとトクマルシューゴ主宰TONOFON FES2015の2回だけらしい。なんてもったいない!! 全国のフェスティバルはまだ遅くないから今すぐyumboにオファーすべきです。(yumboに限らず最近私は自分の好きな音楽家に対してしょっちゅう同じようなことを思っているな。音楽フェスって一体なんなんでしょうね。)
遠くからiPadで撮ったというワンアングル映像の中、山路さんの演奏姿は至って穏やかなのだけれど、聴こえてくる音は全くもって尋常でない。まるで歌っているようなハット捌き。さらにアウトロに向けて高まる (音だけ聴くと) 鬼気迫るようなプレイは必聴です。そんなアウトロはサウンドチェックなだけあって、高柳さんがしている身体をほぐすような動きも普段あまり見ないもので、それもまたよしです。


02 間違いの実
4/28/2012 | 町田 築田寺「はるでら」

この映像作品中で最も好きな演奏の一つ。みんなすごく気持ちよさそうにプレイしている気がする。澁谷さんが「鬼火」に対して「あまり遊べない曲」と言及することで、この曲との対比を図った通り、いい意味で隙があって、変化していく奥行きのあるいい曲なんですよね。この日の演奏で澁谷さんの歌メロが一部いつもと違うのは前日寝ながら思いついたアイデアだそう。高柳さんと二人脱臼寸前のバランス感覚で進む2声の表現の豊かなことといったら、この上ありません。まさにyumboの真骨頂。


03 mute sisters
04 地獄の歌
05 次のパイナップル
06 来たれ、死よ
7/12/2015 | 仙台 サテンドール2000「石が降る」

「mute sisters」は山路さんだけ即興を任されている。他の音に蓋をするような、はめごろしの窓のようなイメージという澁谷さんのオーダーだそう。
皆木さんがこのライブ映像から初登場。4thアルバム『鬼火』が成し遂げた到達は、やはり皆木さんのギターがあってこそだなーとこの「地獄の歌」の演奏やあれやこれやを聴くたびにしみじみと思います。他の音の合間を縫っていくような軽快で柔軟で鋭いプレイスタイル・音作りが大好きです。皆木さん関連で付け加えると、今の編成のyumboは皆木さんと山路さんの音が「抜け」を作り出している気がするなー。
高柳さんの朗読のバックで皆木さん(ギター)→澁谷さん(ピアノ)→芦田さん(ベース)とyumboらしい即興のソロ回しのような演奏を繰り広げる「次のパイナップル」。朗読がないところは夏海さんのフレンチホルンが主役。これもナイステイクだな。
間奏で鳴らすために高柳さんがずっと両手に大きなシンバルを持って歌う「来たれ、死よ」。コメンタリーの高柳さんの「この歌にはこの重みがちょうどいい」というコメントがよかった。ゲストでみやけをしんいちさん、須貝吏さんが加わった合計4管のバランスも絶妙だ。


07 しろいもの
4/1/2016 | 仙台 せんだい演劇工房 10-BOX「たぬきがでてきて おどろいたおどろいたおどろいた」

親交の深いテニスコーツとの共演。曲も作詞が澁谷さん、作曲がテニスコーツさやさんという共作。テニスコーツらしさの効いたメロディーが本当に素晴らしく、すごく好き。テニスコーツ節の最上級とでも言おうか。「お外へ お外へ」「よく来た よく来た」みたいなフレーズをコーラスというか掛け声のように挿入するアイデアも、どこかyumboの代表曲「家」のコーラスと同種の可愛げのようなものがある気がして似合っていると思うな。サビのユニゾンも清廉でとてもよし。さらにテニスコーツ植野さんのギターも素晴らしい。皆木さんに近いスタイルだけどより激しいというか動きがありますね。


