2024年甲子園 第4日目展望

第一試合 中京大中京(愛知) - 宮崎商(宮崎)
<展望予想>
両チーム共に継投策を軸とするチームで、タイミングが肝心になりそう。ただ打力では中京に大きく分があるので、宮崎商としては序盤に決め切られないようにしのぎつつ、地区大会で5試合11 2/3回を投げ僅か1失点と好投したリリーフエースで二刀流の中村⑥に繋ぎたい。具体的には6回までで1点ビハインドくらいに留めたいところ。中京は粘られないように、常に先行しつつ有利に試合を進めたい。ただビッグイニングは怖いため、投手の引っ張りすぎには注意すべきか。ある程度点が多く入る展開も予想されるが、それなら中京のほうが得意という気はする。宮崎商は与えても4点までか。

<注目選手>
中京
① 中井遥次郎 (3年、投手)
エース番号を背負う左腕で、地区大会ではチームトップの21 2/3回を投げ9失点、初戦でも先発が予想される。特筆すべきはストレートの力強さで、決勝では最速149km/hをマークした。球威で押し勝つ投球に期待したい。この投手が踏ん張ることで、地区大会で5試合11 2/3回を投げ無失点、主にリリーフを任された田中⑱に繋ぐ必勝パターンに持ち込みやすくなる。

④ 神谷倖士朗 (3年、二塁手)
1番を任されるリードオフマン。昨年からレギュラーの選手で、決勝の東邦戦では3打点の活躍を見せた。常に先行する戦い方を理想とするチームにおいて、1番を担うこの選手がどれだけ出塁し、またランナーを返せるかどうかは非常に重要だと思われる。

宮崎商
⑥ 中村奈一輝 (3年、投手/遊撃手)
1番打者として打線を引っ張る一方、リリーフとして全5試合に登板して11 2/3回を投げ無失点に抑え優勝に貢献した。チームとしてこの中村にリードした状態でつなげるかが非常に重要になる。特に決勝では同点の5回途中からロングリリーフし無失点で切り抜けた。投手としては最速145km/hを誇り、打撃では安打の半分以上が長打、身体能力にも優れたチームの根幹となる選手。

④ 甲斐夢都 (3年、二塁手)
長打力のある3番打者。準決勝の日南学園戦では先制の3ベース、決勝では先制の2ランホームランを放つなど、重要な場面での長打が光る。あまり大量点を取ることを得意とするチームではないので、この選手が長打で打開できるか。初回に特に注目したい。

第二試合 木更津総合(千葉) - 神村学園(鹿児島)
<展望予想>
1回戦屈指の好カード。両チーム切れ目のない打線による強打、高い投手力を売りとし守りも堅い。3季連続出場、昨年の選手権べスト4メンバーも多く残り経験値が高く、圧倒的な総合力で県大会で無双した神村学園のペースにならないよう、木更津総合としては注意すべきはとにかく序盤から中盤。後半勝負を前提として地方大会で29 1/3回を投げ僅か1失点のエース千葉①、サイドの石沢⑩の二枚看板がどこまで耐えられるか。神村のエース今村①も安定感があり大量失点は考えにくいので、いずれにせよ4点くらいの勝負になりそう。拮抗する展開であれば継投のタイミングも注視したい。守備から崩れる心配は両チームなし。

木更津総合
① 千葉雄斗 (3年、投手)
地方大会では29 1/3回を投げ1失点、与四球も5つと安定感のある本格派右腕。強打の相手でも自分の投球ができ、崩れない。元々制球面に課題があったようだがそれがなくなった。リリーフとして登板する可能性にも注目したい。

③ 井上陸 (3年、一塁手)
4番打者としてチームを引っ張る。チーム最多の8打点、特に準々決勝では選抜ベスト4の中央学院相手に本塁打を放つなど5打点の活躍、7-0とチームのコールド勝ちに貢献した。3本塁打の羽根②、チーム最多安打の山口⑦らと共に強力な上位打線を形成し、チームの命運を握る。

神村学園
① 今村拓未 (3年、投手)
鹿児島大会を34得点、3失点と圧倒的な力で勝ち上がった最も大きな要因ともいえる選手。選抜は継投を軸とするチームだったが今夏は一本立ちし、チーム最多の20 2/3回を投げ無失点、奪三振はイニング数を超える24個を記録した。大事な決勝では完封、左投手ながらフォークを投げられるのが魅力。選手権でも投手の柱としての活躍に期待がかかる。

