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施設名公表にガイドラインが必要なワケ

大阪府が休業していないパチンコ店を公表すると報じられていました。

最初にニュースを聞いたとき、「本当かな?」と思いました。内容よりも、最後に付け加えられた、「コロナ特別措置法に則って」という部分です。

「本当に法律で出来ることにしてあるのか?」

もちろん、行政が行うことは法律に則って行われますし、それは正しく行われているはずです。ですが、今回のような「粗っぽい」ケースが、本当に法律で許されているのか、というのがひっかかりました。

法律には解説がつきもの

法律が正しく運用されるためには、誰にでもきちんと内容を理解して貰う必要があります。そのために施行令のような内容の細かい命令が監督官庁から出たり、法務省がガイドラインとなる解説を出したりします。コロナ特別措置法にも施行令がありますが、休業に関しての言及は今のところありません。

では、実際の条文にはどう書いてあるのか。見ていきましょう。

コロナ特措法の解釈は大丈夫? 2020-04-24 164518

焦点になるのは「まん延の防止に関する措置」の部分、この第45条です(この節には46条も含みますが、そちらは予防接種について定めているものなので割愛します)。

この条文は4つの取り決めで構成されていて、

①都道府県知事は、その自治体のなかで定めた期間に外出自粛や必要な協力を住民に要請することができる。
②都道府県知事は、必要に応じて、施設の管理者や興行主に、施設の使用の制限、停止、または催物の開催の制限・停止、その他政令で定める措置を講ずるよう要請できる。
③施設管理者等が正当な理由なく要請に応じない場合、都道府県知事はその施設管理者等に対し、要請に係る措置の内容を指示することができる。
④特定都道府県知事は、第二項の規定による要請、前項の規定による指示をしたときは、遅滞なく、公表しなければならない。

というのがざっくりとした内容です。
パチンコ店は②、③の対象、ということです。(大阪府の公表しているpdf資料からもそう読み取れます)

さらっと書いてる「施設名の公表」はなぜか?

この45条は、都道府県知事が「やっていいこと」を定めています。そしてそれは、施設管理者や興行主に対して「要請」し、その要請が受けいれられなかった場合には、「指示」することになっています。
先に挙げた大阪府の資料には、ばっちり「施設名を公表」とありますが、これは「要請」でも「指示」でもないですね。行政側が、「やります」といっていることなので。
これはなぜか。④の、「要請」「指示」の内容を公表しなくてはならない、という部分で、施設名も公表していい、という解釈を取ったんですね。


そして、政府はこれを追認する形で、全国にガイドラインを通知しました。施設名の公表をどうやったらいいか、という手続きですね。

補償は自治体に丸投げ

もちろん、このようなつるし上げを行うことは通常許されません。今は、新型コロナウィルス感染症対策という「公共の福祉」を優先していることになります。では、飲食店、イベンター、そのほか諸々、休業することになった人たちはどうやって生きていけばいいのか? 補償は?

この辺りは自治体に丸投げされています。政府が「やらない」からです。元になるお金もです。というのも、国会に出された補正予算にも、休業補償分は入っていないからです。
そうすると、当然、自治体のなかのお金でなんとかやることになり、対応に差が出てきます。僕の故郷の市は、県の定める補償から外れてしまう飲食店を中心に補償をすると打ち出していますが、その内容は、「上下水道代に相当する額」とあって、愕然としました。
それなら、店を開けている方が良い、と思う人もいるだろうな、と思うモノです。

それとも「稼ぐ必要がある」は、正当な理由にはならないのでしょうか?

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