08 石が降る
09 小さな穴
10 失敗を抱きしめよう
3/29/2017 | 京都 UrBANGUILD「yumbo『鬼火』リリース・パーティー」

先の記事でも再三触れましたが、この映像作品中有数のマイルストーン。音源として圧倒的完成度を誇ったアルバム『鬼火』のリリースパーティーに相応しいクオリティで観るたびに嬉しくなります。当時『鬼火』が出てすぐに聴いて、半年くらい待ってこのライブを観て、後にYouTubeにアップされた素晴らしいカメラワーク・編集のビデオも観てという体験ができたら、一生ものの思い出となっただろう。少し羨ましい。
音やカメラワークの他にも高柳さんのフロントに立つ姿がスタイリングなんかも含めて一気に風格が出ていてとてもかっこいい。ホーン隊 (ゲストでみやけをしんいちさん、清造理英子さん、てんこまつりさんが参加)の統制の取れた雰囲気もよし。
「石が降る」はやはり抜群にいい曲。自分の中で好きな曲といい曲をあえて分けて考えようとしたとき、この曲はかなりいい曲度が高いような気がする(ただの感覚の話で恐縮ですが)。yumboの音楽を聴いたことない人には、まず薦めたい一曲です。ベースが皆木さんですが効いてますね。
てんこまつりさんのオーボエを聴かせたくてセットリストに入れたという「小さな穴」。1stアルバムの曲。先の記事にも書きましたが、オーボエのパートはこの日のために澁谷さんが新しく書いたもの。てんこまつりさんのオーボエ、本当に素晴らしい。高柳さんが叩くグロッケンはDisc1の序盤の方でよく出てきたものと同じやつだそう。だいぶ味が出ていてこの曲と相まってすごくグッとくる。初期曲に新しい命が吹き込まれた屈指の名演奏。
コメンタリーでアウトロ部分が先に書かれていて、当初それがAメロになる予定だったという逸話を聞いて驚いた「失敗を抱きしめよう」。カメラが頻繁に清造理英子さんを抜くのだけど、その清造さんの真剣で厳かな表情がこの日のライブらしくてすごくよいのです。この日は清造さんだけでなく、ゲストのホーン隊全員が素晴らしくいい表情で演奏しているが印象的だな。
そして山路さんのドラムのクレイジーなことよ!!この映像作品中、山路さんのプレイはこれがナンバーワンかな。アウトロまでほぼシンバルしか叩いてないのにあまりに表現が豊かなのです。アウトロはキックも入ってしっかり叩いて(と言っても見た目にはごく控えめなのだが)、音の散らし方が異次元で完璧だ。


11 偉大なるサークル
12 薬のように
7/23/2017 | 仙台 Cafe Mozart Atelier「『鬼火』リリース・ライヴ 仙台」

アルバム『鬼火』中、最前線でメインを張るイメージではないが、私の中では絶対に欠かせない「いいところ」という感じの2曲。
澁谷さん自身はそんなに気に入っていないのに、よくこの曲が好きと言われて戸惑わされるという「偉大なるサークル」。捻りがないし、入りの管のフレーズとか何か知らぬうちにパクっているような聞き覚えがある気がするという澁谷さんのコメントも確かに分かるけれども、むしろそれが好転してどっしりとしたポピュラリティを生んでいるように思うな。あと歌詞もいいですよね。高柳さんが途中フレンチホルンを吹くのだけれど、コメンタリーで「持ち方とか全てが間違っている」とか言いながらみんなで笑っていてやはりこのバンド、クレイジーだなと思いました。これは褒めています。もっと褒めると、yumboはこの楽器の音が欲しい!となったら手さえ空いていれば問答無用で即楽器持たせる感じがすごく開放的でかっこいいですよね。
「偉大なるサークル」とは反対に、この曲は他に似たような曲もなくて自分のオリジナルだと思うから澁谷さんのお気に入りだという「薬のように」。残念なことにこれまた「偉大なるサークル」と反対にこの曲が特に好きだと言われたことが全くないそう。実は私はこのコメンタリーを聞く前から「薬のように」がトップクラスに好きな曲であったので、いつか直接会って澁谷さんに伝えたいと思います。この曲の特に前半は高柳さんのベストボーカルだと思うんですよね。後半一気にこの日は6管(ゲストの遠藤里美さん、猿田真樹子さん、佐藤ゆかさん、てんこまつりさんとメンバーの夏海さん、芦田さん) + ドラムが入って来るダイナミズムが圧巻。


