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牡羊座29度「天球の音楽」 #サビアンシンボルのタロットワーク

ルディアによれば「宇宙秩序への同調」の度数です。天球の音楽はポリフォニックな相互作用の原理を天空で具現化したものです。「道」を進む個人は、宇宙の調和の巨大な和音の中で、人類の進化の広大な計画における自分の位置を理解し、実現しようと努める必要があります。メッセージは「内なる声に耳を傾けよ」です。パーソナライズすることなく内なる声に耳を傾けること。それは全体の声であり、その中で自分はごくわずかの小さな部分でしかありません。しかしそれは重要な部分であり、普遍的な和音のすべての音にはその居場所と普遍の意味があるのです。

ジョーンズによると、これは彼らが生きている世界を創造し、神聖化させる不朽のビジョンや切望のために、自分自身を不滅の楽器にする能力の象徴です。個人が自分自身と仲間のために、自分の能力と技術のあらゆる範囲で、日々の生活にスピリチュアルなドラマを与えることを求めています。肯定的な場合、この度数は効果的な表現のためのギフト、あるいはすべての人がそれを通して一つになる永遠の現実の明示であり、否定的な場合は、自己欺瞞と自我に媚びるあらゆる空想を受け入れてしまいます。

「天球の音楽」とはピタゴラスの考え方です。天体は人間の耳には聞こえない、神にのみ聞こえる音を発しながら運行しており、宇宙全体が一つの大きなハーモニーを奏でている。音楽の調和は宇宙の調和と同じものと考えられていました。

このシンボルは、そうした宇宙全体の音楽の中で、個人はその一部を担っているのだ、と示しているようです。昨日の28度のパフォーマーと観客の関係から一気にスケールが大きくなりました。観客を意識して無茶なパフォーマンスをするのではなく、宇宙の一部としてどう和音の中の一つの音を奏でられるかが求められているようです。

スプレッド

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1.天球の音楽
2.内なる声
3.不滅の楽器としての私

ジョーンズの「自分自身を不滅の楽器にする」という言葉が素敵だったので、それをポジションにも採用しました。

ルディアの「内なる声に耳を傾けよ」は、楽器としての私の内側に聞こえる声としました。しかし内なる声は全体の声でもあります。この内なる声を「パーソナライズしないで」聞き取る努力が必要です。本来、人間の耳に天球の音楽は聞こえないので、内なる声を通してそれに耳を澄ますことになりますが、それを「私の声」だとパーソナライズしてしまうと全体の声、天球の音楽としては聞けないのだと思います。

スプレッドとしては上から「宇宙/私/内的宇宙」という層のイメージです。しかし「天球の音楽」を写し取る「内なる声」を聞いてから「不滅の楽器としての私」になるだろう、ということで、上・下・中の順番で配置しています。

リーディング結果

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1.天球の音楽:審判逆
2.内なる声:ワンドキング
3.不滅の楽器としての私:正義

審判逆の天球の音楽、逆位置なので宇宙の調和は取れていないと見るべきでしょうか。もしくは審判的な変革を起こさない、宇宙をひっくり返さないために天球の音楽が鳴っているのかもしれません。

内なる声はワンドキング。自立性と独立性を発揮する人物であれ、自分の意志で、自分の手でやれ、という声。しかしこれは「パーソナライズして聞いてはいけない声」でもありました。ワンドキングの自主性は、パーソナルな意欲ではなく、全体の声を写し取った意欲として聞き取らねばなりません。個人的な意欲が内側に生まれてもそれは全体の意欲。「私がやりたいと思ったことは天球の音楽がやりたいと思ったことなのだ」とストレートに受け取れるかどうか?

不滅の楽器としての私、正義。音楽の調和のためにバランスを取るエネルギー。正義の調和は、例えば節制的な「あなたの出す音、それがそのまま調和を作るのよ」みたいなものではなく、「ガチガチに音楽理論に則って作った調和」という感じです。厳格なルールに則って全体のバランスを取っている。

カード同士の関連

ワンドキングの意欲を表現するには正義だと規則性が強すぎるようにも見えますが、「私の意欲ではなく全体の意欲なのだ」という、個と全体のバランスを取るには適切なのかもしれません。

審判が逆さなのが気になるものの、正位置だったらいいのかというとそれもよくわかりません。もし正位置なら宇宙の調和とは革命が起き続けることです。しかし正義の楽器はそういうどんでん返し的なパワーではなく、規則性を遵守しています。革命的な音楽ではない。しかし内なる声はより革新的で独自なものを出したいアイデアマンです。

そんな感じで全体で見ると「素晴らしく調和が取れている!」とは読みにくい。正義がいるので「調和が崩れている!」とも言えませんが、正義が「調和を作るぞ!」と頑張りすぎて、むしろ全体的な調和はややちぐはぐ、と読んでもよさそうです。

他の度数との関連

火のサインである牡羊座なのに、ここまでワンド(火)がパッとした感じで出た度数はほとんどありません(14度「大蛇」で、蛇と女性のカードがストレートにワンドだったくらい)。そんな中、ワンドキング正位置は牡羊座終盤で「ついに出た!」という印象です。

ワンドキングは逆位置なら、5度「翼のある三角形」で三角形の一部として登場しました。

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このときはペンタとソードにエネルギーを譲っています。その後牡羊座では、ソードやペンタクル的なテーマが強調されました。

正義は逆位置として25度「2つのレベルで経験」に愚者とセットで登場。

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愚者的な経験を優先させたため、正義のバランス感覚は後回しにされていました。このときの愚者がその後の26〜28度の、潜在する可能性への興奮状態から、できること以上を約束して観客を失望させる流れを作っていた。その流れをここで正位置化したワンドキングと正義が「自分のやりたいことをやるがバランスを崩さないように!」と調整している。正義は「観客を失望させないために自分の意欲を調整するルール」でもある。

そう考えると、審判逆は「どでかいことやって世の中ひっくり返してやる!ってことじゃないんだよ天球の音楽は」と言ってくれているのかもしれません。

サビアンシンボルからタロットのスプレッドやワークを作っています。「そのサビアンシンボルの意味を探る」のではなく、「その度数におけるその人の発達の状態」を読み解く取り組みです。しかし個人の発達状態を通じてサビアンシンボルの元型を透かし見ることもできるかもしれません。このワークについての詳しくはこちら