2024甲子園 第2日目展望

第一試合 大阪桐蔭(大阪)-興南(沖縄)
<チーム見どころ>
大阪桐蔭(大阪) 2年ぶり13回目
勝ち上がり
○10-0東 (6C)
○11-0枚方なぎさ (5C)
○7-0城東工科 (7C)
○8-4大商大堺
○7-3早稲田摂稜
○12-2履正社 (5C)
○3-1東海大大阪仰星
7試合58得点、10失点

チームの特色
圧倒的な投手力が売り。決勝で15奪三振完投を果たした森⑯、安定感のある中野⑪、秋の主戦でエースナンバーの平嶋①など厚い投手層は大会屈指で、打線はハイセンスな3番の境⑨と4番の徳丸⑦が軸となる。履正社戦の打線爆発こそあったが本質的には投手のチームという印象。連戦になるほど物量的に余裕も生まれて力を発揮するだろう。

注目選手
⑯森陽樹 (2年、投手)
2年生ながら最速151km/hを誇る怪物。選抜ではまとまりのある投球が印象的でそのイメージが先行していたが、府決勝では189cmの長身から投げ込まれる最後まで球威の落ちない直球を軸に15奪三振完投。ここまで直球で差し込める投手(しかも2年生)は中々居ないのでは。今後の成長にも目が離せないが、決勝で完投させたということは今一番良い投手であることも事実。甲子園でもその直球に注目したい。

⑦徳丸快晴 (3年、左翼手)
昨年からレギュラー、兄も智辯和歌山で1年から主軸として活躍し、両投という抜群のセンスを誇る選手。打率は.583 (24-14)と高アベレージで、三振は僅かに1、高いバットコントロールが光る。優秀な打者の多い大阪桐蔭の中でも相手からしたら打線の中で最も投げづらい選手であること間違いなく、打線の命運を握る存在と認識している。

興南 (沖縄) 2年ぶり14回目
勝ち上がり
○4-0中部商
○2-0普天間
○3-1知念
○6-2KBC
○4×-3エナジックスポーツ(10)
5試合19得点、6失点 打率.289

チームの特色
勝ち上がりを見ても分かるようにコールド勝ちはなく、厳しい試合を何試合も乗り切ってきた粘り強さが持ち味。その中核を担うのがエース左腕の田崎①で、36回を投げ5失点、奪三振は全投手トップの41個で大崩れせず圧倒する投球を展開。打線は1年生の2人、1番を打つ山川⑤と4番を打つ丹羽②に注目したい。崩れないエースを軸に接戦をものにしていく戦い方が基本か。

注目選手
①田崎颯士 (3年、投手)
上でも紹介したように絶対的なエース。左腕ながら最速は149km/hに達し、左右内外関係なくストレートを投げ込める。変化球(特にスライダー)のキレも絶品で、狙って三振を取ることのできる稀有な投手。特に大会序盤は打線が湿っている中で、2試合連続完封(しかも2桁奪三振)という離れ業をやってのけ、チームに流れをもたらした。

②丹羽蓮太 (1年、捕手)
1年生ながら正捕手、しかも4番を任される選手。打率こそ.286 (14-4)に留まるが、1年生でこれほどまでに重要なポジションを任されているということからも期待感が窺える。1年生がゲームチェンジャーになることはよくあるので、試合の流れを変えるような活躍に期待したい。

<試合展望>
大阪桐蔭も嫌な相手を引いたという感覚。大阪桐蔭の持ち味である厚い投手層は大会後半になるほど違いを作れる上に、打力を売りにしているチームではないため初戦から大会屈指の左腕である田崎に当たるのは中々厳しい。特に左打者は手を焼くのではないか。大阪桐蔭としては終盤まで硬直した展開にはしたくない。ロースコア前提で小刻みに得点→完封狙いが理想か。イメージは3-0くらい。興南は終盤まで0-0でタイブレーク勝負でもいいくらい、とにかく先制点を与えないことに徹すればチャンスは大いにある。