13 わたしの3分前
12/16/2017 | 仙台 せんだいメディアテーク「コンニチハ技術トシテノ美術」

芦田さんのペダルスチールギターが初登場。アルバム『鬼火』での録音時に始めてこの時点で演奏歴6ヶ月くらいだという。そんな芦田さんのペダルスチールギターの柔らかい響きを中心に淡々と進む優しくミニマルな曲で、この映像作品を観てから一気に好きになった。会場のメディアテークは演奏しているバックがガラス張りになっていて、本来であれば光のページェント (年末街路樹をかなり大規模にライトアップするイベント)のようすがバシッと見えるらしいところを、みんなで暗い詩を書いた黒板でガラスを覆いつくしている。皆木さんのギターはここでも格別に美しいなー。


14 鬼火
3/18/2018 | 仙台 TRUNK「死を避ける方法」

イ・ラン、イ・へジとの対バン。この日のために韓国語訳した歌詞と元の日本語の歌詞を織り交ぜながらイ・ランと高柳さん2人で歌う。ソロ部分はそれぞれの母語で、2人のユニゾンで歌う時はどちらかの言語に統一するパートもあれば、それぞれの母語を同時に歌うパートもあり、日本語と韓国語が少しずつ混じりあっていくようすにとても感動した。2人の歌いながらのコミュニケーションが微笑ましく、特にイ・ランをリードする高柳さんの姿がとてもよい。この日直前に打ち合わせただけとのことで、イ・ランはスマホを片手で持ち見ながら歌っているし、入りのタイミングとかもかなりおぼつかない感じなのに、歌っている瞬間はまるで自分の曲であるかのような存在感すら放っていて、そのパーソナリティを再認識。あと、イ・へジの堂々たる演奏もちょっと格が違う。イ・ラン、イ・へジのタッグ、やはりすごいぞ。


15 蛇からの手紙
9/8/2018 | 神戸 旧グッゲンハイム邸「yumbo20周年記念公演 実在する世の中」

澁谷さんいわく爽やかなシティポップみたいな曲。普通に演奏するとすごくダサくなるが、yumboで演奏したら何か起こるのでは?と思って演奏しているそう。もっときれいに精密に演奏するタイプのバンドだと確かにこの曲やっても全然面白くなさそう。終盤ホーンが思いっきりしつこく繰り返すフレーズとか、フレーズそのものは軽快で爽やかなのにちょっと狂気を感じて好きですね。


16 負債1・2
12/24/2018 |  仙台 火星の庭「yumbo20周年記念公演 実在する世の中―仙台編第二夜」

この映像作品で久しぶりの火星の庭(Disc2では初)、そして久しぶりにはっきりした主旋律がなく即興感の強い演奏。Disc1の頭から続けてみていると、ふいにDisc1中盤くらいにタイムスリップしたような感覚が味わえておもしろいです。この曲は山路さんはフリー。ラインテープ、養生テープ的なものをガサガサ、ビリビリしたりしています。