⑤ 岩下吏玖 (3年、三塁手)
昨年から5番打者として強力なクリーンナップを形成する。地方大会では全体的に好調だった打線の中でも最も調子がよく、打率.588 (17-10)をマークした。またチームトップの4盗塁と足も使え、打点を稼ぎつつ継続して下位打線にチャンスを作ることもできる打者。

第三試合 聖カタリナ(愛媛) - 岡山学芸館 (岡山)
<展望予想>
沖田①と丹羽⑪の二枚看板を擁して多彩な攻撃パターンが光る岡山学芸館に対して、聖カタリナはエースの有馬①の出来が試合の出来を左右する。比較的四死球の多い投手なので自滅には気を付けたい。いずれにせよどちらのチームも先制して主導権を握ることで流れをつかむチームという印象を受けることから、序盤(3回くらいまで?)の攻防に注視したい。不安視されるとすれば守りのミスか。そこまで守りが堅いチーム同士の対戦というわけではない印象があるので、そこで崩れてほしくはない。そして、聖カタリナは特に強い打球を打てる選手が多く打線にも自信がある。学芸館の投手をもってしても7-6くらいの打ち合いになる予感も…

<注目選手>
聖カタリナ
①有馬恵叶 (3年、投手)
190cmの長身から投げ下ろされるフォークボールが最大の武器で空振りを量産し、直球も常に130km/h後半を計測する。夏前に急成長した選手ということで四死球も多いなど粗さは感じられるが、好調を引いた場合手が付けられず、今治西や済美といった強豪相手に無双した。地方大会では決勝を除き安定感があったので、甲子園でもその調子が継続されていることを期待したい。

③ 河野嵐 (3年、一塁手)
チームを引っ張る主将かつ4番打者。110kgという恵まれた身体から強烈な打球を飛ばし、チームトップの10打点を叩き出した。チームとしては単打を集中させ、犠打を絡めるというスタイルゆえにチャンスを多く作ることができる。チャンスでの4番の一打に注目したい。

岡山学芸館
① 沖田幸大 (3年、投手)
県大会では最も多くのイニングを投げた投手。特筆すべきは制球力の高さで、5試合22回を投げ与えた四死球は驚異の0個を誇る。決勝では8回を投げ100球以内にまとめるなど省エネで投球できる。また投手ながら打撃もよく打率は.500 (6-3)、そのうち長打は2本で、決勝では逆転の2点タイムリーを放った。

⑨ 坂本悠樹 (3年、右翼手)
チームトップの9打点を地方大会では挙げた4番打者。選抜に出場し1勝を挙げた創志学園との試合では先制打を放ちチームを勢いづけ、そのまま優勝へと導いた。3ベースヒットを3本放っているのも特徴的で、俊足と長打力を兼ね備える。

第四試合 掛川西(静岡) - 日本航空(山梨)
<展望予想>
隣県対決。強力な中軸を擁し破壊力のある日本航空の打線に対して掛川西がどれだけ粘れるかがポイントになる。両チーム守備は堅いのでそこから崩れるとは思わないが、序盤の攻防が重要になりそう。先制点を取ったチームがそのまま流れを掴むような試合になるのでは。打力は日本航空に分があるので、掛川西としては打ち合いのような展開は避けたいところか。先制して着実に犠打を絡めて追加点を奪い、終始主導権を握りたい。日本航空としては早めにビッグイニングをつくるのが理想か。

<注目選手>
掛川西
① 高橋郁真 (3年、投手)
130km/h中盤の直球とスライダーを軸に安定した制球力で打者を打ち取るサイドハンドのエース。29回を投げて6失点と大会を通して安定していた。また複数得点を取られたイニングがなく、集中打を浴びにくい点も魅力的。

② 堀口泰徳 (3年、捕手)
地方大会ではチームトップの.500 (18-9)を残した強打者で、4番に座る。昨年からレギュラーを担い、司令塔としても打線の核としてもチームを引っ張る。この打者の前にチャンスを作れるよう、犠打などを駆使して活路を見出すような戦い方ができるとチームとしても理想的。

日本航空
<注目選手>
③ 金子優馬 (3年、三塁手)
主に3番を任されており、打率はチームトップの.526 (19-10)、そのうち4本が長打という優れた打者。また盗塁もチームトップの4つ決めており、ポイントゲッターとしての活躍に期待がかかる。

⑧ 中西海月 (3年、中堅手)
決勝では試合を大きく決定づけるスリーランホームランを放ち、優勝に貢献した。安打の半分が長打という長打力のある打者で、またこのレベルの打者が6番にいるというのも強い。それでいて犠打はチームトップの6つと堅実さも光り、繋ぎ役としての側面も見せる。

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