第二試合 明豊 (大分)- 小松大谷 (石川)
<チーム見どころ>
明豊(大分) 4年ぶり10回目
勝ち上がり
○7-0中津東(8C)
○7-3別府鶴見丘
○11-2柳ヶ浦(8C)
○7-0津久見(8C)
○12-6大分舞鶴
5試合44得点、11失点 打率.325

チームの特色
エースの野田①に加え左腕の寺本⑩、右の一ノ瀬⑪と投手層が厚く、打線も軒並み3割を超えたバッターばかりで非常に力がある。4年連続の出場で甲子園を経験した選手も多く、今年の選抜にも出場し1勝、春の九州大会は優勝と実績十分で、落ち着いたバランスの良い地力のあるチーム。守りも失策1と非常に堅い。

注目選手
①野田皇志 (3年、投手)
今夏はエースとして一本立ちし、チーム最多の26 2/3イニングを投げ防御率は1.35、イニング数を上回る28奪三振、準決勝、決勝では連続完投した。継投を軸としていたチームにおいて核となる投手の出現は大きく、特に斜め方向に落ちる落差の大きいスライダーが印象的だった。また、昨夏の選手権で北海(南北海道)にサヨナラ負けした際にマウンドにいた投手でもあり、大舞台でのリベンジにも期待がかかる。

⑦ 高木真心 (3年、左翼手)
1年夏から上位打線のレギュラーとしてチームを引っ張ってきた選手。バットコントロールに優れ、左右に長打を打てる攻撃的な2番打者。打率は.467 (15-7)と高く、長打、盗塁もあり、四死球も選べるオールマイティーな選手。中軸に繋ぐこともできれば、自身で打開することもできる。

小松大谷(石川) 3年ぶり3回目
勝ち上がり
○3-0小松工
○9-3金沢二水
○3-1金沢
○3-1日本航空石川
○5-0星稜
5試合23得点、5失点 打率.273

チームの特色
選抜に出場した星稜、日本航空石川の二強を撃破し勢いになる。軸となるのが西川①と竹本⑩の両右腕で、西川は決勝で完封、竹本は準決勝で1失点完投と両者完投能力に優れ崩れない。打線はコールド勝ちもなく打率こそ凡庸だが、5試合で32四死球を選ぶなど各打者が出塁能力に長け、やることを着実にこなせるしたたかさがある。安定した二枚看板を軸に、着実に加点して完勝できる力のあるチーム。

注目選手
⑩竹本陽 (3年、投手)
星稜を完封したエース番号の西川も力があるが、個人的に注目するのはこちらの選手。特筆すべきはその制球力で、18イニングを投げ1失点、与えた四死球はなんと0個。直球を内外にしっかり投げ分けられ、カットボール系のボールの制球も抜群。少ない球数で大崩れする気配を見せない安定感、試合をしっかりと作る能力のある投手。

④石浦慈人 (3年、二塁手)
地方大会打率.500 (12-6)を誇り、奪った四死球もチームトップタイの6つで出塁率は6割を優に超える。中軸の田西⑤と東野②の両者は本塁打を記録するなど長打力がある中で、その前を打つこの出塁能力に優れた石浦が攻撃面での要となる存在になると予想したい。

<試合展望>
両チームともに安定した投手力、堅い守り、一回戦屈指の好カードになることが予想される。3点前後のロースコアゲームになることが大いに考えられるなかで重要なのが先制点。どちらのチームも地方大会は先制し、危なげなく勝ってきた。そういった意味でも地方大会と同じような展開、先制してそのまま逃げ切るというパターンに持ち込みたい。打線は明豊が上手で集中打があるので、小松大谷は継投も視野にいれつつうまく立ち回れるか。明豊も野田が一本立ちしたとはいえ継投の可能性はあり、何なら寺本⑪が先発し野田がリリーフという選抜のような用兵を見せる気もするので、手腕に期待したい。