17 ある日以降、その他
18 幻のできごと
19 何かが始まった
20 鬼火
10/22/2019 | 渋谷 7th FLOOR

まあまあ前からコメンタリーが現メンバー全員参加になっているが、ここにきてとても盛り上がってきておもしろい。「ある日以降、その他」、演奏中のコメンタリーで高柳さんが話しているこの日のエピソードがとても好き。高柳さん「なんかライブ前に7th FLOORの入口のすぐ外のところで、ちょっと待ちながら芦田君と皆木君と口で合わせて、直前に…楽しかった記憶がある。なんか渋谷の街を見ながらそれをしたのが幸福度の高い思い出です。」
「幻のできごと」、メンバーそれぞれのよさがシンプルに伝わってくる曲な気がする。特に2管とギターが味あって好き。コメンタリー、皆木さんがピックを咥えて演奏しているのを弄られる。「まるでギタリストみてえ」とか言われています。全然ピック使わないが、最後の方でようやく使う。そしてまたすぐに指に戻る。
山路さん「さっきの芦田さんのグルーブがないみたいな話で私はもう、それこそ私じゃないかって思いながら聞いてました。」
澁谷「あー、山路さんはねえ、また別腹ですよ。グルーブとかそういうものとはまた違った次元に生きていらっしゃる。山路さんにあんまりそういうの求めてないです。」
山路さん「じゃあよかったーありがとうございます。」
澁谷「ファンクネスとか求めてないです。」
澁谷さんいわく高柳さんがバンドに入ってすぐ、自分の中で盛り上がる気持ちのままに作った曲だという「何かが始まった」。それだけあって「薬のように」なんかと共に高柳さんの声質にあっている曲上位に位置すると思う。ベースラインを芦田さんがユーフォニウムで吹くというズラシのよさ。
カエル目の細馬宏通さん、木下和重さん、中尾勘二さん、宇波拓さん4人がゲストで参加しての「鬼火」。逸話として聞いていた通りダンスで参加する中尾さんがみれてテンション上がりました。ステージ上なかなかの端っこの方の暗がりで速い太極拳みたいな動きで踊る中尾さん。高柳さんもつられてにやにやしながら踊る。宇波さん音量は小さくてあまり聞こえないのだけれど、微かに聞こえる音と指の動きからして何やらすごいギターを弾いていそう。


21 実在する世の中
22 わたしの3分前
23 幻のできごと
24 家
25 温かい都
26 失敗を抱きしめよう
27 追放
28 何かが始まった
29 鬼火
30 悪魔の歌
12/26/2020 |  仙台 火星の庭「とてもいい日だったね」

