ものぐるい

殴り書いたような文字を見つける
殴り書いたのではないことを思う
急ぎ留めないと消えてゆく
生きていることをただ
物狂いのように書いたのである

殴り書いたような文字を見つける
殴り書いたのではないのだったが
後から見れば自分すら
生きていたことをただ
物狂いが殴り書いたように思うのである

異なるわたしに出会うことはないことを
わかりながらどこかで望んでいるようなふりをして今日もその事実を生きている

ように
ような
ふりをして
書いて

書いたかどうかすら