第三試合 京都国際(京都)-札幌日大(南北海道)
<チーム見どころ>
京都国際(京都) 2年ぶり3回目
勝ち上がり
○3-0京都成章
○7-0洛水 (7C)
○4-3塔南・開建
○11-3西城陽 (7C)
○11-1龍谷大平安 (8C)
○14-3京都外大西

チーム特色
選抜にも出場し、春の近畿大会は優勝。選抜まではエース左腕の中崎①を中心にロースコアの試合を勝っていくチームで打力に不安がある印象だったが、府大会の準々決勝以降すべてで2桁得点の圧勝、打力の急激な向上を感じさせ一躍優勝候補に躍り出た。中崎に加え完投能力のある2年生左腕の西村⑩も控え、打線は4番で主将の藤本⑥を軸に1番の清水⑤は打率.429で出塁率も高く、下位にも打率4割の金本⑦など力ある打者が揃う。夏を制する上で重要な投打バランスが取れているチーム。

注目選手
①中崎琉生 (3年、投手)
プロに進んだ森下(DeNA)や杉原(広島)などに代表される、京都国際特有の好左腕の系譜を継ぐエース。スリークォーターから最速140km/h中盤の伸びのある直球を丹念に低めに集め、また29イニングで4四死球と制球面でも崩れない。回が深まっても冷静な投球を続けられる精神面の強さも素晴らしい。

⑥藤本陽毅 (3年、遊撃手)
チームトップの打率.474 (19-9)、7四死球、9打点、主将で4番、チームの核になる選手。1年時から遊撃手のスタメンを務め経験も豊富で、強力な打線を引っ張る。決勝では3安打5打点と躍動し、選手権では中軸として多くの打点を稼ぐ活躍を期待したい。

札幌日大(南北海道) 初出場
勝ち上がり
○10-3札幌北(7C)
○7-0札幌月寒(7C)
○9-2東海大札幌(7C)
○13-1札幌龍谷(7C)
○11-1札幌大谷(5C)
○1-0北照
○6-4立命館慶祥
7試合57得点、11失点 打率.339

チームの特色
秋道大会準優勝の東海大札幌を下したことに代表されるように、5試合連続でコールド勝ちの打線の破壊力が印象的。4番を打つ2年生の窪田⑧は打率.632、打点14と驚異的な成績を誇り、9番打者の帯川⑥も6打点を挙げるなどこちらも上位から下位まで力のある打者が揃う。そのような中で最後の2試合は接戦となったが、ここで柱となったのがエース左腕の小熊①。準決勝は完封、決勝は疲れもある中で粘って4失点完投で踏ん張った。純粋な打力も高いが、全国大会ではエースの小熊を軸に接戦をものにしていくような戦い方が基本になっていきそう。

注目選手
①小熊梓龍 (3年、投手)
2年生から主戦で活躍していたチームのエース。しんどい試合展開になった準決勝、決勝を一人で投げ抜き優勝に貢献した。縦に大きく割れるカーブとストレートのコンビネーションで打者を打ち取り、イニング数(37回)を超える38個の三振を奪った。

⑧窪田洋祐 (2年、中堅手)
2年生ながら4番に座り、打線が活発なチームの中でもひときわ目立つ存在。チームトップの打率.632 (19-12)に加え四死球は10個、打点もチームトップの14と打線の中核を担った。この選手にできるだけチャンスで打席を回したい。

<試合展望>
両チーム打線に自信があるが、中崎(西村)、小熊と共に好投手なのでいきなり打ち合いのような展開にはならないと思われる。崩れるビジョンは京都国際のほうが見えないため有利な気はするが…とにかく札幌日大は立ち上がりに気をつけて、中盤にひっくり返して逃げ切りくらいの認識を持っておくことが重要になりそう。京都国際は先制されても慌てない、攻め急がないこと。終盤勝負になったときに有利なのはおそらく京都国際。




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