2020年末に行われた配信ライブから最多の10曲。ひょっとしてこれが最新ライブ?と思って調べたら、去年1公演yumboでしていたそう。どういうライブだったんだろう?そこまでは調べられず。今年はさすがにしてないはずだから、この配信ライブがほぼ最新と言っていいでしょう。
配信冒頭の「実在する世の中」はこの日の演奏ではなく録音したものをボブ・ディランのドキュメンタリー映画の1シーンのオマージュと共に流すオープニング的な扱い。火星の庭の前で、アレン・ギンズバーグ→澁谷さん、ボブ・ディラン→おなじみのゲストの佐藤ゆかさんで再現しているそう。火星の庭の目の前の路上で撮影しているので、歩行者も普通に写りこんでいる。
ペダルスチールギターも相まってアメリカンフォークロックっぽい「わたしの3分前」。この演奏は特にそれがよく分かる良テイクですね。やっぱりいい曲。前から聴いていた曲だけど、この映像作品観てこんなに好きになるとは思わなかったなー。少し去年の澁谷さんのソロアルバム『Lots of Birds』の曲に近い雰囲気もある気がする。磯崎未菜さんの撮った映像が途中挿入される。ライブ配信はただ演奏しているだけなことが多く、飽きてしまいがちなので、もう少し見てもらえるように澁谷さんが考えたとのこと。磯崎未菜さんは最初は写真を撮るくらいの感じでこの日の参加を希望したようなのだけど、澁谷さんの上記のマインドから、前に澁谷さんが気に入っていた映像を流すことになったほか、この後マジックまで披露することになる。
「幻のできごと」、この日のライブについて総括するような澁谷さんのコメントが印象的。
澁谷「まあだからこの配信ってそういうこう協力してくれる人とかスタッフっていうのが、もう錚々たるメンバーが結集した、科学の粋を集めた、ライブでしたね。なかなかこの状態を作り出すっていうのはこうやって観てるとまあ簡単なんだけど、ちゃんとそういう技術とか知識がある人たちがいてくれないとこうは成り立たないからね。」
あと、山路さんは100均のBBQ用竹串で叩いてますね。だいぶ軽快な音。
定番中の定番曲「家」。高柳さんと夏海さんが叫ぶときのように口元に両手を添えてコーラスするのがすごく曲に合っているし、いいアクセントになっていて好きなのだけれど、これはいつ頃考えたのだろう。この作品では他に2003年の演奏しかなくてあまり追えなかったな。珍しくアタック強めの山路さんのドラム。スネアのちょっと掠れたような響きとかこれはこれで素晴らしいね。
芦田さんのペダルスチールギターのイメージだけかもしれないが、「わたしの3分前」とかなり印象が近い「温かい都」。他のアレンジを聴いてないから想像つかないだけかもしれないが、『鬼火』以降の新曲はゲストありきというよりレギュラーメンバーだけで演奏が完成するようなイメージの曲が多い気がするな。
再び山路さんの手には100均の竹串が握られる「失敗を抱きしめよう」。竹串の本数で強弱のコントロールをするようすまで見て取れる。この曲シンバルしか叩いてないのに、こんなに存在感あって素晴らしいの何度見てもほんとうにすごいんだよな。
赤い照明といつの間にか装着していた山路さんのサングラス (眼がデリケートなのかな) のペアリングが効いている「追放」。この曲でしか使わないというラインテープ?を先端に丸く固めて巻いた自作マレットによって、タムからかなり鈍い音が出ていてこれまたいい感じ。そして途中から入るシンバルとのコンビネーションもこれまた秀逸でなんともシンプルながら奥深い演奏だ。高柳さんが朗読するバックで、管の人たちはけっこう即興ぽいフレーズを吹いている。ゲストの佐藤ゆかさんがyumboで演奏している映像はここまでけっこうあるけど、即興ぽいフレーズを吹くのは聴いたことなかったから新鮮。
「何かが始まった」、これもゲストとかいらず今の編成でバランス完璧な曲だな。ピアノ、ギター、ユーフォニウムが揃ってベースラインみたいにフレーズを刻んでいるのがじわじわいいですね。
この映像作品これでなんと5回目の「鬼火」の演奏。イ・ランがリモート参加。イ・ランのアカペラからの入りがいいですね。ときに『ユンボン』なるyumboに迫ったZINE的なものがあって、この日カラー版で再販されていたらしいのですが、現在調べてみても全く情報出てこず。欲しすぎる。
大好きな「悪魔の歌」!!この映像作品最後の最後にようやく入っている。うれしい。皆木さん、山路さんという私がyumboで特に好きなプレイヤー2人が大活躍する曲。皆木さんのギターは序盤とか一部は特にフレーズが固定されていなくて、その時の編成も考慮して即興で弾いているらしい。やっぱりキレッキレ弾きまくりで、特に長いアウトロの演奏は至高としか言いようがありません。カメラがたっぷり写してくれているのうれしいな。山路さんはこの曲はお得意のシンバルだけじゃなく、タムもかなり叩いていて、よりバランスよく分かりやすくいいドラム叩くなーというのが実感できる曲。ちなみに演奏中に磯崎未菜さんの人体浮遊マジックも挿入されています。


31 歌の終わり
4/10/2021 |  仙台 火星の庭「The End of a Song」レコーディング風景

エンドロール後、火星の庭での録音風景と、そこで録音した「歌の終わり」が流れる。エンディングにぴったりのささやかでとてもいい曲。去年UKのtakurokuというレーベルからデジタル配信限定の『The End of a Song』という5曲入りEPをyumboで出していてそのタイトルトラックなんですね。UKのサイトからしかEPを購入・ダウンロードできないというその分かりづらさが、もう強烈にyumboらしく真骨頂だなーと思うのです。ちなみに私も存在は知っていながら面倒くさくて購入していなかったので、この後早急に買おうと思います。



以上です。長々とお付き合いいただきありがとうございました。yumboは信じられないくらい最高なバンドなので、これを読んだあなたが少しでも読む前よりyumboに興味や愛着を持ってもらうことができたなら、私としては本望でございます。

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