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油の使い方

国境を挟み、ティモール島の東西にそれぞれのパートナーと住む姉妹の公開往復書簡。第3回目は、西側の姉より。

ゆいちゃんへ。

ボノイティ!

こないだは、お便りありがとう。
フォルモザ通り、美しい名前やね。マロマック・シナの場所、わかんで!博物館を右手にまっすぐ進んで、四つ角をさらに進んだ右手やろ?通りの端で、前はサッカー場。当たってたら、10パウン*おくれ。*東ティモールで一般的なポルトガル風パン

ニキニキ、ノビノビの由来はネタ帳にあたためておくとして、今日は最近読んだ吉田集而 著「性と呪術の民族誌」という本のなかで出てきた話にしようかな。この本ではパプア・ニューギニアのイワム族という人々について書かれているのだけど、その中でこんな話があったんよね。

「アイ・グリスというのはピジン語である。ピジン語とはパプア・ニューギニアの高地から北海岸にかけての共通語で、文法はメラネシア系、単語は英語からとったという言葉である。〜略〜「グリス」は「脂肪」の意味であり、〜略〜脂肪はここでは貴重な食物であり、それをあげることによって相手を喜ばす、すなわち、おべっかを使うという意味になる。」109p

これって、ゆいちゃんも知ってるように西ティモール西端の町、クパンのスラング「ミニャック(minyak:インドネシア語で油の意)」みたいやね。クパン語ネイティブのアペに確認してみたら、正確には「おべっか」とはちょっと違うんやけど、「おべっか」を使うために「ミニャック」なことを言う、という感じかな。「大きなことを言う」「知ったかぶる」「口先ばかり(いいことを言う)とかやね。

英語のoilにも「お世辞」や「賄賂」という意味があるから、特に珍しい発想でもなかとは思うけど、おもしろいよね。日本語でも「人間関係の潤滑油」とかあるし。あとmilkは「搾取する」という意味でも使えるよね。ほかに、なんか液体で「なるほどね〜」みたいな意味のものあるかな?

ちょっと今回はティモールの話からは微妙にずれてもーた。西ティモールの地名の話にしようかとも思ったんやけど、もう少しあたためてみようと。

クパンで1番好きな道の写真を貼っておくわ。急斜面の坂の上から下り、教会と海がのぞく瞬間。どこかわかったら、10…は多すぎるからグラサブ*1ボトルあげよう!*クパンにもたくさん住むサヴ人のソウルフード、ロンタル椰子の液糖。気になる人はこちら!

アディオス!

たゆより

追伸:最近、豚の脂身の旨さに目覚めたかも。今までは豚串に交互に脂身ささってたら「けち」と思ったけど、「いや、けちではない。赤身と脂身を交互に食べてこそや!」と思った。脂身の甘さ大事。

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